なぜエリートの間で「アートを学ぶ」ことが重要視されているのか?

山口周氏著『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』がベストセラーに

記事まとめ

  • エリートのあいだで、アートを学ぶことがビジネスの問題として重要視されているという
  • 山口周氏は目標達成のために現場の尻を叩き続ける経営を以前から批判してきたとのこと
  • 一方、新刊では日本企業の論理的・理性的な思考の不徹底も指摘し、議論を深めている

なぜエリートの間で「アートを学ぶ」ことが重要視されているのか?

なぜエリートの間で「アートを学ぶ」ことが重要視されているのか?

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(山口周 著)

 グローバル企業で活躍するエリートのあいだで、アートを学ぶことが、単なる「教養」ではなく、ビジネスの問題として重要視されているという。さまざまな局面で露呈した、論理的・理性的な思考の限界を、「美意識」を鍛えて乗り越えようというのだ。日本のビジネスシーンにおいてはまだあまり着目されていないこうした問題意識を、数々の知見や事例を巧みに集積し、説得的に示した新書が、刊行から約1年、口コミでじわじわと支持者を増やし、ベストセラーとなった。

「男女問わず、20代、30代の若手ビジネスパーソン……現場の第一線で活躍している方々に読まれている印象です。著者は以前から、著作やブログで、高い目標値を設定し、その達成のために現場の尻を叩き続ける経営を批判していました。それによってコンプライアンス違反が多発するであろうことも。やがてそれを証明するかのように、東芝の粉飾決算など、『美意識』なき経営が招いた問題が相次いで明らかになった。本書はこれまでの著作を超えるヒットになりましたが、著者が変わったのではなく、時代が著者に追いついたと感じています」(担当編集者の三宅貴久さん)

 だが一方で、欧米企業と比較した際、日本企業には論理的・理性的な思考の不徹底も目立つ。新刊『劣化するオッサン社会の処方箋』では、本書の問題設定を引き継ぎつつ、そうした点を指摘し、議論を深めている。

2017年7月発売。初版1万2000部。現在13刷8万部

(前田 久/週刊文春 2018年9月27日号)

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