「佐々木朗希の105球」を現地で観たファン、観られなかったファン、それぞれの“あの一日”

「佐々木朗希の105球」を現地で観たファン、観られなかったファン、それぞれの“あの一日”

最年少完全試合を達成した佐々木朗希

 これほどまでに「プレーボールから見ときゃよかった……ZOZOマリンで……」と後悔した日はない。

 言うまでもなく佐々木朗希・完全試合のことである。

《スポーツのニッチなところを押さえる》というモットーを胸に活動しているので、週末の昼は「今日はどのスポーツを観ようかな」という選択に迫られる。生観戦や取材に行きたいのはやまやまだけど、「とりあえず注目競技がいっぱいあるぞ」となった時は、コロナ禍以降は「おうちスタジアム」を選択することが増えた。

 で、2022年4月10日です。

 プロ野球はもちろん大谷翔平や澤村拓一(がんばっててうれしい)らのMLBも始まったし、欧州サッカーとマスターズを見たのでちょっと眠い、ただGI桜花賞も15時40分には発走だよな、そもそもなんで今週はJ1が日曜日開催なんだよ! とブツブツ言いながら、14時時点では地上波中継だったFC東京vs浦和レッズにチャンネルを合わせていたことを懺悔します、はい。

■佐々木朗希の完全試合を現地で観たファン、観られなかったファン

「え、佐々木朗希、なんかすごいことになってる?」

 こう気づいたのは前半終了間際かハーフタイムだった気がする。ふとスマホに目をやったツイッターで、フォロワーさんがつぶやいた「佐々木朗希9連続三振!」の文字が目に飛び込んできた。「ええ、何それ……」と思い、ひとまずiPadで配信を観始める。そこからでも遅くないほどに佐々木朗希は「K」の文字を刻み込みまくっていた。

 大記録が13連続奪三振で止まったときに「えええ、ここまでパーフェクトなの??」とさらなる事の重大さに気づく。するとたまたま実家にいたので「バカ! 早く佐々木君を見せろ!」との両親の怒号が鳴り響き、クロームキャストでテレビにつなぎ、その後の快投を見届けた次第でした……。

 とまあ、「僕はどうやって佐々木朗希の完全試合を観たか」を(生観戦でもないのに)つらつらと書いてしまったわけですが――歴史的瞬間に立ち会う僥倖に恵まれた方、行けた可能性があったのにチャンスを逃した方、この数日でどちらのファンともコミュニケーションを取る機会があったので、ボカシを入れながら(ボカシが粗かったらすみません)ご紹介します。

 さてまず、ラッキーだった方から。

 前述のツイッターで佐々木朗希の歴史的快投を教えてくれた、Aさんである。約1年前に仕事つながりでフォローし合った仲だが、逐一ZOZOマリンの状況を動画と写真でアップロードしてくれて、リアルタイムでその空気感を伝えてくれた。28年前の槙原寛己の時はたぶんギリでケータイがあるかどうかレベルだから、時代のうつろいを感じる……っていうか、この人とツイッターで繋がってなければ、気付くのがたぶんもっと遅れていたな……。

 そんなAさんとのやり取りで感じたのは《大快挙が迫った球場のリアルな空気感》である。

 序盤から中盤まではオリックス先発の宮城大弥のテンポもよかったため「ビールを注文してるヒマがない」、「トイレに行きたいのに席を外せない(色々な意味で息が詰まる雰囲気)」になっていたのだという。なお完全試合達成後のグッズショップでは、ユニフォームを筆頭に佐々木朗希グッズが飛ぶように売れていたとか。うーむ、これぞ緊張と緩和。

■「帰る道すがらのコンビニの前に…」

 幸せそうに語るAさんとは対照的に「ZOZOマリン、行けばよかったです」と語ったのは、Bさんだ。

 そのBさん、様々なスポーツがこよなく好きで、とりわけロッテとサッカーへの愛情が深い……そう、冒頭に書いた「どっちの生観戦に行こうか問題」に直面した当事者だったのである。

 普段の日曜日なら迷いなくロッテ戦一択のはずだが、この日はJ1日曜日開催。「究極迷った」末に後者を選んだのだが、大変なことが起こっていることに気づいたのはハーフタイム中のこと。その後は気もそぞろになってしまったのだという。

「味スタの試合も内容的に面白かったんですよ……だけど、そんなことが同時進行で起きているとなれば、120%の集中力で見られないことに気づかされました(苦笑)」

 うん、テレビで見ていたので痛いほどわかります。サッカーは16時で試合終了したからZOZOマリンの試合は続いていたけど、どうしてました?

「帰る道すがらのコンビニの前に、座れるスペースがあったんです。そこでひっそりとスマホ片手に、佐々木君の歴史的瞬間を見守りました」

 おお、もう……。

 ちなみにだが、ロッテの中継を配信しているDAZNでは、今回の試合が「プロ野球歴代最高の視聴数」をマークしたらしい。プレスリリースにあったトップ10表を見ると――巨人や阪神が上位に名を連ねる中、燦然と今回の「ロッテvsオリックス」の文字が輝いている。これだけで誇りに思うし……競技の枠を超えて多くの人が関心を持ったのだなと実感する(Bさんのように無念の気持ちを抱えて視聴した人も結構いたはず)。

 こんな感じで野球ファンの明暗をダイレクトに感じ取ったわけだが、《嬉しそうに語るファンの象徴的な声》として聞いてほしいのは、11日深夜に放送された「伊集院光 深夜の馬鹿力」。野球好きで知られる伊集院さんがパーフェクトゲームを生観戦したそうで、その興奮を1時間強は語り尽くしていたのだ。

 文字起こしサイトとかみたいになっちゃうのは良くないので詳細は書かない。ただぜひタイムフリーで聞いてみてほしい。その話術は野球ファンなら「面白い」「臨場感あるなー」と追体験できるはずです、はい。

 観客の制限解除となった今も、競技を問わず超満員の観客というところまではなかなか至らないとは聞く。ただ「佐々木朗希の105球」を契機に野球場、その中でも特にZOZOマリンが満員の観客に包まれてほしいなあと心から願っている。

 なおローテーションで佐々木朗希の次戦先発日であろう17日、仕事で東北行くんだった……今季中に観に行きたいな……。

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(茂野 聡士)

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