家族との死別、人妻との恋……生きていくために絵を描き続けたムンクの生涯

家族との死別、人妻との恋……生きていくために絵を描き続けたムンクの生涯

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 ノルウェーを代表する画家ムンク。代表作《叫び》は日本で最も知られる絵の一つだろう。この秋、《叫び》など油彩画約60点を含む100点からなる大回顧展が開催される。

 ムンクの絵には不安と不穏が渦巻く。1863年に生まれた彼は、幼い頃に母と姉を亡くし、以来その人生は孤独と憂鬱に包まれていた。青年になってからは人妻との恋に傷つき、恋人とのいざこざでは銃が暴発し指の一部を失うなど、色恋沙汰にも苦しんだ。

 悲しみや辛さを抱えながら、なんとか生きていく為にムンクは絵を描く他なかった。「私の絵は、自己告白である」と語るその創作は彼自身の心情の記録ともいえるものなのだ。

 会場には重苦しい作品だけでなく色鮮やかな美しい風景画なども並ぶ。暗い内面と対峙しながらも画家としてのムンクの表現は力強くモダンだ。80歳で亡くなるまで絵を描き続けた彼の足跡と作品を改めて見つめてみたい。(林綾野)

INFORMATION

『ムンク展――共鳴する魂の叫び』
10月27日〜2019年1月20日 東京都美術館 03-5777-8600(ハローダイヤル)
https://munch2018.jp/

(林 綾野/週刊文春 2018年10月18日号)

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