『New ポケモンスナップ』開発担当者インタビュー あの名作から20年…Switchで生まれた“写真のコミュニケーション”

『New ポケモンスナップ』開発担当者インタビュー あの名作から20年…Switchで生まれた“写真のコミュニケーション”

4月30日に発売された『New ポケモンスナップ』

 約20年前に人気を博した名作『ポケモンスナップ』が、Nintendo Switch用ソフト『New ポケモンスナップ』としてよみがえり、4月30日に発売されました。

■『New ポケモンスナップ』どんなゲーム?

 本作のプレーヤーは、カガミ博士からの依頼を受けて、多様な自然環境の島々があるレンティル地方に訪れ、野生のポケモンの生態を調査します。ポッド型の乗り物「ネオワン号」に乗り、調査ルートを選択。大草原や南国の海岸、桜色に染まった木々や砂漠など、手つかずの大自然の中に暮らすポケモンたちに癒されながら、カメラを手に極上のワンショットを追い求めます。

 200匹以上いるという野生のポケモンは、集団で生活し縄張りがあったり、放浪したり、隠れていたり、多彩な生態を持っています。ポケモンの好物の果物「ふわりんご」を投げておびき寄せたりもできますし、調査を進めるとレベルが上がり、ポケモンの表情やしぐさに違いもうまれて、リサーチカメラの「サーチ機能」を使って調査の新ルートを見つけることもできるようになります。

 問われるのは撮影のセンス。被写体(ポケモン)のポーズや大きさ、向き、位置などが的確であるほど、写真のスコア(得点)が高くなります。さらに行動の珍しさも「星1〜星4」で審査されます。オンライン機能にも対応し、世界中のプレーヤーとカメラの腕前を競うランキングもあります。

 そんな『New ポケモンスナップ』について、開発を担当したバンダイナムコスタジオの須崎春樹ディレクターに聞きました。

■1999年当時、まだ写真を撮るという行為は「ちょっと特別な行為」だった

――1999年に出た『ポケモンスナップ』を再び制作するにあたり、まず何をされましたか?

 最初は前作の開発者の方々から、お話をうかがう機会をいただきました。前作のコンセプトは、ポケモンたちの日常の様子をちょっとのぞいてみる、そして自分だけの図鑑を完成させる、というもの。そこを出発点に、余計なものは入れずに指先一つでクリエイティブな体験が味わえる『ポケモンスナップ』というゲームが誕生したというお話でした。

 前作が発売された1999年当時、デジカメこそ出てはいましたが、まだフィルムカメラも現役で、写真を撮るには別途カメラを持っていく必要がある時代でした。またフィルムの枚数制限、そして現像が必要ということからも写真を撮るという行為がちょっと特別な行為だったと思います。

 一方現代においては、スマホの登場により常に持ち歩き、枚数や現像を意識することなく、日常的に写真を撮り、加工し、共有することが、当たり前の時代になっています。写真の楽しみ方は大きく変わり、完全にデジタルに移行したかと思えば、逆に印刷したものに価値があるようにもなってきています。

 ただ根本のところではどうでしょう。自分でその場の雰囲気を体験し、撮影したものにこそ価値があり、良い光景、いいタイミングでシャッターを切れたときがうれしく、またそれを人に見てもらって楽しいというのは変わっていないと思います。

 そこで、前作と現在の写真文化を考えていくことで、大本のコンセプトは前作のまま、写真との接し方を現在にあったモノにする、というのを今作の方針として決めました。そして、ポケモンの素敵な写真が撮れるのはもちろんのこと、ポケモンたちの暮らす美しい世界そのものを撮影できる、というのを目指すことにしました。結果、背景を作り込み、その中で主役となるポケモンたちが自然な動きで存在感が出るようにすることで、見ているだけで楽しい、写真に撮ってさらに楽しいという『New ポケモンスナップ』の骨格が出来ていきました。

■Switchで生まれた「写真によるコミュニケーション」

――『New ポケモンスナップ』の魅力とは?

 ポケモンたちの他では見られない普段の様子を撮影できるという、NINTENDO64の『ポケモンスナップ』が持っていた楽しさはそのままに、美しいグラフィックで今の時代にあった写真の楽しみ方(撮る、加工する、見せる)ができることです。


 調査で撮った写真をそのまま博士に見せて、生態調査としての評価はしてもらえるのですが、写真に対する価値観はさまざまなので、自分だけのオリジナルの写真を追求することができるようになっています。

 写真には色々な加工ができるので、いわゆる映える写真だったり、面白い写真だったり、一コマ漫画のようにストーリーを感じられる写真だったり、遊ぶ人の想像力次第で多様な写真を作ることが出来ます。

 また、作成した写真はゲーム内で簡単に共有する機能があり、良いと思った写真にはいわゆる“いいね”のように”りんごメダル”を送ることができたり、人気の写真を一覧することもできたりします。Nintendo Switchの本体に書き出せば、今使っているSNSにすぐ投稿することができるため、それぞれの好みに合った写真によるコミュニケーションを楽しむことができます。

 さらに、ゲームならではの機能として、撮った写真を元にカメラの向きやズーム倍率、明るさなどを変えて撮り直すことができます。調査中では、ちょっと位置がずれたり、ポケモンを大きく撮れなかったりした写真でも、この機能を使えば思い通りにじっくり撮影し直すことができます。さらにスタンプやフィルタなどを使って加工し、タイトルを付けた写真を、世界中の人と簡単に共有して楽しむことができます。
※オンラインプレイのご利用には、「Nintendo Switch Online」への加入が必要です(有料)。

 いいかえれば、野生のポケモンたちが生き生きと暮らしている世界に入り込み、彼らの多様な生態を観察でき、それを背景も含めてポケモンたちの素敵な写真として撮影できることが、今作の「売り」だといえるでしょう。

■現実世界の生きものとの共通点も探しながら模索した「ポケモンのリアルさ」

――野生のポケモンたちの自然な動き、生き生き暮らしている世界を作るに当たり、参考にしたことはありますか。

 ポケモンの行動や反応は、ちょっとした仕草も含めリアルで自然な様子となるように、現実世界の生きものの行動や特性などとの共通点も探しながら模索しました。また、その場所で暮らすポケモンたちの日常動作や、違う種類のポケモンとの関わり合い、パワーバランスなどを考えて各エリアを作成しています。

 例えば最初に遊べるフロレオ自然公園では、ピチューとサルノリは仲良く駆け回っており、ビッパは仲間同士で巣をつくっています。ドードリオはちょっと偉そうに自分の縄張りを見回るように走っているなど、それぞれのストーリーを考えることで、ポケモンたちの暮らしが感じられるように表現しています。

■原寸大ぬいぐるみを使って「存在感」を実感

――開発中、大変だったことは。

 レール移動で撮影していくゲームなので、ポケモンたちがカメラを通してどのくらいのサイズで見えると、イメージと合って自然なのか、というのに最初色々悩みました。もちろん制作環境では画角など色々簡単に調整できるのですが、実際に見たときのイメージをするために、椅子に座った状態で、原寸に近いピカチュウのぬいぐるみを色んな距離に置いてみて、距離感や目線の高さ、距離の違いによる存在感について、調べました。そのイメージをもとに、ネオワン号の移動する高さや、カメラの画角などを考えるといった、すごくアナログなことをやったりもしています。

――ゲーム中には約200種類のポケモンが出ますが、全体を考えると一部です。どのポケモンを今回登場させるかで開発チーム内で議論になりませんでしたか?

 前回作らせていただいた『ポッ拳 POKKEN TOURNAMENT』のときもそうでしたが、すべてのポケモンが登場しない以上、ポケモンの選出は非常に大変な作業で、熱い議論になります。

 今回、野生のポケモンたちが実際に暮らしている様子、生態系をイメージできるような世界を作ろうと思ったので、まず、ポケモンたちそれぞれが暮らしている環境と、調査に訪れて興味深い地形や気候を検討しました。その上で、それぞれの環境のなか、一緒に生活している様子や、その場合の関係性などを考え、株式会社ポケモン様とも相談しながら、選定していきました。

■ゲームになって「新しい気づき」も

――個人的に最も大好きなポケモンを教えてください。

 ヌオーなどの、バトルに無縁そうなのんびりとしたポケモンが好きですね。今回『New ポケモンスナップ』ではジャングルで見ることができますが、景色の中にヌオーがいると、平和で穏やかなポケモンの暮らす素敵な世界が感じられるところが気に入っています。とはいえもちろん、ポケモンの選出は厳正な検討のもと行っています。好きだからといって選出した……というわけではありません(笑)。

 また、今回ビッパが非常に愛らしいことにも気づき、ビッパも好きになりました。このような発見が遊んだ人にもあるとうれしいと思います。

――公開されたPVで、幻のポケモン「セレビィ」の姿が……。幻のポケモンは他にいますか?

 いる、かもしれません。ただ幻のポケモンですので、なかなか見つけられないとは思います。調査を進めていくと、出会えるかもしれないので、360度周りを注意深く観察してみてください。

――最後に「ここは見て」というポイントがあればぜひ。

 ポケモンたちが、ふわりんごを食べる様子を是非見てもらえればと思います。ポケモンの種類によって様々な食べ方を行い、ポケモンによっては最初食べてくれないけど、ゲームが進めば食べてくれるようになるといったこともありますから。

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(河村 鳴紘)

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