優香40歳が涙して語った「志村さんしかいない」志村けんが“パートナー選び”に「隠し持っていたオモチャ」

優香40歳が涙して語った「志村さんしかいない」志村けんが“パートナー選び”に「隠し持っていたオモチャ」

優香 ©文藝春秋

「懐かしいけど今見ても面白い。やっぱりそれが志村さんの素晴らしいところですよね。バカ殿もオチが分かっていたり、こうなってほしいって思いながら見て、すごく楽しい。それができるのって志村さんしかいないんじゃないかなって思います」

「服着て、カツラ、メイクで全然違う人になるっていう。それが毎回見ていて新鮮ですし。何ですかね、本当に無理して笑ったっていうのがないですね。常に新鮮でいられた」

 タレントの優香(40)は、3月2日放送の『志村友達』(フジテレビ系)で、これまで語ってこなかった志村けんさん(享年70)と共演したコントへの思いを涙ながらに明かした。翌週3月9日放送の同番組では、「志村さん、コントの中で結婚したかったのかなあ?」と問われ、「だったんですかねえ。あのシリーズは覚えていますよ」としみじみと語っている。志村さんと“あうんの呼吸”でコントを繰り広げてきた女性たちの魅力をライターの平田裕介さんが綴る。

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『8時だョ!全員集合』の〈ヒゲダンス〉や『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』でのコント・ドラマ「THE DETECTIVE STORY」で探偵コンビに扮した加藤茶をはじめ、いつの時代にも志村には“あうんの呼吸”で笑いを生み出せる相手がいた。

〈鏡コント〉でおおいに笑わせてくれ、志村に代わって『キネマの神様』の主演を引き継いだ沢田研二。『志村けんのだいじょうぶだぁ』の〈芸者コント〉で、なんともいえぬ緊張感を孕んだ笑いを醸していた柄本明。『志村けんのバカ殿様』の家臣役でバカ殿を盛り立て、『志村流』『志村塾』『志村通』『志村座』といった深夜枠を支え、プライベートでは“週8で会っていた相手”を務めていたダチョウ倶楽部の上島竜兵。『志村でナイト』で上島的ポジションに就き、やはり“週8”で飲み、志村が遺した愛車〈キャデラックエスカレード〉を引き取った千鳥の大悟。

 そして、田代まさし。老夫婦に扮した彼と志村が「ばあさんや!」「じいさんや!」と呼び合うのを合図に噛み合わない会話を延々と続けていく「ご存知!じいさんばあさん」を筆頭に、『志村けんのだいじょうぶだぁ』では〈ひとみ婆さん〉や〈デシ男〉に振り回される相手役をこなし、監督コント、泥棒コントなどジャンルを問うことなくフレキシブルに対応し、鉄板すぎるコンビネーションを披露していた。

■志村けんと“あうんの呼吸”でコントを繰り広げた女性たち

 ついつい“志村けんと○○”となると男性とのコンビを思い浮かべてしまうかもしれないが、加藤茶や田代まさしとタメを張る“あうんの呼吸”でコントを繰り広げられる女性も実に多かった。

 そのルーツ的な存在として挙げねばならないのが、『8時だョ!全員集合』で〈夫婦コンビ〉の相手を務めた桜田淳子だろう。帰宅してきたサラリーマンの夫・志村が夕飯をせがむとなにも用意しておらず「お米を研ぎますね」と答える淳子。それを夫に憤慨された彼女が「私ってダメな女ね……」と泣き崩れると、悲壮な音楽が流れ、スポットライトが彼女を照らす。志村が慌ててなだめて愛を誓い合うも、また淳子がなにかをやらかして泣き崩れるのを繰り返すという内容。

■生たまごと“赤まむし”を手に白目を剥いて迫ってくる研ナオコの姿

 以降、シチュエーション、やりとり、笑いどころを変えていく形で〈夫婦コント〉は、志村(またはザ・ドリフターズ)の番組で演じられていくように。妻役も、小柳ルミ子、岡江久美子、堀ちえみら、さまざまな歌手、俳優、アイドルが扮して笑いを巻き起こしてきた。

 なかでも研ナオコは、子供心にも鮮烈な印象を残した。彼女が登場する〈夫婦コント〉で欠かせないのが、生卵と精力増強ドリンクの“赤まむし”。なにかにつけて、一度聞いたら耳から離れない異様なイントネーションで「なまたまご〜、赤まむし〜」とつぶやき、その2アイテムを手に白目を剥きながら迫ってくる。志村と一緒に、観ているこちらも笑って慄いたものだった。

 研ナオコとは健康グッズ「プチシルマ」のCMでも共演、2001年には〈けん♀♂けん〉名義でデュエット曲「銀座あたりでギン!ギン!ギン!」をリリースするまでに。ふたりの付き合いは50年、出会ったのは志村がザ・ドリフターズのボーヤだった頃。

「ある日、ドリフの楽屋へ挨拶に行くと、初めて見る顔が入ってきました。(中略)私が話しかけてみると、余計なことは言わないのに、話し方や内容がとっても面白い。思わず長さんに、『彼をメンバーに入れたらどう?』と言ったことがありました。のちにそれが実現したときは、うれしかったですね」(「婦人公論」2020年5月12日号)と研が語っているだけに、はなから笑いの波長がピッタリと合っていたのだろう。

■いしのようこと「夫婦」に……「私のこと、愛してないのね」

 80年代後半の〈夫婦コント〉といえば、『志村けんのだいじょうぶだぁ』でいしのようこを妻役に迎えた〈5時の夫婦〉シリーズ。寝る前に夫・志村が「明日、5時起きなんだよ」とサラッと言い放ち、妻・いしのが「ご、ご、ご、5時!?」と聞き返し、そのままあれこれと掛け合いをしていくというもの。『全員集合』の〈夫婦コント〉同様に志村がなにかしらの理由で怒り出し、いしのが「私のこと、愛してないのね」と打ちひしがれるのが基本パターンだったが、妙味となっているのはアドリブ重視のノリ。

 ふたりが本気で笑いを噛み殺そうとしていたり、たまらずに大笑いしてしまう姿が、ふたりの相性の良さをひしひしと伝えると共に妙にリアルな夫婦感も醸し出していた。その一方で、いしのは台詞を一切排除した「シリアス無言劇」と呼ばれるコーナーで俳優としての才能も発揮。表情だけで哀感を見事に表現し、観る者を本気で泣かせていた。

 1992年にいしのが『だいじょうぶだぁ』を降板して以降は一緒にコントをする機会はなくなったが、2012年に「志村けん一座 第7回公演『志村魂〜新作「先づ健康」〜』」で約20年ぶりの共演を果たしたのは嬉しい驚きだった。翌年の第8回公演『志村魂〜[先づ健康]〜再び!』でも共演し、その取材会見で志村は第7回への出演をオファーした理由と感想を「お芝居が新しくなったときに女優さんの力が必要で。それで『ようこがいるじゃないか』と思いお願いした。20年ぶりという気はしなかった」と語っている。

■「結婚式」を挙げた志村と優香へビデオメッセージの数々

 1999年に現れたのが、『ShimuraX天国』で志村と初共演して、彼の深夜枠レギュラー番組に出演し続けた優香。『変なおじさんTV』では〈変なおじさんの娘〉という名キャラクターの娘を任せられ、『バカ殿』では〈優香姫〉というオリジナル・キャラを与えられて人気に。

『志村通』『志村けんのだいじょうぶだぁU』の運送店、『志村屋です。』の団子屋、『志村軒』のラーメン店、『志村だヨ!』『志村笑!』の喫茶店と、それぞれで志村が演じた社長や店主の妻役で活躍。どれも〈夫婦コント〉というより市井の人々の生活をネタにした〈日常コント〉だが、30歳差という親子級の年齢差がありながらも夫婦役をこなすアンバランスさ、それでも夫婦に見えてしまう不思議なハマり具合、物怖じせずに志村に突っ込みまくる優香のキャラが三位一体となった笑いを楽しませてもらった。

 2008年に『だいじょうぶだぁ』特番のコントとして志村と結婚式を挙げた際には、加藤茶、上島竜兵、中山秀征、島崎和歌子、吉幾三、コロッケらが出席、さまぁ〜ずからはビデオでの「おめでとう」コメントが寄せられるなど、コントだとわかっていたがそうとは思えない感覚に陥った。それも相手が優香だったからの効果だろう。

■優香に次ぐ志村の鉄板パートナーと言いたいのが伊藤沙莉

 研ナオコ、いしのようこ、優香に次ぐ志村の鉄板パートナーと言いたいのが伊藤沙莉。若手女優の急先鋒である彼女だが、2016年に『となりのシムラ』、2018年に『スペシャルコント 志村けん in 探偵佐平60歳』で志村と共演している。

『となりのシムラ』ではビールとタバコを買おうとする“どう見ても高齢期まっただなかにいる志村”に対して冷静に年齢確認を迫るコンビニ店員、『スペシャルコント 志村けん in 探偵佐平60歳』では私立探偵の志村よりも頭脳明晰な助手に扮した。優香を凌ぐ44歳差という祖父と孫レベルの年齢差をものともせずに、志村をアタフタさせてしまう役柄をこなしてしまう姿は痛快ですらあった。

 志村も『探偵佐平60歳』出演時のコメントで「『となりのシムラ』では、彼女はコンビニのレジの役だったんですが、さらっと演じるな、うまいなと思っていました。基本的に僕がやっているのはダメな探偵ですから、事務所の運営についても、謎解きに関しても全部助手に先を越されている。彼女がしっかりしているという設定なのですが、その辺がうまいですね」と彼女を絶賛しているほどだ。

 志村は朝ドラ『エール』で俳優という新たなフェーズに踏み出していただけに、コントはもちろん俳優同士として映画やドラマでもまた共演をなどと考えていたかもしれない。そして、それが実現するのを見たかった。

■女性の共演者に対する志村流の「オーディション」

 志村の愛弟子であった乾き亭げそ太郎氏の著書『 我が師・志村けん 僕が「笑いの王様」から学んだこと 』(集英社インターナショナル、2月26日発売)によると、女性の共演者に対する志村流のオーディションがあったという。

「初めて共演する女優さんや女性タレントさんとの顔合わせのとき、志村さんは『オナラ』で相手のリアクションを見ていました。押すと『プッ』と音が出るオモチャを隠し持っていて、普通に話しながら鳴らすのです。笑う人もいれば、眉間にシワを寄せる人もいます。気づかないフリをする人もいます。これはいわばオーディションのようなもので、『オナラで笑う人はコントに向いている。よく笑うってことはお笑いが大好きな証だ』というのが志村さんの考えでした」

 いしのようこ、優香、伊藤沙莉、磯山さやか、みひろ、足立梨花……共演してきた女性たちが放屁音を聞かされていたかと思うと微笑ましくなるが、もう志村と女性のコンビが誕生することがないという現実がたまらなく悲しい。

(平田 裕介/文藝春秋 digital)

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