“僕らのアミーゴ”ブライアンとロニー、ふたりのロドリゲスがファイターズにもたらしたもの

“僕らのアミーゴ”ブライアンとロニー、ふたりのロドリゲスがファイターズにもたらしたもの

ブラインアン・ロドリゲス

 アミーゴ、アミーガ、セニョール、セニョリータ。私がすぐに口に出せるスペイン語なんてこの程度のものだ。スペイン語は難しい、そして、逆も言えるだろう。文化の違う国で仕事をするのは並大抵のことではないはずだ。

 今シーズンのファイターズはふたりのアミーゴがチームを盛り上げてくれた。ドミニカ共和国出身のふたりの名前はロドリゲス、タイプは全く違う。

■「ロドリゲスと登別って似てますよね」

 2017年オフにファイターズはブライアン・ロドリゲス投手と契約合意した。ラジオパーソナリティの私には早々に問題が勃発した。「ロドリゲス」がうまく言えないのである。「ドリ」の部分の舌使いがうまくいかない。ロロリゲスになってしまう。

 放送以外で何度も練習し、どの部分を強調すれば言いやすいかとか、気づかれない程度にどこかを少し伸ばせば言いやすくなるのではとか、いろいろ試した挙句、最終的に私を救ってくれたのはリスナーさんからの1通のメールだった。

「ロドリゲスと登別って似てますよね」と書いてあったのだ。

 北海道以外の読者の皆さんは登別温泉をご存知だろうか。ザ・ドリフターズの「いい湯だな」にも登場する「こ〜こはきた〜ぐに のぼりべつ〜の湯」の登別である。湯量が豊富でいいお宿も多く道内の温泉地の代表のひとつ。札幌からは車でゆっくり行っても2時間弱、小旅行にはぴったりで、年に一度くらいは行ってみようかとなる場所。

 というわけで、子供の頃からよく出かけた登別、何度だって言葉にしている。そして当然、言いよどんだことなんてない。のぼりべつは母音で言えば、「おおいえう」。ロドリゲスも母音で言えば「おおいえう」! 同じ! そうかそうか、登別を言うつもりで口にしてみるといいのか。「ロドリゲス(のぼりべつ)」。なんと、いとも簡単に言えるようになってしまった。問題解決。

■シーズン通して働けなかった時にも次が約束された理由

 ロドリゲス投手は2018年のキャンプから参加した。あの年は同じスペイン語圏・ベネズエラ出身のアルシア選手も新加入だったのに、ビザやパスポートの問題を理由にキャンプに全く現れなかったので、少し寂しそうに見えた。練習態度はまじめで寡黙な印象、それは日本への戸惑いなのかもしれないと感じることもあった。だから、開幕投手に選ばれた時、何だか私は不安だった。

 ファイターズでは2005年のカルロス・ミラバル投手以来の外国人の開幕投手、でも事情が違う。ロドリゲス投手は来日1年目なのだ。戦略上とは言え、この抜擢に私は疑問しかなかった。

 心配通り、開幕のライオンズ戦、札幌ドーム、ロドリゲス投手は後にその年は山賊と呼ばれる強力打線に打ち込まれ3回もたず8失点、その年のチーム最初の負け投手となる。結局、そのまま日本の野球にフィットすることがなかなか出来ずファーム暮らしが続いた。

 1年契約だったのでもしかするとこのまま……という心配もしたが、2019年も契約合意。翌年は春先に急性扁桃炎で入院があったものの34試合を投げた彼はリリーバーのポジションに定着し、早々に翌年の契約合意。

 2020年、沖縄キャンプからなんの問題もなく過ごしていたところに忍び寄るコロナ、開幕延期で目処のつかない中、帰国することも出来ない彼は日本で黙々とトレーニングを続けた。

 時には急にスタートするインスタライブ、ひたすらトレーニングする姿だけを映すという彼らしいライブだったけれど、コロナ疲れの私たちには時間をシェア出来るだけでありがたかった。しかし彼はそのトレーニング中に怪我をし開幕前に左ひざの軟骨除去手術を受けることになる。

 当然復帰まで時間がかかり10月20日にやっと1軍へ。7試合3ホールドの数字に終わる。今度こそ来年の契約は……と思っていたら、大幅の減俸を受け入れ合意。そして迎えた今年はコロナでキャンプにも参加出来ず来日も遅れ彼だけではなく外国人選手全般に難しいシーズンとなった。

 そんな中でも彼は日本でのキャリアハイの47試合に投げ3セーブ24ホールドをあげる。勝ちパターンに納まった彼の来季の契約合意の報せはオフになって早々に届いた。こうして振り返りながら思うのは、当然とも言える契約更新は今年くらいだなということ。シーズン通して働けなかった時にも次が約束されたのは彼の人間性、野球に対する姿勢にあるのだと思う。北海道のチームになってから入団した外国人選手で5年目のシーズンを迎えるのは彼が初めてだ。

■もうひとりのロドリゲス ロニーへの思い

 そして、今季、新しくチームメイトになったのが、ロニー・ロドリゲス選手。彼はブライアンとは逆で最初からとっても陽気な登場だった。なんとオフはラッパーとして活躍しているという。アーティスト名はエル・フェリーノ。スペイン語で猫の意味。

「ホームランを打ったら猫ポーズをするよ!」、入団会見で約束してくれた彼だけれど、その1本はなかなか出なかった。そもそもヒットすら出なかった。あんまり打たないから、三振の後にぴょこんとステップするのを見て足の動きがかわいいな、足が長いな、なんて別のところに面白みを探した。

 14打席連続ノーヒットのさなか、コロナに感染……復帰した5月25日に初安打、翌日には初ホームラン。「眠れぬ日々を過ごしていたよ……」なんて言うものだから、意外に繊細なところもあるのかとファンの気持ちは急速にロニーに寄り添った。

 ロニーは私たちの思うドミニカンのイメージそのものだった。ベンチでは楽しそうに笑い、喜び、悔しがり、仲間を思う。タイムリーコメントに谷内選手や王選手が登場することもあって、その時は彼らのことを「アミーゴ」と呼んで親しさを表していた。今季でチームを去る栗山監督や斎藤佑樹投手を思いやるコメントもあった。お立ち台で得意のラップを披露してくれたこともある。終盤はどんどん打てるようになってきていて、チームにも絶対必要な選手になっていた。だから、10月17日に足を痛めてしまったのはとても残念だった。結局そのまま登録されることはなかった。

 10月27日、ブライアンとロニー、ふたりのロドリゲスはシーズン終了を待たずにドミニカ共和国へと帰っていった。来季、僕らのアミーゴ、ブライアンにはまた会えることは決まっている。でもロニーについての連絡はチームからはまだない。1年契約だったからこのままお別れという可能性はもちろんある。

 でも、「猫ポーズ」はファンに浸透するには数がぜんぜん少なかったし、そのポーズは両手をあげて掌をバーンと広げるもので、正直、猫なのかどうなのかも実はよくわからなかった。だからもう少しちゃんと私たちに説明してほしい。

 あと、自分の曲を登場曲にするって言っていたのに最後まで違うのを使っていた。だから私たちにちゃんとエル・フェリーノの曲を打席で聞かせてほしい。

 ブライアンとのダブル・ロドリゲスショットだって、もっと見たかった。僕らのアミーゴ、ロニー。言いたくないんだけどな、まだ、アディオスは。

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(斉藤 こずゑ)

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