【劇場アニメレビュー】キャラ配置のアレンジが絶妙!『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第二章 発進篇』

【劇場アニメレビュー】キャラ配置のアレンジが絶妙!『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第二章 発進篇』

『ヤマト2202』公式サイトより

 いよいよ『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第二章 発進篇』が全国の映画館にお目見えとなった。今回は宇宙の平安を祈り続ける女神テレサからのメッセージを受け取った古代進らが、地球連邦防衛軍の制止を振り切ってヤマトを再び宇宙へ発進させる前半パートと、第十一番惑星に帝星ガトランティス先遣部隊が来襲する後半パートで構成されている。

 本作のオリジナル版ともいえる映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(1978年)およびTVシリーズ『宇宙戦艦ヤマト2』(78〜79年)をリアルタイムで見ていた世代にとって、今回の第二章はまさに“発進篇”の名に恥じぬ勢いが示されており、特に海中からヤマトが発進していくさまは、当時の盛り上がりを蘇らせるに足る優れものとなっており、作画スタッフのヤマト愛を大いに感じさせてくれる。

 思えば前作『宇宙戦艦ヤマト2199』も、昭和の『宇宙戦艦ヤマト』で育った世代のこだわりを感じさせるものではあったが、一方ではSF的設定のつじつま合わせなどに腐心しすぎて、オリジナルに内包されていたロマンティシズムが薄れてしまった感もなくはなかった。

 その意味では『2202』も前作『第一章』はその影響を大いに受け、破壊兵器として波動砲の存在意義はもとより、地球とガミラスの共闘がなされていたり、ガトランティスがいきなり攻め込んでくるなど、オリジナルとは異なる設定が次々と展開されていくあたりは面食らうところもあったのだが(何よりも冒頭いきなり、ガトランティス大帝ズォーダーが“愛”を唱える!)、『第二章』は比較的オリジナルの良いとこ取りといったスタンスで進められていくので、リアル世代としてはかなり安心して見ていられるのも確かだ。

 時に今回はヤマトVSアンドロメダという、かつて『宇宙戦艦ヤマト2』の出だしの見せ場でもあった名シーンが見事にアレンジされているあたり、大いに注目したい。
 かつて『さらば』ではヤマト二代目艦長として見事な采配を振ってくれていた土方竜を『2』ではアンドロメダ艦長へと設定を変更したことで、『さらば』ファンとしては怒り心頭ではあったのだが、それゆえに盛り上がった数少ないシーンのひとつが、このヤマトVSアンドロメダなのであった。

 そして今回、アンドロメダ艦長に就任しているのは、何と山南修なのだ!
 山南修は映画『ヤマトよ永遠に』(80年)でヤマト艦長を務めた猛者ではあるが、劇中さほどの存在感はなく、最後に戦死する際に「部品の一つが壊れただけだ」と漏らすのだが、本来名セリフになるべきところが、それまでの描写不足でどこか空々しくなってしまったキャラクターでもあった。

 しかし『2199』に登場してきた彼は、キャラクター・デザインを変え、ヤマト初代艦長・沖田十三や土方の後輩という立場を明確にさせつつ、どこかペシミズムを匂わせる男へと変貌していた。そして今回は『2』の土方に代わって古代進と対峙するという、実に美味しい立場で漢気を示してくれているのだ。これぞ旧シリーズの反省すべき部分を熟慮した上で成し得た、魅力的再生の好例ともいえよう。

(ただし、そうなると『さらば』でも『2』でもアンドロメダはガトランティスに屈して撃破されてしまうわけだが、ここで山南さんも死んでしまうのか? そうなると『ヤマトよ永遠に』のリメイクはないと考えたほうがいいのか? また新たな疑問が出てきてしまった!)

 一方『2202』の土方はアンドロメダ艦長ではなく、第十一番惑星に左遷させられた身として登場する。その惑星には『さらば』でも『2』でも大活躍だった空間騎兵隊の斎藤始が駐屯しており、そこにガトランティスが攻め入ってくるのだから、これまた実に心憎いアレンジであり、そうなってくると今回は土方が『さらば』同様ヤマト二代目艦長に就任する確率濃厚とみたのだが、残念ながら予想が当たっているかどうか、その結果は次の『第三章』までおあずけとなりそうだ。

 もっとも沖田十三に負けず劣らずの人気キャラである『さらば』の土方さんは、負け戦の無念を知り、それゆえに果敢に戦う術を知る漢でもあったわけだが、今回も既にその雰囲気を漂わせており、今後の展開が実に楽しみになってくるのだ。

『2199』で旧シリーズよりキャラが激増してしまったツケも、今回でかなり良い感じに清算できているように思える。新たに設けられた名パイロット加藤三郎のヤマト復帰に至る妻子とのエピソードも、定石的ではあれ感動的に映えている。

『2202』は監督が『宇宙戦艦ヤマト復活篇 ディレクターズカット』(12年)の羽原信義に、シリーズ構成&脚本を福井晴敏が担っているが、今のところ『2199』よりも人間描写に力が入っており、演出的にも良い意味で職人的に安定しているので、見る側も感情移入しやすい。富野由悠季監督作品の影響をモロに受け、特に最近は『機動戦士ガンダムUC』シリーズ原作者としてのイメージが強い福井晴敏が『2202』に参戦すると聞いたときも、正直ガンダムとヤマトは水と油では? と危惧するところもあったのだが、これまた今のところ違和感のないヤマト・スピリッツを汲んだものになっている。

 もっとも、復興して間もない地球がなぜアンドロメダ級の大戦艦を量産できているのかといった、『2199』を踏襲したつじつま合わせの数々にさほど必然性を感じなかったり(以後の展開次第で、またどう印象が変わるかわからないが)、ガミラスとヤマトの間を繋ぎつつ暗躍するクラウス・キーマンの存在も今のところは単に鬱陶しかったり、また『2199』から引きずる森雪出生の謎などなど、まだまだすべてにおいて気を許しているわけではないのだが、何しろ『宇宙戦艦ヤマト』という名がつくものである以上、リアル世代としてはついつい目を血走らせてしまうのだ。

 いずれにしても今回の『第二章 発進篇』は大いに堪能できたのだが、あまりにものめり込み過ぎてエンドタイトルが流れた瞬間、もう終わりかよ! と思わず頭に血が上り「すぐさま次を見せろ!」と銀幕に向かって叫びたくなる衝動を抑えるのに必死なのであった。神田沙也加の主題歌《月の鏡》は、その後PVでようやく冷静に接することができた次第。
(美しく流麗な歌であった。でも彼女には『2』のエンディング曲でもあった《テレサよ永遠に》も、全七章のどこかタイミングの良いところで歌ってほしいものと切に願っている……)
(文・増當竜也)

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