IOC公認の「パワプロ」大会に出場 約7000人の予選→8人のファイナリストに! 結果は?

IOC公認の「パワプロ」大会に出場 約7000人の予選→8人のファイナリストに! 結果は?

筆者 ©冨永裕輔

 明日、ついに東京2020オリンピックが開幕します。

 前代未聞のコロナ禍に翻弄され賛否両論のなかでの開催とは言え、それでもスポーツには人を感動させる力があると思います。難しい状況のなかで準備してきたアスリートが己の力を発揮し、このような時代を生きる多くの人の勇気や希望に繋がりますように。

 スポーツの力と言えば、海の向こうから連日ホームラン速報を届けてくれる、メジャーリーガー大谷翔平選手に勇気をもらっている人も多いのではないでしょうか。

 一昔前は二つのことをやっていると、ともすれば「二足のわらじ」と揶揄され、中途半端という少し悪い印象で表現されることもありました。しかし大谷選手の活躍もあり、複数のことにチャレンジしても「二刀流」と好意的に表現されるようになったと思います。大谷選手は、あらゆる人がマルチな才能を発揮する下地すら作ってくれたのではないでしょうか。

 実はこの夏、僕も二刀流にチャレンジし、そしてそのことでなんとオリンピックに出場したのです。

■歌手とeスポーツ選手の二刀流への挑戦

 改めて自己紹介をすると、僕の本業はシンガー・ソングライター。福岡ソフトバンクホークス和田毅投手の登場曲「21」などを作り歌っています。「21」では和田投手からの感謝とファンのエールを繋いだように、なにかを“繋ぐ”架け橋としての役目を自負しています。( 過去記事参照 )

 僕が挑戦した二刀流は、eスポーツでした。eスポーツとはエレクトロニック・スポーツの略で、スポーツや格闘、レーシングなどのゲームをプレイして競う競技です。

 海外では億の賞金を稼ぐスター選手も誕生するなど盛り上がりを見せているeスポーツですが、日本のeスポーツ市場はどちらかと言えばまだ発展途上と言えます。しかしここに来て、コロナ禍によるオンラインの波も追い風となり、多くの人がゲーム、eスポーツに触れる機会が増えています。様々な業界や企業が売り上げを落とすなか、巣ごもり需要と重なりNintendo Switchや「あつまれ どうぶつの森」の世界的ヒットで、大幅に業績を伸ばしている任天堂もその一例でしょう。

 コロナ禍は、歌手の僕にとってとてつもない逆風です。約15年間の歌手活動のなかで、毎週のように行ってきたライブが初めて出来ない状況に陥りました。レギュラーラジオや配信による音楽活動を継続しながらも、大きな目標に向かい努力し、夢を叶えてファンの皆さんと喜び合えるライブに代わる機会は見つけられないでいました。

 そんなときに飛び込んできたのが、今年初めてeスポーツがIOC公式競技となり、オリンピックバーチャルシリーズが世界初開催されるというニュース。そのなかの野球競技で使用されるソフトが「パワプロ」でした。

 僕は子どもの頃から実際に野球をするのも、そして野球ゲームをするのも大好きで、特に好きな野球ゲームが「パワプロ」でした。

「パワプロ」では自分の分身を作って実在のプロ野球チームでプレイすることができます。大学生の頃も、歌手になってからの厳しい下積み時代も、気晴らしといえば「パワプロ」の世界で“冨永裕輔選手”をプレイすること。

 憧れの和田毅投手とお立ち台に並んでのヒーローインタビューを夢見て、「パワプロ」の中でその夢を叶えていました。今思えば、その夢は「21」のMVで実現しており、効果的なイメージトレーニングだったとも言えるかもしれません。

 その「パワプロ」が、僕をオリンピックの舞台に導いてくれました。

■バーチャルとリアルが繋がったからこそ感じたこと

 世界初の、歌手とeスポーツ選手の二刀流でオリンピックを目指すということが、素直に楽しそうだと胸が踊りました。

 そもそも歌手の道を選んだのも歌が大好きだったからですし、胸がときめくことにチャレンジして生きるのが僕の生き方。この機会にチャレンジしなければ絶対に後悔すると思い、予選に参加することを決めました。

 オリンピックバーチャルシリーズ開催を知った後日、試合で戦うPS4部門と、ホームラン大会で競うNintendo Switch部門の詳細が発表されました。僕はホームランの飛距離で「パワプロ」愛を表現したいと、Nintendo Switch部門にオンライン参加しました。

 しかし、オリンピックへの道はやはり甘くはありません。日本、韓国、チャイニーズタイペイから参加の約7,000人の中から決勝大会に出場できるファイナリストは8人だけです。

 予選は5月24日(月)〜5月30日(日)の1週間戦われ、猛者たちと競い合い打ち続けたホームランの数は最終的には実に約30,000発に及びました。総飛距離は約400万メートル。1日の平均プレイ時間は17時間を超え、細かい操作技術はもちろんのこと、情熱や体力も試されるまさにeスポーツがスポーツたる所以を体感しました。

 そして、なんとかファイナリストに残ることができたのです。

 6月20日(日)、決勝大会はesports銀座studio(KONAMI)で開催されました。用意されていたオリンピックバーチャルシリーズのユニフォームに身を包むと、改めて歌手ではなく選手としてここにいることを実感しました。

 PS4部門、Nintendo Switch部門それぞれのファイナリスト達と初めて対面したとき、不思議な感覚がありました。オンラインで名前しか知らなかったプレイヤー達が、やっぱり顔も温もりもある人間だったんだという感覚。

 バーチャルとリアルが繋がったからこそ感じたことですが、オンラインの画面の向こう側にも自分と同じ人間がいるんだという、当たり前だけど大切なことを思い出させてくれました。

 そしてこのとき、厳しい予選をくぐり抜けてきたライバル達には、既に同志のような親近感を覚えていました。

 子どもの頃から「パワプロ」の対戦相手はコンピューターでした。僕と同じくらいの「パワプロ」オタクに直接出会える機会はなかったのです。

 それがオンラインの時代には家にいながら全国のプレイヤーと戦えるようになり、それが僕の楽しみになりました。コロナ禍のステイホーム期間を、前向きに乗り越える一つの要因だったことも間違いありません。そしてついにその人達と対面できたのです。同じ趣味を持つ人達が、「オフ会」と言って実際に対面する機会があることを知ってはいましたが、そうしたくなる気持ちがわかりました。

 大好きなことで繋がっている、というだけで、他に理由はいらないのです。その意味でも、eスポーツにはバーチャルの世界からリアルの社会に温もりを取り戻す力もあるのではないかと思います。

 ところで、僕のeスポーツプレイヤー名は「チャピオ」です。正統派の音楽ジャンルとのギャップで、リラックスして楽しみたくてつけた名前です。今、これを読みながらチャにアクセントを置きましたか? 決勝大会でも10人中10人にそのアクセントで呼ばれました。ゲームと言えば「マリオ」のイメージが強いのかもしれません。僕がイメージしたのはカツオとかマリモとかワサオのあれです。チャピ男で覚えてください(笑)。

■自分らしく生きて幸せにしているほうが喜んでもらえる

 決勝大会の緊張はもの凄いものでした。多くの関係者やカメラに見つめられながら、照明を浴び素晴らしい舞台装置の中でプレイしました。1回戦は15本中14本のホームランを放ちトップ通過することができましたが、決勝戦では15本中12本のホームランで、準優勝という結果に終わりました。

 優勝できなかった悔しさもありますが、貴重な体験をすることができチャレンジして本当に良かったと思っています。歌手が趣味の話をしたり素の自分を見せること、ましてやゲームの話をするなどということは、恥ずかしいことだとずっと思い込んでいました。長い間、自分自身が作り上げてきた自分のイメージというものに縛られていたような気がします。本当はそんなことを誰も望んでおらず、自分らしく生きて幸せにしているほうが喜んでもらえることを知りました。決勝大会の模様が6月23日(水)IOC公式サイトで世界配信されると、長年の音楽活動のファンの皆さんも今回のチャレンジを心から応援し、準優勝を喜んでくれました。

「コロナ禍で元気が出なかったけど、きらきらと前を向いてがんばる姿に元気をもらえた」という感想もいただきました。冨永裕輔とチャピオの二刀流が双方に良い影響を与えていることを感じています。

 大会を終えてそれぞれの街に帰っていったプレイヤー達とは、今もオンラインで繋がっています。彼らとのバーチャルを超えた出会いも、今回の準優勝以上に僕が得た宝物だと思っています。

 プロ野球選手やオリンピック選手のように、恵まれた体格や運動神経を持つ人ばかりではありません。しかし、eスポーツによって、様々な人が活躍できる場が増えると思います。時代の流れでもある多様性の受け皿の一つとして、今後eスポーツ業界が更に発展していくことは間違いありません。

 己を磨き努力して成長していく喜び、達成感、喜び合える目標、まさにスポーツの現場がそこにあります。子どもたちの将来の選択肢が増えることも、実に良いことだと思います。

 eスポーツの面白さや素晴らしさを知るeスポーツ選手として、メディアやステージから人々にメッセージを届ける歌手として、二刀流で自分らしく楽しみながら、多くの人とeスポーツを“繋ぎ”盛り上げていけたらと思います。

 もしもこれを読んで、eスポーツに興味を持った方。「パワプロ」でオンライン対戦しましょう。どこにいても繋がって楽しむことができます。僕のYouTubeチャンネルでは、ついにゲーム実況も始めました。このチャンネルではゲームに詳しくない人も楽しめるように心がけています。おそらく世界初のeスポーツと歌手の二刀流チャンネルではないでしょうか。チャンネル登録をお願いします。

 バーチャルのオンラインで、そしてリアルのステージで、あなたとご縁が繋がることを楽しみにしています。

https://youtube.com/c/TominagayusukeNetsinger

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(冨永 裕輔)

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