『サクラクエスト』13話 待て待て、半年程度で観光客が毎日もりもりくるようになるとか、絶対ないから!

『サクラクエスト』13話 待て待て、半年程度で観光客が毎日もりもりくるようになるとか、絶対ないから!

『サクラクエスト』公式サイトより。人前に出る時頼りになる真希ちゃん

――都会での仕事に憧れる20歳女子。就活全滅、限界集落寸前の田舎のよくわかんない独立王国の王様に就任させられて、建国記念イベントを開催する。結局あの合唱団の子は何のために集められたのか……みたいな脱力小ネタが好きなたまごまごが、『サクラクエスト』(TOKYO MXほか)全話レビューお届けします。

 来週以降はアオシマ書店(http://aoshimabooks.com/)に移動して、放送日にあたる水曜日午前中に、振り返りレビューを掲載します。


■第13話『マリオネットの饗宴』サンダルさんとグアム旅行行きたい

 チュパカブラ王国の建国祭が幕を開けた。テレビ局が人気バンドを呼んだこともあり、ものすごい数の観光客が、間野山にやってきた。木春由乃(演:七瀬彩夏)たちは仰天するが、商店会の出店も大盛況。トントン拍子に進むかのように思われた。

 しかし由乃たちの準備したクイズ大会とライブが丸かぶり。参加者はほとんど持って行かれてしまった。それでもなんとかイベントを進行し、1日が終了。
 後日、テレビ番組で自分たちの活動の事実が曲げられてしまったこと、苦労して考えたクーポンがゴミのように捨てられていたことを知った5人は落ち込んでしまう。


■思ったより……できてる?

 先週の放送時、建国祭準備があまりにもうまくすぎていて「大失敗フラグすぎる!」とネットでは阿鼻叫喚だった(http://otapol.jp/2017/06/post-10897_entry.html)。

 ところが、開会式には多くの人が集まるし、出店はめちゃくちゃ売れるし、イベントはほぼ大盛り上がりだし。タイムラインを見ていると「あれ?」という反応ばかり。全部ライブに持って行かれて閑古鳥で大損、という大失敗は起きなかった。
 クイズ大会で「グアムに行きたいかー!」で乗ってくれたライブ待ちの人たち。ありがたい存在だと思うよ。

 大成功や大失敗のようなドラマは、現実にはなかなか起きない。今回は100点でも0点ではなく、60点くらいなのが生々しい。
 「取り返しのつかない失敗をして、そこからの逆転劇が〜」とはならず、そこそこ成功している分、かえって悶々とさせられる。


■長い目で見る老人と、憂う若者

 門田丑松(演:斧アツシ)は今回のイベントを大成功と大喜び。
 彼の思想は「まずは知ってもらう」こと。その点、6,000人もの人が来て、テレビにも映ったことで、間野山の名前は間違いなく前よりも知られるようになった。
 一方で、織部千登勢(演:伊沢磨紀)は、このイベントで大きく変わるとは、はなから考えていない。ライブに人が流れるのも、クーポンごときで変わらないのも、全部承知の上。資金を出した商店会はちゃんと儲かり、トータルでプラス。
 2人は由乃の活動を、失敗するであろう部分込みで「及第点以上」と見ている。

 イベントが成功し、ライブ客も満足し、クーポンで地元のお店にリピーターがついてもらうようにしたい、というのが由乃の理想。
 しかし彼女が見たのは、捨てられたクーポン、積み上がったゴミの山、誰も来ない翌日の商店街。すっかり気落ちしてしまった。

 待て待て、半年程度で観光客が毎日もりもりくるようにできるとか、ありえないから!
 確かにクーポン捨てられたのはショックかもしれない。報道にもがっかりかもしれない。
 でもなんで丑松が褒めているか、千登勢が協力し感謝しにきたか、若者5人には伝わっていないようだ。
 ライブ目当ての客も間野山をちゃんと楽しんでいた。観光マップ付きお弁当も売れた。一過性のイベントに見えるが、密かに種はまかれている。


■外部の人間は嫌な奴だらけ

 外部から来る人間は、神経を逆なでするキャラばかりだ。
 物語序盤で悪口を言っていたテレビ局の久米(演:一条和矢)は、映像編集による歪曲を行っており、すっかりヒール。今回ライブに来た3人も、プロの割に素っ気ない。
 映画撮影に来ていた園田監督(演:浦山迅)は、撮影スタッフからも嫌われていた。
 人に迷惑をかける割に、特に深い事情も無く、本人はうまくやっている。彼らが出てくるとモヤモヤが残り、一話の中でのカタルシスが減少する。

 このアニメは、物語の起伏をグッと抑えているように見える。
 ドラマチックに描いてくれたほうが見ていて楽しいのだが、要所要所でブレーキを踏んでいる。
 イラッとくる人間が痛い目にあって、由乃たちが大成功したほうが、見ていてすっきりはしそうだ。だが、それはこの作品が求める物語ではないだろう。
 彼らをあえて淡々と描くのは、今後のキモになりそうな部分だ(『SHIROBAKO』も23話でやっとスッキリしたし)。

 もう一人の間野山人の熱血漢・雨宮幸也(演:加藤将之)がどう動くかは、ものすごく気になる。いい味方になってくれそうだ。
 この後由乃たちに必要なのは、切り札に使えるアイデアの貯蓄と、自分たちと違う視点を持った協力者だ。2クール目、由乃ちゃん、だんないよ!

(文/たまごまご)

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