ロッテ・福浦和也が書く「2000本安打達成で思い出した、25歳春のあるできごと」

千葉ロッテマリーンズ・福浦和也が通算2000本安打達成 西武・松井稼頭央が花束贈呈

記事まとめ

  • 千葉ロッテマリーンズの福浦和也が9月22日の西武ライオンズ戦で2000本安打を達成
  • 達成した時、同い年の西武・松井稼頭央外野手が花束をくれたことが嬉しかったという
  • 徳光和夫が「キミ、首位打者を獲るよ」と言ってくれたことが、福浦の自信になったそう

ロッテ・福浦和也が書く「2000本安打達成で思い出した、25歳春のあるできごと」

ロッテ・福浦和也が書く「2000本安打達成で思い出した、25歳春のあるできごと」

22日の西武戦、2000本安打を放った瞬間の福浦和也 ©時事通信社

 9月22日のライオンズ戦で通算2000本安打を達成させていただきました千葉ロッテマリーンズの福浦和也です。

 記者会見、テレビの個別インタビューをすべて終え、ロッカーでこちらを書かせていただいています。個人的には書いて表現することはとても苦手で、普段なら絶対に書きませんが、だいぶ前から梶原(紀章)広報とは「達成したらなんでもやるよ」と約束をしてしまっていたので頑張って書かせていただいています。

■ライオンズ戦で達成できた喜び

 達成した瞬間はファン、家族、ここまで出会ってきたすべての監督、コーチ、選手、スタッフへの感謝の気持ちで一杯となりました。だから代走を告げられてベンチに戻るとみんなと「ありがとう」と言って抱き合いました。

 そしてなによりも嬉しかったことは同じ年で仲のよいライオンズ松井稼頭央外野手が三塁側ベンチ横から二塁まで走ってきて、花束をくれたことです。今年に入って対戦試合で会うたびに彼からは「ライオンズ戦で達成してくれよ。オレが花束を持って行きたいから」と声をかけていただいていました。自分の中では、なかなか、そんなに上手くはいかないだろうなあと思いながらも、どこかでライオンズ戦を意識していました。

 1戦目が雨天中止。2戦目で1安打の王手。そして迎えた3連戦3戦目。無安打のまま迎えた八回の第4打席で小川投手のスライダーにバットを合わせると二塁打となりました。とりあえずバットに当てようというガムシャラな意識。スタンドからの地鳴りのような声援を聞いて、記録を達成したことを実感しました。1500安打目を記録してから9年での達成。期待をしてくださったファンの皆様には長い間、お待たせして申し訳ないという気持ちで一杯ですが、時間をかけて、なんとか期待に応えることが出来て嬉しいです。

■記者会見中に思い出したこと

 記者会見ではいろいろな質問がありました。その場で一つ、思い出したことがありました。「過去に誰か2000本安打を打つ、もしくはいつか首位打者を獲ると予言していた人はいますか?」という質問をいただいた時の事です。

 もちろん自分でも想像もしていません。最初にプロのキャンプを見た時には呆気にとられました。正直に数年やってクビだろうなあと思いました。1年目の前半戦で投手から野手に転向。後はとりあえず悔いが残らないようにだけ頑張ろうとガムシャラな練習の日々を送りました。そうして97年より少しずつ一軍の試合に出場する機会が増えるようになりました。

 あれは01年の鹿児島春季キャンプの事です。00年オフにイチロー選手がメジャーに移籍。7年連続首位打者が海を渡り、野球ファンの間では「今年は誰が首位打者を獲るのだろう」と話題となっていました。自分も誰かなあと他人事のように考えていました。

■「キミ、首位打者を獲るよ」

 そんなある日、打撃練習をしている私を打撃ケージ裏で見守る山本功児監督の元にキャンプ視察のため徳光和夫さんがお越しになりました。2人で会話をしながら私の打撃を見てくださりました。打撃練習が終わると徳光さんから「キミ、首位打者を獲るよ。今年はキミだよ」と言っていただきました。徳光さんは覚えていないでしょうし、若い自分を勇気づけるために冗談で言ったのかしれません。でも自分の中では凄くその言葉が胸に残り自信となりました。

 前年はオールスター前まで打率3割を維持しながら結果的には打率.296まで落ち込んだこともあり、絶対に3割を打つと強く意識して臨んだシーズン。結果的にまさか打率.346の数字を残し、首位打者を獲る事になるとは思ってもいませんでしたが、獲得が決まった時に一番最初に思い出したのは徳光さんにキャンプで言われた「キミ、首位打者を獲るよ」の一言でした。その言葉がなぜか2000本安打を打った日の記者会見でも思い出しました。あの時、徳光さんはどう思ってなぜ自分に声を掛けてくれたのか。今、改めて思い出すと凄いなあと思います。なにげない一言かもしれませんが42歳なった今も自分は鮮明に覚えています。

 野手最年長となった今、肝に銘じたいのはこのように言葉の持つ力です。若い選手たちからアドバイスを求められたり、励ましたりすることも多くなりました。自分のちょっとしたなにげない一言が受け取る相手にとっては強く印象に残ることがあることを忘れないようにしながら生きていきたいと思います。

 最後になりますが記録は達成しましたが、まだ自分には目標があります。それは未だ達成していない本拠地ZOZOマリンスタジアムでの胴上げです。もっともっといい場面で打って、そして若い選手たちに言葉をかけながら優勝がしたいです。マリーンズファンの詰めかける中で最高の瞬間を味わうため、これからも頑張りたいと思います。

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(福浦 和也)

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