「往復5時間が減った分、奥さんとの時間が増えて」ミキの亜生・昴生が感じた大阪と東京の“劇場”の違い

「往復5時間が減った分、奥さんとの時間が増えて」ミキの亜生・昴生が感じた大阪と東京の“劇場”の違い

「(上京は)上沼(恵美子)さんから言われたのが大きい」と語る昴生さん ©『ミキ、兄弟、東京』-ヨシモトブックス刊

漫才師・ミキが2019年に“上京”したワケ? 「お風呂がザラザラ、クーラーは真っ黒!」「こいつ、不動産屋とすぐ揉めるんですよ」 から続く

 2019年春、さらにステップアップするため、大阪から東京へ拠点を移した漫才師のミキの2人。亜生さん・昴生さんの東京での2年間を、撮り下ろし写真とインタビューで振り返る書籍が『 MIKI OFFICIAL BOOK  ミキ、兄弟、東京 』(ヨシモトブックス)だ。同書より、上京して半年ほど経過した頃の2人へのインタビューを転載して紹介する。(全3回の2回目。 1回目 、 3回目 を読む)

◆ ◆ ◆

■3回目の挑戦で『上方漫才大賞新人賞』を受賞

――漫才といえば、『第54回上方漫才大賞新人賞』受賞おめでとうございます。

亜生 やっと獲れました!

昴生 3回目の挑戦にしてね。僕ら、4年間獲れんかったんですよ。1年目はトップバッターで。ネタ順の抽選って五十音順やから、僕ら、いつも残りものなんです。2年目もトップバッターで、諦めてたから前日の単独でやった新ネタをやりました。3年目は、スケジュールが合わず出られなくて。

亜生 単独の北海道公演と重なったんです。

昴生 もう獲られへんのかなと思ってたら、今年もう1回チャンスが回ってきて。トリやとわかった瞬間、獲れたって思いました。

亜生 礼二さん(中川家)に「おめでとう」って言ってもらえて、嬉しかったなぁ。中川家さんと一緒に獲れたんも嬉しかったですね(注:中川家はこの年、『上方漫才大賞』大賞を受賞)。

昴生 まぁ、賞レースにはあんまり固執したくないんですけどね。

亜生 でも、NGKで『上方漫才大賞新人賞』受賞と『NHK上方漫才コンテスト』優勝って出るのは嬉しいやろ?

昴生 それは嬉しい。両方、上方ってついてるしね。

■上京して変わったのは…

――上京して、生活面でなにかしらの変化はありましたか?

昴生 新幹線移動が格段に減りました。大阪におったときは毎日、新幹線に乗ってて……もしマイルがあったら、めちゃくちゃ貯まってましたよ。

亜生 マジで地球4周くらいできそう。

昴生 往復の5時間が減った分、奥さんと過ごす時間が増えて。時間にも余裕ができて、いろんなことができるのはめっちゃありがたいです。

亜生 僕はその5時間で、スピードワゴンの小沢さん、霜降り明星のせいやさん、アイロンヘッドの辻井さんとご飯を食べてます。

昴生 大阪におったときと変わらんやろ、それは(笑)。

亜生 辻井さんとせいやさんは大阪からの付き合いやけど、小沢さんは東京のお兄さんやから。前からライブ終わりによく誘ってもらってたんですけど、「今日は日帰りなんです」とか「今、大阪なんで」ってお断りすることが多かったので、今は一緒に行けて嬉しいですね。

昴生 (笑福亭)鶴瓶師匠からも何度か誘ってもらってたんです。この前、ようやくご一緒させてもらえました。

亜生 嬉しかったなぁ。僕はね、車を買ったので夜、ドライブをしてるんです。すごく楽しいですよ。東京タワーの前を通ったり、湾岸線を通ったりして。

昴生 カーナビついてんの?

亜生 ついてるけど、自宅付近の電波が弱いから受信しないのよ。

昴生 (笑)。お前、東京に来て今までで成功してることあるん? うまいこといかんなぁ。

亜生 家から出るまではスマホで調べて、受信するようになったらあらかじめ設定しといたカーナビを動かすようにしてるわ。あと、電車で劇場から家に帰ったりもしてる。

■大阪と東京の違いは「仕事が終わるとみんなすぐ帰る」

――そういえば、近所にたこ焼き屋がないと嘆いてましたね。

亜生 Twitterに“近所にたこ焼き屋がない”ってつぶやいたら、辻井さんから「アホなこと抜かすな! あるに決まってるやろ」ってLINEが来て。次の日に連絡したら、家の近くにあるたこ焼き屋さんに連れて行ってくれたんです。

昴生 僕は早めに仕事が終わったら、嫁と近所の新しいところへご飯を食べに行ってますね。

――いろいろと開拓もしてるんですね。仕事で大阪に帰ることも多いでしょうが、そういうときに何か感じますか?

昴生 僕、大阪で住んでいた家がめっちゃ気に入ってたんです。よしもと漫才劇場とよしもと西梅田劇場の往復でその家の前を通るたびに、いろんなことを思い出してめちゃめちゃさびしなりますね。

亜生 僕は漫才劇場の楽屋がめっちゃ好きで。盛山さん(見取り図)とか真べぇさん(ダブルアート)とかお兄ちゃんみたいな人がいっぱいいて、いつも楽しいことをやってる。東京ってそういう感じ、ないんですよね。みんなすぐ帰るんです。

昴生 僕らがヨシモト∞ホールに所属してたら、そう思わんかもしれんけど。

亜生 いや、∞ホールも楽屋には誰もいいひん。この前、18時くらいに仕事終わったから行ってみたら、大阪から来てたさや香とからし蓮根しかおらんかった。嬉しくて、青空(からし蓮根)と新山(さや香)とご飯に行きました。大阪の漫才劇場やったら深夜2時くらいまで誰かがおるから、今は大阪で仕事があるととりあえず漫才劇場へ行って、みんなと会います。事務所も好きやから顔を出して、お世話になってる人らと喋って。で、23時くらいにホテルへ帰るんです。みんなもね、喜んでくれるんですよ。「おぉ、帰って来たんか。ご飯行こうや」とか「どうしてんの?」とか話しかけてくれるから嬉しいですね。

昴生 ……僕は前から一目散で家に帰ってましたけどね。

亜生 僕と違って、お兄ちゃんは、帰るのがほんまに早い!

昴生 仲ええヤツとだけでいいんですよね、そういうのは。終わったらすぐ帰りたいってなる。

亜生 結婚してからそうなったんかな?

昴生 確かにそうやな。前はもうちょっと(芸人仲間と)ご飯に行ってたかもしれへん。

亜生 僕は用がなかったら、ずーっと劇場におった。漫才劇場にね、藤崎マーケットのトキさんっていう番人が住んではるんです。

昴生 劇場メンバーじゃないのに、ずっといるんです(笑)。

亜生 で、夜中1時くらいに「亜生、メシ食いに行こうか」って言われて、ラーメンを食べに行って。また劇場に帰ってきて、みんなでジュース飲みながら話すんです。クリスマスイブとクリスマスも、トキさんと一緒に過ごしたことがあります。そんなトキさんがこの前言ってました、「寂しいわ。仲ええ人がどんどん東京に行く」って。

昴生 ほんまやなぁ。大阪から東京へ行くときって、なにかしら(仕事の中で武器となる)手土産を1〜2つ持っていかんとあかんと思うんです。とりあえず、なんとかなるやろうっていう感覚では無理。もちろん向き不向きはあるでしょうし、この芸風やったら東京に行ったほうがいいとかもあるんでしょうけど、ただ覚悟だけじゃどうにもならん気がしますね。

■上沼さんから「1回は東京へ行きなさい」と背中を押された

――そういう意味で、ミキさんはベストなタイミングで上京したような気がします。

昴生 僕らが行くちょうど1年前、和牛さん、かまいたちさんが東京へ行ったんですけど、そのタイミングじゃなかったなって。さっきも行ったように、当時は上京なんて考えてもなかったですけどね。

亜生 僕は反対派やったし。お兄ちゃんから「東京に行く可能性もあるで」って言われても、まだええんちゃうって返してたんです。けど、(土肥)ポン太さんが「お前ら、歳いったら行きたなっても行かれへんぞ。失敗してもええやんけ。俺は何回か東京へ行ったけど遅かった。めちゃくちゃ悔しかった。自分が今じゃないなって思ってるときがベストかもしれんぞ」って言われて、確かになと思って。

昴生 僕は上沼(恵美子)さんから言われたのが大きいですね。『快傑えみちゃんねる』(関西テレビ)の収録が終わったあと、「1回は東京へ行きなさい」って言われたんです。

亜生 そうそう。やっぱり上沼さんに言ってもらうとね?

昴生 うん。じゃあ行ってみるかと思いましたね。

【続きを読む】 漫才師ミキ「なんでMCやりたいんかな。楽しいんかな?って…」 兄弟2人はなぜ“同じ世代のスベってる人たち”を観るのか

(聞き手:高本亜紀 写真:大槻志穂)

漫才師ミキ「なんでMCやりたいんかな。楽しいんかな?って…」 兄弟2人はなぜ“同じ世代のスベってる人たち”を観るのか へ続く

(ミキ)

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