『サクラクエスト』11話「私のことなんか誰も認めてくれない」そんな引きこもりUMA女子ががんばった

『サクラクエスト』11話「私のことなんか誰も認めてくれない」そんな引きこもりUMA女子ががんばった

『サクラクエスト』公式サイトより

――都会での仕事に憧れる20歳女子。就活全滅、限界集落寸前の田舎のよくわかんない独立王国の王様に就任させられて、「ホタルまみれの夕べ」を企画する。今回のイカ娘みたいなカラーの由乃の服が気になって仕方ないたまごまごが、『サクラクエスト』(TOKYO MXほか)全話レビューお届けします。P.A.WORKSのアニメは、女の子たちが持っている服をちゃんと設定して、日時に合わせて着回ししているのがすごく好きです。*ここまでのレビュー


■第11話『忘却のレクイエム』人は龍とも仲良くしたかった

 間野山町の婚活ツアーを引き受けた、木春由乃(演:七瀬彩夏)たち5人。しかし織部凛々子(演:田中ちえ美)は、ひとりぼっちだった自分の境遇と、龍を追い出した伝説を重ねていたたまれなくなってしまい、雨の中1人帰ってしまった。
 伝説が気になった彼女、図書館で調べたところもう一つの解釈として、龍と仲良くなりたかった人間の鎮魂歌があったことを知る。

 だがそれを伝えようとしても、婚活ツアーの人たちは聞いてくれない。孤独感に打ちひしがれた凛々子は、探しに来た由乃に泣きながら自分の苦しみを打ち明けた。
 彼女を抱きしめる由乃。そこに、みんなが忘れていた鎮魂歌をサンダルさん(演:ヴィナイ・マーシー)が歌いながら現れた。伝承を伝えたいと願い、凛々子は勇気を振り絞って皆の前で歌を披露する。


■よそ者とは「外部の人」とは限らない

 凛々子の家は、母が「よそ者」として入ってきたものの結局馴染めなくて飛び出し、父親も出ていってしまい、凛々子1人残されて……というやりきれない環境だったのた。なるほど、祖母の織部千登勢(演:伊沢磨紀)が「よそ者」にやたら厳しいわけだ。

 前回、千登勢は「凛々子は凛々子。無理せずそのままでいいんだよ」と言っていた。今回、人前に出るのが苦手だから出なくていい、と言っているので、どうやら甘やかしだったようだ。
 千登勢が言う「よそ者」は、「外部からの人」のこと。なので観光協会の中でも、地元っ子の四ノ宮しおり(演:上田麗奈)には優しい。由乃にはめちゃくちゃ厳しい。

 一方、凛々子が悩んでいたのは、地元にいながらも「よそ者」だった自分のことだ。
 町から出ればいいとわかっていても、またコミュニケーションが取れず「よそ者」になりかねないから、出られない。


■孤独は周りのせいにはできない

凛々子「知らない間野山踊りを教えてって何の抵抗もなく言える由乃、田舎から東京に出ることができた由乃、自分が普通だってことがコンプレックスな由乃、全部私と逆」「私のことなんか、誰も認めてくれない。誰も理解してくれないって」

 凛々子がひとりぼっちだったのは、周りの人にはほとんど否がない。少なくとも描かれている中では、シカトやいじめはない。
 子どもの頃、凛々子自身がどう人間関係のさじ加減を取っていくかの問題だった。人間が龍を追い出そうとしていた伝承が、視点を変えると迎え入れようとしていた、と解釈できたのと同じだ。
 とはいえ、すんなり輪に飛び込める人間(由乃とか)と、できない人間がいる。性格や環境次第で変わるので、こればっかりはどうしようもない。

 今までは何もできなかった彼女。成人して、由乃たちと出会えた。「伝承を伝えたい」という思いで、みんなの前に立った。
 タイミングを逃さず、自分の力で成し遂げた。幸いなことに彼女が今いるのは、たくさんの経験ができる観光協会。自信をつけていく機会が、山ほどある。

 後半、今までずっと「凛々子ちゃん」と言っていた由乃が、「りりちゃん」と呼んでいる。由乃も、凛々子にもっと近づこうと、努力している。


■語り部としてのサンダルさん

 サンダルさんは今までは、一言二言しかしゃべらない茶化しキャラだった。
 折り返し手前の11話で、サンダルさんの曾祖母が間野山出身だったことが判明、途絶える寸前だった間野山の伝承が奇しくも彼によってつながった。
 もっとも彼がチートキャラなのは相変わらず。なんであの人ボルダリング場のてっぺんにいるの。

 サンダルさんはこのアニメの語り部的存在だ。
 今回を除いて、基本的には物語に直接は絡まない。公式HPのあらすじ紹介は毎回サンダルさんと思わしき口調で書かれており、予告は全てサンダルさん。「チュパカプRADIO」のジングルに使われるなど、マスコットキャラクター的な側面もある。
 そもそも公式で、この作品の原作がAlexandre S. D. Celibidache、つまりサンダルさんになっている。

 このアニメ、扱っている題材が「限界集落の町おこし」とかなり生々しい。ところどころにコメディ・ファンタジー部分を交えて、厄介な問題をふんわり着地させている。見ていてしんどくなる人間関係のドラマの最中でも、サンダルさんが出てくるとホッとできる。
 ラスト、5人を見立てたイラストを描くシーンは、かなり「原作者」っぽさが出ていた。これはメタ的なものなのかどうなのか、気になります。

 ところで、凛々子の風邪のシーン、彼女の部屋に置いてあるグッズが今まで以上に映された。DVD-BOXやフィギュアはともかく、壁に『怪盗セイント・テール』みたいなレーザーディスクが飾ってあったのにはびっくり。本棚には『魔法騎士レイアース』や『モルダイバー』っぽいのも並んでいた。90年代、自分が生まれる前のアニメが好きな様子。80〜90年代はUFOやUMA番組もかなり多かったですね。

(文/たまごまご)

関連記事(外部サイト)