ホークスのルーキーとベテランの絆――大竹耕太郎と長谷川勇也の場合

ホークスのルーキーとベテランの絆――大竹耕太郎と長谷川勇也の場合

8月1日の西武戦で初勝利を挙げた大竹耕太郎 ©時事通信社

“若手の台頭”はチームの未来を明るく照らします。一方、“ベテランの奮起”はチームの常勝に必要不可欠です。しかし、対局とも言える要素。その両立は各チームで求められていますが、簡単ではありません。今季は苦しいシーズンを戦っているホークスですが、そんな中でも、“それ”を感じた試合がありました。

 8月1日の西武戦です。私だけではなく、たくさんのホークスファンの皆さんがドキドキしながらプレーボールを待ち、祈るような思いで試合を見つめたのではないでしょうか。その3日前の7月29日に育成から支配下登録されたばかりの大卒ルーキー・大竹耕太郎投手がプロ初登板初先発を果たしたのです!

■“残り1枠”を勝ち取った大竹の快挙

 まさに努力の賜物でした。育成入団という悔しさをバネに、「1年目の7月31日の支配下登録の期限までに支配下になれなかったら終わるくらいのつもりで」と強い気持ちでこの舞台を目指してきました。やるべきことを考えて着実に取り組んできた姿勢と、ウエスタンでこの時点で最多の8勝を挙げて、しかも0敗というまぎれもない結果でまさに有言実行し、残り1枠となっていた支配下選手の枠に滑り込んだのです。そして即初先発のチャンスをつかみました。

 初回には猛獅子打線の主砲・山川穂高選手に先制2ランホームランを打たれ、プロの洗礼を浴びました。しかし、その直後です。2回表、長谷川勇也選手の同点2ランホームラン! 踏ん張る大竹投手に最高のプレゼント! 先輩がルーキーの初失点を帳消しにしました。

 すると、大竹投手も先輩の熱い想いに応えます。1軍のマウンドに臆することなく、2軍でやってきたことをそのまま8回まで2失点の快投で魅せました。育成出身選手の初登板初先発で初勝利という史上初の快挙を成し遂げたのです!!

 試合後には初のヒーローインタビューも。持ち味のクレバーなトーク術も披露(笑)。ホークスファンにとっては忘れられない、そして大竹投手にとっては一生の思い出となる、最高のデビュー戦となりました。

■「筑後で一番頑張っていた」後輩への想い

 その大竹投手の力投を支え、勝利を手繰り寄せてくれた長谷川選手は、同点2ランから始まり全4打席で4安打5打点の大活躍で初勝利をアシストしました。

「春先から、2軍で一緒に頑張っていた大竹が初先発なので、早めに何とかしてあげたかった」というコメントからは、熱い想いがガンガン伝わってきました。後輩への想い、そして長谷川選手自身、長くなってしまっていた2軍暮らしで感じてきた様々な想い……。

「彼は、本当に僕が見た中で、筑後で一番頑張っていた」

 プロ生活12年目のベテランが入団してわずか半年ちょいのルーキーにそんな想いを抱いてたとは……。更にこう続けました。

「日々の取り組みも意識高いし、僕らも大竹の練習を見てまだまだやらなきゃと感じました」

 こんな思いで大竹投手の初先発を支えたのかと思うと鳥肌が立ちました。心意気だけでもかっこいいのに、本当にその試合で打ちまくるから凄いです。

■これこそまさにベテランと若手の共存

 この試合ではスタメン出場しましたが、今季1軍では代打での出場が主だった長谷川選手。1打席しかない中で、「打てるか打てないかは、天国と地獄みたいな生活」と自身の立場を受け止めていました。その1打席の重みを感じてきたからこそ、スタメンで出場しても1打席1打席の集中力は計り知れません。そこに強い気持ちが乗ったら尚更です。

「僕にとって良い刺激にもなるし、僕も後輩が見て勉強になる姿勢を魅せないといけない」

 そんな長谷川先輩の想いを大竹投手に伝えると「そんなに人前で練習してたつもりはなかったんですけどね〜」と照れながらも、嬉しそうな笑顔を浮かべました。いや〜、見ている人は見てるんですよね!

 初先発の試合後も「ナイスピッチ」と長谷川選手に声を掛けられたそうです。ちなみに、7月に初めて1軍練習のシート打撃に登板した時は、長谷川選手にレフト前ヒットを打たれました。ロッカーに戻ると「うぇーーーい」と茶化されたそうです(笑)。でも、なんで打てたのか、大竹投手の投球がどう見えたのかを打者目線で説明してくれたと言います。

「一生懸命やってる人には声掛けたいし、自然とそうなります」と長谷川選手。これこそまさに、ベテランと若手の共存。相乗効果です。

 チームが苦しんでいる時こそ、こうして支えあい、高めあえる関係は最強だと思いました。それが若手とベテランならより一層。今を戦う選手たちが奮起しながら、若い世代が育ち、ホークスの常勝時代が続いていくことを願っています。

《追伸》

 以前の コラム にて書かせて頂いた始球式で球速100キロの挑戦、上杉あずさの“めざせ100キロプロジェクト”。

 実は、8月11日のヤフオクドームでの日本ハム戦・セレモニアルピッチでリベンジの舞台を頂きました。そこで、ピタリ100キロをマーク! 初めて硬球を握った時は70キロ前後だった球速も、2年弱練習してきて、まずは目標としていた100キロを達成することが出来ました。支えて頂いた、応援して下さった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

 相乗効果、高めあいなんて言うのは恐れ多いですが、この結果を受けて、現役の大学、高校球児やプロ野球選手にも「勇気もらいました」、「自分ももうちょっと頑張ってみようかな」などと声を掛けてもらいました。私自身は、むしろ野球で輝く皆さんに刺激を受けて頑張れたので、そんなふうに思って頂けたとしたら本当に感無量です。

 このプロジェクトに取り組む日々で、野球がより好きになり、もっと野球を知りたい、深めたいと思うようになりました。そして、甲子園でも馴染みある済美高校の校歌の歌詞にある「やればできるは魔法の合いことば」のように、何の取り柄のない自分でも、やり続ければ目標は叶えられるんだとちょっぴり自信にもなりました。

 これからも、取材人としても一人の野球好きタレントとしても成長していけるよう、引き続き頑張ります。文春野球コラムと共に、私の挑戦も応援して頂けたら嬉しいです。ありがとございました。

※「文春野球コラム ペナントレース2018」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/-/8366 でHITボタンを押してください。

(上杉 あずさ)

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