瀬下監督、冲方丁さんらが登壇、『BLAME!』大ヒット記念!超SFナイトレポート

瀬下監督、冲方丁さんらが登壇、『BLAME!』大ヒット記念!超SFナイトレポート

左からイベントに参加した塩澤快浩さん、瀬下寛之監督、冲方丁さん

劇場版『BLAME!』の大ヒットを記念した、「『BLAME!』大ヒット記念!超SFナイト舞台挨拶」が6月1日(木)、新宿ピカデリーにて開催されました。本編の上映後には、瀬下寛之監督、作家の冲方丁さん、『SFマガジン』編集長の塩澤快浩さんが登壇。SFという視点から『BLAME!』の魅力を紐解いていきました。

本作は、アニメーション制作を担当したポリゴン・ピクチュアズによって、すべてCGで制作されています。この点に関して、冲方さんは「殴ったら硬そうなモノ、ヒトの描き方は、手描きだったらできなかったかもしれません。このサイボーグ感と人間感のテイストは、『BLAME!』世界、(弐瓶)勉作品にぴったり」と絶賛しました。

本作の公開にあたり、冲方さんは「CGの最大の特徴はデータの蓄積だ。成長する怪物を見ている気分になる」とコメントを寄せていました。このコメントについて、瀬下監督は「的確に射貫かれている」と感嘆したようすで、「CGのデータは蓄積されていくので、今後もし続編やゲーム化などがあったら、さらに『BLAME!』の世界がデータ上で増殖していきます。それがCG屋としての楽しみです」と語りました。

また、司会からは霧亥のCGモデルにこだわりすぎたあまり、負荷が高じてポリゴン・ピクチュアズのサーバーが止まったことが明かされます。瀬下監督は「僕ら監督やスーパーバイザーという人間たちが、スタッフによる増殖を止められませんでした」と、スタッフの作品愛に笑顔を浮かべました。さらに、「今後、AIが進化していくと、CGデータがCGを作りはじめるという妄想もあながち非現実的ではなくなるかもしれません」と瀬下監督。塩澤編集長は「『BLAME!』世界そのもの」だと、本作で描かれる増殖する階層都市との類似を指摘します。それを受けた瀬下監督が「あの都市に作らされているのかもしれない」と語ると、冲方さんに「ネット端末遺伝子のない監督は駆除されてしまいますね」と突っ込まれ、会場は大きな笑いに包まれました。

中盤では、制作裏話に触れる場面もありました。塩澤編集長は「遠景から豆粒のような霧亥が階層都市を登っていくさまを延々と映すのもいいのかなと思ってました」と発言。すると、瀬下監督は「弐瓶先生の原理主義者の皆さんから、『延々歩いていて映画になるのか』という心配の連絡がきましたが、平気ですと返しました」と、コアなファンから期待と不安の声が寄せられたことを明かしました。劇場版は「ハードSFの皮を被ったマカロニウエスタン。弐瓶勉作品の入門編なんです」とのことで、多くの人にとってフックとなる要素がたくさんあると確信していたそうです。

今回の舞台挨拶の核心ともいえる「『BLAME!』のSFしているところは?」との質問では、「どこまで人間を疎外して描けるかに挑戦している」ことを挙げた冲方さん。環境に疎外された人間がどのように生きていき、その結果どうなるのかを淡々と描いているといいます。瀬下監督は「原作は人というより世界が主人公なんです。そのすごさにいきなり映画で切り込むのは難しい」として、電基漁師を主人公に据えたそうです。一方、塩澤編集長は、SFを「今持っている認識を何らかの形で変えてくれる物語」と定義した上で、「“果てのない都市”というアイデアと、当たり前にあるテクノロジーが明るい未来ではなく、暗い未来を描いているところ」だと回答しました。

イベントの終盤では、冲方さんが執筆したノベライズ『小説BLAME! 大地の記憶』の執筆意図や弐瓶さんとのやりとりが語られたほか、当日は原稿作業で登壇できなかった弐瓶さんからのメッセージも紹介されました。最後に瀬下監督は『BLAME!』ファンへの感謝の言葉を述べ、ノベライズと『BLAME! THE ANTHOLOGY』を取り上げて「無限に増殖するどこまで広いのかわからない都市の世界に、いろんな扉から入れるのはありがたいことです」と締めくくりました。

劇場アニメ『BLAME!』は大ヒット公開中。Netflixでも配信中です。【取材・文:岩倉大輔】

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