『冴えない彼女の育てかた♭』10話 英梨々と詩羽の覚悟と本気。でも結局美味しいところは恵が持ってった

『冴えない彼女の育てかた♭』10話 英梨々と詩羽の覚悟と本気。でも結局美味しいところは恵が持ってった

『冴えない彼女の育てかた♭』公式サイトより

──第1話(第2期)のサブタイトル「冴えない竜虎の相見えかた」と、今回の10話「そして竜虎は神に挑まん」。内容もすべて1話との対比になっています。もう、すべてが丸戸史明の手のひらの上。消費豚(by安芸倫也)としては最後まで踊らされるしかありません。かーずSPの『冴えない彼女の育てかた♭』(フジテレビ系)全話レビュー。鬱展開からの爆上げエピソード。先週との喉ごしの違いをお楽しみください。


■#10 そして竜虎は神に挑まん ガチ怒りの詩羽先輩

 霞ヶ丘詩羽(かすみがおか うたは/演:茅野愛衣)と澤村・スペンサー・英梨々(さわむら・スペンサー・えりり/演:大西沙織)に同人サークルへの参加を断られた傷心の安芸倫也(あき ともや/演:松岡禎丞)。その裏で何が起こっていたのか、9話Bパートの続きが語られます。紅坂朱音(こうさか あかね/演:生天目仁美)からみそくそに言われた二人が川辺で相談中。朱音の企画はムカつく感情を差し置いても、魅力的なものでした。

「ねえ信じられる? 『フィールズクロニクル』よ! 生まれる前から人気シリーズだったのよ。その新作をあたしとあんたで作るって!」

 察するに『ドラゴンクエスト』か『ファイナルファンタジー』級の大作なんでしょう。ワクワクしながら話し出す英梨々。作り笑いや愛想笑いじゃない本物の英梨々の笑顔、6話の別荘以来でニヤニヤしっぱなしです。詩羽も、本音をさらけ出します。
「悔しい……悔しいわよそんなの決まってるでしょ! あなたみたいな商業デビューもしてない同人絵描きの添え物みたいに言われて、プロの私が何も感じないはずがないでしょう!」

 日ごろからクールに、淡々と話す詩羽。だからこそ激昂する迫力がすさまじい。


■朱音、ほんとは悪いヤツじゃない あと詩羽が悩殺すぎる

 場面は変わって朱音と伊織。散々罵倒して、英梨々たち(と視聴してる僕ら)の心証が悪かった朱音の本音がポロリします。

「あいつらは私が思いついた、胸がワクワクするような最強のゲームを作るために、必要なんだ」

 不器用でまっすぐが故に、誤解されてしまう朱音。彼女の真摯な創作魂にハッと気づかされました。結局、この作品に悪者って一人も出てこないんですよね。ただ、見る角度によって映り方も異なっていくだけ。1期ではあれだけ感じ悪い同人ゴロだった伊織も、2期では世話焼きの善人ですし。でも10代の頃は視野も狭くて、そこまで世の中を達観できません。ティーンにありがちな心の余裕の無さ。そういった青春時代の感情を、『冴えカノ♭』はふと思い出させてくれるのがイイ。

 日が変わったある日の午後。英梨々の電話で起こされる詩羽。タンクトップから谷間どころか、先端まで数ミリの極エロなカット。右乳房、タンクトップのカーブが先端でやや鋭角になっていて、乳首が浮き出てるじゃないですか! それにしても詩羽のお色気担当っぷりたるや、『タモリ倶楽部』でお尻振ってる人みたいっすね。


■英梨々の泣きの超絶作画に刮目

 詩羽を呼び出した英梨々は、スランプから脱したことを告げます。英梨々の家まで慌てて絵を見に行こうとする詩羽、どんだけ柏木エリの大ファンだって話ですよ。「やっと私を認めたわね、霞ヶ丘詩羽」って言ってますけど、もうとっくに認めているわけで。

 英梨々は勝ち誇った高笑いをしてから、次の瞬間に泣きそうになります。この表情の移りかわりが超絶作画。口を開けて大笑いしつつ左へ顔をそらす。開けた口が歪んで、瞳に涙が溜まっていく。口元は歯をむき出しにして、えくぼがくっきり浮かび上がっています。泣くのを我慢している辛さが伝わってくる極上の作画。さらにコンマ以下の秒単位のニュアンスに合わせてくる大西沙織さんの演技力も、ずば抜けていて感服しかありません。

「倫也がそばにいると描けない。サークルにいたままじゃ、今より前に進めない。倫也が求めているすごいイラストレーターになれないよーーっ!」

 詩羽の胸で号泣する英梨々。『エロマンガ先生』のムラマサ先輩のシリアス演技にもゾッとしましたけど、大西沙織さんの役への入り方には凄まじいものがあります。サークルを抜けないと、倫也の求めるイラストレーターになれない。でもそれは倫也を裏切るという矛盾。英梨々の切ない心情に心が痛くなる! ああっ、これぞ美少女ゲーム時代から続く丸戸史明節の真骨頂!

 英梨々は創作を優先させます。やっぱり『冴えカノ』は、ラブコメよりもクリエーター寄りの話なんだよなあと改めて認識させられました。ひとしきり泣いた後、英梨々は言います。

「霞詩子の凄さを理解してない紅坂朱音なんて、ぜんっぜん大した事ない!」

 そして「二人で、紅坂朱音を倒すわよ」って拳を交わす、竜虎の誓いが胸を打ちます。一年前に二人は出会い、ケンカ別れした遠い過去。しかし、心の奥底ではお互い敬意を持っていることが1話で描かれました。その顛末が、ここに繋がる気持ちよさ。幾重にも重なる伏線が『冴えカノ♭』の魅力だと改めて再確認した次第です。


■ラスト2分で猛烈にまくるメインヒロイン

 伏線と言えば、7話で波島伊織(はしま いおり/演:柿原徹也)が倫也にバレンタインチョコをプレゼントして、BLを疑っていた喫茶店の店員さん。今回もジト目で怪しんでて、提供バックにも出ていたのが大笑い。

 英梨々と詩羽が盟友になったエピソード、イイ話だったナー……で幕を閉じるかと思いきや。例の坂道、一年前と同じ桜の花びら舞う季節に、倫也は加藤恵(かとう めぐみ/演:安野希世乃)に出会います。

「今から、デートしよ。デート、してみよ、わたしたち」

 首を傾げて促す恵。うわあぁぁめっちゃ可愛い。ラスト2分足らずで恵が持ってっちゃったよ。この恵のセリフも原作とは改変されています。どんなラストを迎えるのか。オリジナル最終回になるのか。原作付きでありながら、原作者がシリーズ構成をすることで、先が読めない展開にワクワクしっぱなしで次週まで待ちきれません。
(文/かーずSP)

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