「変身できる幼稚園の先生は宇宙に1人だけ」「ウルトラマンの次は“保育メン”」 幼稚園教諭免許取得のつるの剛士(46)が目指す“子供たちの理想郷”とは?

「変身できる幼稚園の先生は宇宙に1人だけ」「ウルトラマンの次は“保育メン”」 幼稚園教諭免許取得のつるの剛士(46)が目指す“子供たちの理想郷”とは?

短大の学生証(つるの剛士Instagram)

“おバカタレント”でも「勉強が楽しくなっちゃって…」「幼稚園で号泣しちゃいました」 つるの剛士が46歳で幼稚園教諭免許を取得した理由 から続く

 1997年「ウルトラマンダイナ」のアスカ隊員役を好演し、2008年にはバラエティ番組「クイズ!ヘキサゴン」でユニット“羞恥心”を結成しブレイク。その後も俳優、タレント、歌手などマルチに活躍する、つるの剛士さん(46)。私生活では2男3女を育てる父親でもある。

 そんなつるのさんは、今年3月12日にSNSで短期大学卒業と幼稚園教諭二種免許を取得したことを報告。なぜ当時44歳にして短期大学入学と保育士資格の取得を目指したのか、育児、家庭、資格取得後の夢など話を聞いた。(全2回の2回目/ 前編を読む )

◆◆◆

■初めての反抗期は「えっ!? 全然何を考えてるかわからない」と…

――つるのさんには5人のお子さんがいらっしゃいます。大変なことも多いのではないでしょうか?

つるの 大変なことを言い出したらキリがないですからね。5人いるっていうのは物理的に大変なこといっぱいありますよ。車1台に乗れないとか、旅館も1部屋じゃ泊まれないとか、ファミリーレストランで座れる椅子がないかとかね(笑)。でも毎日楽しいです。

――子育ての中でお子さんたちとぶつかることもあったのでしょうか。

つるの 僕自身も長男(詠斗さん・18歳)に関しては、初めての息子だから「どうしちゃったんだ、この子」みたいな時はありましたね。やっぱり反抗期って思春期じゃないですか。それまでは自分の中で描いていた線路の上を息子が歩いているんですよ。「はい、はい、そうだよね。うん、あなたはそんな感じ」って。でも思春期になると、全然違う方に歩き出すんですよ。「えっ!? 全然何を考えてるかわからない」ってなるんですよ。

 でも何を考えてるか分からないのは当たり前なんですよ。本人もわかってないから(笑)。だから親御さんも悩むんですよね。でも1回経験すると下の子たちに対しても「はい、はい、次も来ました。はい、また次も来ました」って感じで、僕もだいぶ楽になったっていうか。

■18歳の長男と15歳の次女は現在、カナダに留学中

――経験は大事ですね。

つるの そう。子供たちに親にしてもらいました。

――その18歳の長男・詠斗さんと15歳の次女・おとさんは現在、カナダに留学中ですよね。

つるの そうですね。子供たちはそれぞれやりたいことを見つけているんですよね。日本ではなかなか取れないような資格とか経験とかそういったものを持って帰ってきてくれると思うので、楽しみですね。

――子供たちに会えない時期は寂しいのでは?

つるの 寂しいけど、今は何でもあるから全然遠くに行っている感じがしないんですよ。リアルタイムでテレビ電話が繋がるし、GPSでどこにいるかも全部わかるから。子供たちも自分が遠くにいるって思ってないと思いますよ。僕たちの時代だと中学生とか高校生で親元離れるなんて想像できないですけど。「かわいい子には旅をさせよ」じゃないけど、ドンドン出した方がいいなって。

■“イクメン・つるの”と呼ばれ、異例の“育休”を取って話題に

――つるのさんは2010年、2016年と2度、芸能界では異例の“育休”を取り、話題となりました。

つるの ?僕が“育休”を取った時は、“育休”という言葉自体がそんなに世の中になくて。だからすごいセンセーショナルな感じで取り上げてもらったんですよね。僕はそんなつもりなかったんだけど(笑)。その後に、“イクメン”ってみなさんに担いでいただいて。でも僕的にはあんまり“イクメン”っていう言葉は本意じゃないんですけど。

 世の中のママからしたら、“イクママ”なんて言葉がないのに、なんで“イクメン”なんて言葉ができるんだって話じゃないですか。“イクメン・つるの”とか言われても、こそばゆいですよ。僕も流行語大賞をいただいたり、「イクメン・オブ・ザ・イヤー」を受賞したり、すごくありがたいんですけど、根本的なことをいったらそこじゃないじゃんって。そもそも自分の子供だもんね。

――確かにママは子育てと家事、両方をやって当然という風潮がありますね。

つるの そう、僕だって別に“育休”取ったからって、子育てだけしようと思って休んだわけでもないし、やっぱり奥さんを助けたかったからね。やっぱり世の中の人たちは“育休”っていうと、「育児をするための休み」みたいな感じですけど、ものすごい大変なんですよ。“男の家庭訓練”だと僕は思っているんですけど。

 例えば、ゴミを捨てるといっても、ペットボトルのフィルムを剥がしたり、キャップを分別したり、ゴミ袋を替えたり……。ゴミを捨てるまでにいろいろあるわけですよ。そういうのはやっぱり1回経験してみないとわからないことなので。僕もそうだったから偉そうなこと言えないですし、自戒の意味を込めてですけど、本当にいい経験させてもらいました。

――今までのいろいろな経験が現在のつるのさんの原動力になっているわけですね。

つるの そうですね。僕はついに人の子供を育てられる“保育メン”になったなあと思って(笑)。僕は“イクメン”っていう言葉はあんまり好きじゃなかったんだけど、“保育メン”はなんか間抜けでいいなと思って。ウルトラマンの次は“保育メン”(笑)。

■夢は「つるちゃんマンランド」を作ること

――幼稚園教諭二種免許を取得されて、今後は保育士資格も取得する予定ということですが、実際に働くご予定はありますか。

つるの 実際に働くというのは、ちょっとまだ具体策は出てないんですけど。でもここまでやってきたら、次は4大に行こうかなって思って。先日、幼稚園教諭二種免許を取得したんですけど、一種免許を取得したら園長先生になれるんですよ。

 卒業アルバムにも書いたんですけど、「つるちゃんマンランド」を作りたいって夢があって。将来的には子供たちに携わる、園的なものを作れたらいいなあと漠然と思っていたんです。土地も去年の誕生日に買ったんですよ。山梨県の八ヶ岳の方に。

――すでに土地も購入されたんですね。

つるの そうなんです。まだ何もしてないですけど、将来的にこういう場所でできたらいいなーって漠然と思ってる場所を手にしました。富士山が見えるいいところなんですよ。

――まだまだ夢は終わらないですね。

つるの 仕事が復活してきちゃうと、なかなか4大も難しくなってくると思うので、その辺はスケジュールを見ながらどうしょうかなあと思っていますけどね。なので、僕の欲望としては来年の春に4大入学を目指しています。

■なかなか浸透しない保育の現場の働き方改革

――昔の保育の現場と近年の保育の現場で違うところはありますか?

つるの 僕はあまり偉そうなこと言えないんだけど、先生たちって本当に大変なんですよ。保育園なんかだと子供たちは昼寝するじゃないですか。でもそこで先生たちは休んでるわけじゃないんですよ。親御さんに向けて1人1人、連絡帳を書かなきゃいけないんです。最近では保育の現場でもIT化が進んで、手書きじゃない保育園も増えてきてはいますけど、まだまだ手書きが多いんですよね。

 だからこういう細かいところでも、これからいろいろと変えていかなきゃいけないんじゃないかなと思うし。変えていこうとしている方もいらっしゃるんですけど、なかなか浸透しないんですよね。

――幼稚園の先生や保育士さんの人数も減っているのでしょうか。

つるの やっぱり減っていますね。園自体も子供たちとともに減っているし、なにより本当にすごく安いお給料で皆さん大変なお仕事されているんですよね。小さな命を預かるなんてこんなに責任重大なお仕事はないですから。保育に限らず人の命を預かる方は本当に大変ですよ。

■保育の現場は人数を増やさなきゃいけない

――法改正により今年2月から保育士と幼稚園教諭の給料引き上げ(月額9千円)が実施されました。

つるの 賃金なんか別に上げようが下げようが仕事内容は同じですし、先生たちもみんな一生懸命、子供たちを見ているんですよ。そういうことじゃなくて、人数増やさなきゃいけないと思うんです。先生1人に対して子供たちの数がめちゃくちゃ多いんですよ。だからもうちょっと社会全体がしっかり子供を育てるっていう意識に変わっていかないと、なかなか難しいですよね。

――保育士さんや幼稚園の先生が増えないと、先生にとっても子供たちにとってもいい影響がないですね。

つるの 子は宝だからね。今年は子供が84万人ぐらいしか産まれなかったんだよ。もう本当に子供たち大変だよ。世の中がちゃんと子供のことを考えて“子供ファースト”でいかないと。もちろんシニアも大切だけど、子供たちの未来を大切にしたい。1人1人の才能をしっかり伸ばしてあげて、質の高い子供たちを育てていきたいですよね。

 実際に“子供ファースト”に取り組んでいる自治体があるので、そういうところに勉強しに行こうと思っているんですけど。僕は藤沢市の観光大使をやっているので、そういうモデルケースになるようなことをしたいなって思っています。本当に子供ファースト。子供は神様! それでいいと思う。

■世の中と、幼児教育や保育の現場の橋渡しができる存在に

――今後、幼児教育や保育の現場について、どんなことを伝えていきたいですか?

つるの 僕が経験してわかったことなんですけど、実は幼児教育や保育の現場って、すごく閉鎖的なんですよね。何より園の先生たちはみんな忙しくて本当に大変なんです。守秘義務もすごく厳しい世界なので、何か事件が起こった時に結果ばかりフューチャーされて、そこに至るまでの原因は全く世の中に報道されない、全然表に出てないんですよ。

 なので、保育のリアルな現場をもっと世の中に伝えたいですし、いろんな専門家の方とお話しして、社会に対して問題提起をどんどんしていきたい。そんな世の中と幼児教育や保育の現場の橋渡しができる存在になりたいと思っています。

■おバカタレントで、子供5人いて、変身できる幼稚園の先生は宇宙に1人

――つるのさんご自身の知名度と子育ての経験、短大で学ばれたことを最大限に生かして幼児教育に貢献したいと。

つるの そうですね。僕みたいな人を利用すればいいのになって。せっかく資格を取ったから「どんどん利用してくださいよ」って思うし、僕にできることがあったらどんどん動きたいなと思っています。

 特に今はコロナ禍ですし、幼児教育や保育の現場は過渡期なんじゃないかと勝手に思っているんですよね。少子化が進んで子供たちの人数もどんどん減ってきている中で、1人1人にしっかりコミットできるような仕組みも作れたらいいなと思っています。考え方だったり、環境自体を根底から変えないといけないですよね。「保育ってかっこいい」とか、「幼児教育っていいよね」って世の中が変わってくれれば。

――これからも幼児教育や保育の現場について積極的に発信していかれるのでしょうか。

つるの 僕はまだ学生の身なので、大手を振って言いませんけど、もっと勉強していろいろな資格を取ったらバーンといこうかなと思っています(笑)。それまでは粛々と黙々と淡々とやって頑張ります。

 おバカタレントですけど、幼稚園の先生で保育士で、子供5人いて、変身できる幼稚園の先生っていう、宇宙に1人ですからね(笑)。このキャリアをおおいに活用しようかなと思っています。50歳から楽しみですね。

インタビュー撮影=上田康太郎/文藝春秋

※つるの剛士さんのインタビュー動画もご覧ください。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

関連記事(外部サイト)