日韓合同アイドルオーディション番組「プロデュース48」 懸念されていた日韓の実力差のゆくえ

日韓の実力差が懸念された"プロデュース48" HKT48・矢吹奈子、AKB48・後藤萌咲が頭角

記事まとめ

  • 日韓のアイドルや練習生がデビューを目指すオーディション番組「プロデュース48」
  • 放映前から日韓の実力差が懸念され、参加するHKT48・宮脇咲良の実力を訝しがる声も
  • HKT48の矢吹奈子やAKB48の後藤萌咲、竹内美宥、本田仁美らが頭角を現わしてきている

日韓合同アイドルオーディション番組「プロデュース48」 懸念されていた日韓の実力差のゆくえ

日韓合同アイドルオーディション番組「プロデュース48」 懸念されていた日韓の実力差のゆくえ

PRODUCE48の公式ホームページ

 なんと無謀な――。

 最初はそう思った。

 6月15日から日韓で放映されているアイドルオーディション番組「プロデュース48」のことだ。

「プロデュース48」は、韓国の音楽専門チャンネル「Mnet」が企画・放映しているオーディション番組「プロデュース101」と日本のAKB48とのコラボレーション企画。2016年と17年に放映された「プロデュース101」「同シーズン2」はケーブルテレビにもかかわらず5.2%という高い最高視聴率をたたき出し、大ヒットとなった。今回はその第3弾だ。

■視聴者投票によってデビューが決まる

 番組には、日韓それぞれのアイドルや練習生96人が参加し(第一回のサバイバル投票で現在は58人)、さまざまなパフォーマンスを繰り広げながら国民プロデューサー(視聴者)の投票により最後まで残った12人のメンバーが期間限定アイドルとしてデビューできる。

 投票は、番組スポンサー会社に会員加入することが前提条件となっているため、韓国で本人名義の携帯がない場合は投票が難しい。つまり、投票する人のほとんどは韓国人で、一度に12人に投票する仕組みになっている。2016年には、11人の女性グループ「I.O.I」(2017年1月解散)、17年には11人の男性グループ「Wanna One」(2018年末解散予定)がデビューを飾った。

■日韓の実力差を懸念する声も……

 日韓コラボということもあり、放映前から「すでにデビューしているAKBのメンバーは知名度もあり、韓国のデビュー前の練習生には不利だ」や「日本の学芸会のようなアイドルと苛酷な練習をしている韓国の練習生では実力が違いすぎる。競争にならない」、「日本との合作=右翼番組ではないか」などといった雑音が飛びかった。

 正直、そう、無謀だろうと思ったのは、日韓のアイドルのコンセプトの違いだ。

 米国でも人気がある「防弾少年団」然り、韓国のアイドルは自国の狭い音楽市場という事情もあって、デビュー前から海外進出を視野に入れた実力重視のいわばアーティスト。なにより実力ありきだ。一方、AKB48は、「会いに行けるアイドル」がコンセプトで、かわいらしく、親しみやすさがアイドルの絶対条件。そもそも求められるアイドル像が激しく異なる。

 韓国で初めてAKB48の公演が放映された2010年には、韓国の知り合いからは「AKB48って芸能人ではなくアマチュアグループだよね?」や「日本はあんな子供のようなアイドルが人気なのか?」と聞かれたり、「あれが日本の実力かと思われるのは心外。恥ずかしいから韓国で公演しないでほしい」と話していた在韓の日本人もいた。 

 そして、「プロデュース48」……。ふたを開けてみると、やはり……。

 歌や踊りなどでのパフォーマンスによるA〜Fのランク分けでは、日本人メンバーのほとんどが低いレベルへ。ダンス担当のトレーナーは、「日本の子たちは正直分からない」とあきれたような表情をつくり、日韓の実力の差は残酷にもさらけ出された。

 スター性でAランクとなった宮脇咲良にも、韓国の参加者からは「正直、Aのレベルかなと思いました」とその実力を訝しがられる始末。当の宮脇咲良も、「すごくショックで、韓国の人は日本でも通用するのに、日本人は日本を出た瞬間に通用しなくなる現実を突きつけられた気がして悔しいって思いました」と心情を吐露していた。

■AKB48とのコラボは「渡りに船」だった?

 韓国の芸能記者は言う。

「『プロデュース』シリーズは3回めということもありややマンネリぎみという印象もありましたが、日本のAKB48とのコラボで息を吹き返したともいわれています。日韓のアイドル練習生の実力の差はかねてから言われていましたが、この番組のコンセプトは、彼女たちの『成長』。完璧なアイドルというよりは、その成長していく姿を視聴者が見守っていくことが焦点となっている」

 この番組の担当プロデューサー、アン・ジュンヨン氏は、スターを輩出した「スーパースターK」などの人気オーディション番組の仕掛け人で、韓国のエンタテインメント番組制作では第一人者と呼ばれる。放映前、「プロデュース48」のコンセプトについてはこう話していた。

「番組を通して、韓国や日本のそれぞれの特殊性ではなく、アジア、あるいは世界を舞台に活躍するアイドルを夢見る子たちが、韓国というひとつの場所に集って共通の夢を成し遂げる、夢、友情、成長というキーワードを描きたかった」(スポーツトゥデイ、2018年6月11日)

 アイドルの青春の群像といったところだろうか。視聴率はまだ2%台と横ばいで過去のそれと比べると低いが、ケーブルテレビ番組の中では上位に入り、人気は上々だ。

■さっそく繰り広げられた、意外なメンバーの逆転劇

 日本人のメンバーの中で、当初人気が抜きんでていたのは、HKT48の宮脇咲良だ。韓国ではその美貌と「生真面目さ」が好印象のようで、これまでの人気投票では常に上位に。そこへ最近めきめきと頭角を現わしてきているのが、やはりHKT48の矢吹奈子だ。

 当初のレベル分けでは屈辱のFランクとされたが、その後の頑張りでAランクに大抜擢され、日韓のポータルサイトの検索語で上位にあがるなど韓国でも知名度が一気に上昇。それ以降はパフォーマンス対決で「歌唱力がある」、「姿が妖精のよう」などと注目を集め、7月20日時点で得票数1位に躍り出た。

 他には、AKB48の後藤萌咲(6位)、竹内美宥(11位)、本田仁美(12位)は第1回のサバイバル投票で12位以内に滑り込み、16位と圏外だったNMB48の白間美瑠はその後のグループ別のダンス対決で韓国の練習生を抜き1位となるなど人気上昇中だ。

■「出来レース」疑惑が噴出すると、ファンは判官贔屓に

 しかし、全11回放映予定の中で折り返しを過ぎたところで、特定のプロダクション所属生や宮脇咲良などを特別扱いしているのではないかという疑惑が噴出している。

 確かにインタビューや練習風景などで特定の参加者にスポットが当たっていることは否めず、韓国のファンらは番組構成を「悪魔の編集」と批判している。けれど、こうなると人は判官贔屓。なかなかスポットが当たらないメンバーを応援する声も高まっていて、最終12人のメンバーは混戦模様になっている。

 当初心配されていたダンスや歌唱力などでの日韓の実力の差はやはりはっきりと露わになったが、短い間に目を見張るような成長を見せる日本人メンバーもいて、そのがんばりぶりにはエールを送りたくなる。

■今思い出す「あの人」

 ただ、与えられた課題を「できない」と人目も憚らず泣き出し、練習にも自暴自棄なそぶりを見せる日本人メンバーもいる。幼い年齢を知ると、それも仕方がないことかもしれないと思いながらも、ふと、日本でのK-POP人気を切り開いたBoAを思い出した。

 2001年、すばらしいパフォーマンスをひっさげて日本にデビューした時、彼女はまだ14歳だった。世界進出のために2年間、練習に明け暮れ、日本での成功はミッションだった。

 来日した時、彼女はあの小さな肩にどれだけのものを背負っていたのだろうか。

(菅野 朋子)

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