“おバカタレント”でも「勉強が楽しくなっちゃって…」「幼稚園で号泣しちゃいました」 つるの剛士が46歳で幼稚園教諭免許を取得した理由

“おバカタレント”でも「勉強が楽しくなっちゃって…」「幼稚園で号泣しちゃいました」 つるの剛士が46歳で幼稚園教諭免許を取得した理由

3月12日に短大を卒業したつるの剛士さん(つるの剛士Instagram)

「タレントで文春に自ら飛び込んでくる人いないでしょ!? なんかドキドキしますね。僕、悪いこと何もしてないので(笑)」

 笑顔で取材に応じるのは、俳優、タレント、歌手などマルチに活躍する、つるの剛士さん(46)。1997年「ウルトラマンダイナ」のアスカ隊員役を好演し、2008年にはバラエティ番組「クイズ!ヘキサゴン」でユニット“羞恥心”を結成しブレイク。私生活では2男3女を育てる父親でもある。

 そんなつるのさんは、今年3月12日にSNSで短期大学卒業と幼稚園教諭二種免許を取得したことを報告。なぜ当時44歳にして短期大学入学と保育士資格取得を目指したのか、コロナ禍での学生生活や思い出の授業についてなど話を聞いた。(全2回の1回目/ 続きを読む )

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■短大に通わず、独学で保育士の資格を取得しようとしたら…

――短大のご卒業と幼稚園教諭二種免許の取得、おめでとうございます。

つるの ありがとうございます。アラフィフにして卒業式を迎えられて嬉しかったです。最終学歴が高卒だったのが、“短大卒”になるのはとっても感慨深いですね。今までキャンパスライフなんてしたことがなかったし、学位記ももらったことがなかったので、手にした時は本当に重みを感じて。

――たくさんの方からお祝いメッセージが届いたんじゃないですか?

つるの そうですね。僕は地味に学校に通っていたので、「えー、短大に通ってたんですか!?」とかみなさんに言っていただいて。本当にありがたいです。

――つるのさんは2020年4月から通信制の短期大学に通い始めました。当時44歳にしてなぜ短大を目指したのでしょうか。

つるの 3年前に芸能生活25周年を迎えて、これまでの自分の芸能生活を振り返った時に、子供に携わるお仕事をたくさんさせていただいたなと思ったんですね。例えば、「ウルトラマンダイナ」(TBS系)だったり、「すくすく子育て」(NHK)という育児番組では司会を務めさせていただいたり。それに僕は実際に5人の子供を育てている親で、育児休業を取らせていただいたこともありました。

 人生100年時代っていわれていますし、別に芸能界だけにこだわる必要もないと思うんですよね。なので、自分のスキルと芸能界でのキャリアを活かして、幼児保育や幼児教育などの分野で、少しでも明るい未来になるような一助になりたいと考えて、短大を目指しました。

――当初は短大に通わず、独学で保育士の資格取得を考えていたそうですね。

つるの そうなんです。僕の最終学歴は高校だったんですけど、僕より年上の方だと高卒で保育士の資格を取っている方が結構いらっしゃったんですよ。だから僕も独学で勉強して、試験に合格すれば保育士の資格をいただけるものだと勝手に思っていたんです。そしたらなんと、1991年3月31日以降に高校を卒業した人は、そもそも保育士の受験資格がなくなっていて(笑)。

 なので、短大に入って卒業して、それで国家資格である保育士資格を取ろうということで願書を書いて送りました。

■「保育なめないでください」とツイッターが炎上

――最終学歴によって受験資格の規定が決まっていたんですね。短大に入る時のご家族の反応は?

つるの うちの妻も子供たちも「ま、つるちゃんが言い出したらもう誰も止められないからやれば」みたいな感じでしたね。

――短大入学や保育士を目指すことについて、批判を浴びたこともあったのでしょうか。

つるの 保育士の受験資格がなかったことをツイッターでつぶやいたんですよ。そしたらものすごく炎上しまして。「子供5人いるかもしれないけど、自分の子供育てるのと、他の子供育てるのと全然違いますからねー」とか、「保育なめないでください」とか……。

 いや、わかってますよと。僕も今まで子供5人を保育園や幼稚園に預けていますし、保育士や幼稚園の先生が大変なお仕事だっていうのはわかっています。ただ、保育士不足の問題なんかは事あるごとに社会問題として取り上げられるじゃないですか。本当にそういった大変な業界だというのは、百も承知で目指しました。

■人と人が向き合う仕事なので、対面授業が多かった

――通信制の短大ということですが、対面授業もあったのでしょうか?

つるの 通信制といってもやっぱり保育とか福祉って、人と人が向き合うお仕事なので、対面授業が多くて。保育の現場での実地研修とかスポーツだったり、物を作ったり……。ただ、コロナが流行し始めてからは対面授業がリモートだったりオンデマンドになったりしましたね。

 でも逆にありがたかったですね、家でも仕事場でも授業を受けられたので。今だから言えますけど、こんなに対面授業が多いって知らなかったので、多分コロナ禍じゃなかったら無理でしたね、卒業は(笑)。単位が取れなかったです。?

――実際に子供たちと触れ合う授業も多かったんですね。

つるの そうですね。1か月間、仕事を休んで地元の幼稚園に教育実習に行くこともありました。今までも仕事で保育園の先生のお話を伺いに行ったり、歌ったり、そういうことは何度かしていたんですけど、実際に自分がジャージを着てエプロンをして、1か月間幼稚園の子供たちと関わることはなかったので、実習中は感動の毎日でしたね。

 本当に毎日楽しくて感動して、素晴らしい尊い現場だなあと思って。幼稚園は男の子も女の子も国籍も関係ないじゃないですか。みんな向き不向きがあって、得意不得意があるんだけど、そういったことも一切関係ない。みんなが認め合っていて、本当に子供たちの世界はユートピアだなって。僕たちが子供に教えることは1つもなくて、毎日子どもたちに教えてもらっていましたね。

■教育実習の最終日には号泣

――小さな子供たちを相手にしているだけあって、苦労したこともあったのでは?

つるの それはありますね、いっぱい。幼稚園の園児がみんなブワーって「つるの先生、こっちこっち!」って来るんですよ。「こっちで遊んで、こっちで遊んで」「いや、こっちだよ! つるの先生、先にこっちって言ったんだから」って取り合いになるんですよね。ちゃんと1人1人関わらなきゃいけないから無下にできないんですよ。どうすりゃいいんだろうなと思って(笑)。

 でもそれも工夫で「よしわかった、先生今こっちで遊んでるからもうちょっとでそっち行くからそっちで待ってて」なんて言って。子育てもそうですけど、子供たちとの関わりは全部工夫ですね。とってもクリエイティブな仕事だと思います。

――1か月間の実習はとても貴重な経験になったんですね。実習が終わる時は寂しかったのでは?

つるの 最終日は「絶対に泣かない」と思っていたんですけど、園に行った瞬間に子供たちが「つるの先生、おはようございます」って言われて号泣して(笑)。保護者の皆さんに「つるの先生、早い早い早い」とか言われて。「まだ今日1日あるから」って。もう職員室に逃げ込んで大泣きしました。

 子供たちと撮った集合写真は宝物ですし、実習が終わった後に子供たちから僕へのメッセージが書かれたサイン帳いただいたんですけど、それは部屋の一番見えるところに今でも飾ってあります。その子たちは卒園しちゃったんですけど、1日たりとも忘れたことがなかったですね。地元の幼稚園なので、ランドセルを背負っている姿をどこかで見るんだろうなーと思って楽しみです。

■5歳の次男は“動くテキスト”

――つるのさんの次男・絢斗くんは5歳の幼稚園の年長さんですよね。短大で学んだことを自宅でも実践されたんですか??

つるの 本当にありがたかったんですよ、次男は動くテキストだから。学んだらそのまま実践できるんだもん、うちで(笑)。

 例えばリモート授業で “模擬保育”っていう、お家で園児への指導案を書いて、誰もいないところで先生風にやる授業があるんですね。うちには本当の園児がいるから、指導案を書いて「今日は折り紙の時間ね」みたいな感じで、模擬保育ができたから本当に僕はツイていました(笑)。完璧な環境でしたね。

――短大で同級生の友人はできましたか?

つるの もちろん! 同級生はみんな友だちです。同級生は9割5分、女の子なんですけど、通信制なので年齢もお仕事も生活環境もみんなバラバラで。ママもいたし、若い子もいたし、毎日新鮮でした。だって僕なんか芸能界しかやってこなかったから。芸能界以外で普通の学生の友達ができるのは、本当に感慨深くて。

 毎日学生証をつけて、みんなでくっちゃべって帰ったり、お弁当を屋上で一緒に食べたり……。普通のことなんですけど、そういう当たり前のことがとっても楽しかったですね。思い返すとちょっとじんわりします。

■“おバカタレント”はホワイトボードみたいな頭だから吸収力がすごい

――座学では苦労はされましたか?

つるの 猛勉強ですよ。でもやっぱり年齢いっていると、忘れちゃうよね(笑)。単語とか覚えられないし、結構大変でした。でもそこは人生経験がカバーしてくれたかな。実際に自分が育児やっているから専門的な言葉がわからなくても「あ、こういう行動をこういう風にいうんだ」とかね。育児を思い出しながら復習したりしましたね。

 あとは社会的な幼児教育とは何ぞやとか、心理学や栄養、乳児の扱い方とか多岐にわたるんですよ。他にも一般教養、例えば日本国憲法だったり、英語だったり……。一応、短大なので、そこはクリアしないと幼稚園の先生にはなれないんですよね。

――そんなに幅広く学ぶんですね。相当努力されたのでは?

つるの “おバカタレント”ですよ、僕(笑)。だから本当に「やりゃあ、できるじゃん」って思いましたけどね。でもほら、ホワイトボードみたいな頭してるから、吸収力がすごいんですよ、そもそも興味のある分野でもあるし、勉強が楽しかったです。

■息子の塾に代わりに通って「勉強してんだよ。悪いかよ」

――今までは勉強が嫌いだった?

つるの 学びが楽しいと思い始めたのは、40歳超えてからなんです。うちの長男(詠斗さん・18歳)が中学受験をしたんですね。恥ずかしながら息子も僕と同じで勉強嫌いで、学校の成績も最悪だったんです。僕にとって初めての子供でしたし、長男なのでガミガミ言うわけですよ。「勉強しなさい!」とか。

 僕がですよ? 今までみんなに“おバカタレント”って言われ続けてきたのに、なんで自分の息子に対して「勉強しなさい」なんて言わなきゃいけないんだろうって思って。なんか恥ずかしくなって笑けてくるんですよ。これはダメだと思って、息子が通っていた塾に僕が入ったんです。

――えー! 息子さんの代わりにつるのさんが入塾したんですか(笑)。

つるの そう、息子を辞めさせて(笑)。「もうわかった、パパ入る」って塾に通い始めて。でも塾で息子の友達に会うんですよ。「何やってんの?」みたいな。「勉強してんだよ。悪いかよ」って言って(笑)。でもそれからすごい勉強が楽しくなってきちゃって。それで大人になってからの学びっていいなあって思ったんですよね。

 これまでの人生経験で、学びの点がいっぱいあったんですよ。例えば、ロケで日本全国いろんな史跡とかをまわらせていただいた時に、史跡名は覚えるけど、どういうバックボーンがあるのかわからないんですよね。でも勉強すると、その点が線で繋がっていく。それが楽しくなっちゃって、快感になっていました。

――塾で勉強したことが短大に入るきっかけにもなったんですね。

つるの そうですね。短大に入ることは、自分の中であんまりプレッシャーじゃなかったというか。やってみたかったことだしなって感じですんなり入りましたね。大人なったらこそ知りたくなってくる。

■歌手の相川七瀬さんが「私も実は今年から大学生」

――番組で長年共演していたタレントのスザンヌさんも35歳で高校卒業、大学生になることをSNSで報告されていましたね。

つるの そう、スザちゃんも学生。僕が短大に通っていた時にスザちゃんも高校に入ったって言っていたので、「すごいすごい!頑張ってね」ってメッセージ送ったんですけど。

 あとは歌手の相川七瀬ちゃん。七瀬ちゃんは、僕と同じ年なんですよ。僕が「短大に入る」って言ったら、「えー! つるのくん、私も実は今年から大学生なの」って。2人でLINEをずっとしていたんですけど、「試験どう? 私全然頭に入んない。やっぱ年齢って怖いよね。」みたいな話をしていて。だから僕が短大を卒業した時は、七瀬ちゃんもすごく喜んでくれて。

――最近、改めて高校や大学に入学する有名人の方が多いですよね。みなさんも根底には勉強したいという思いがあるのでしょうか。

つるの それもあるでしょうし、40代から50代って、ある程度自分の夢も叶えて、地位もそこそこあるんですよね。でもそのままそのレールに乗り続けていいものなのか、はたまた違うレールにいってみるのか……。このままレールに乗り続けちゃうと、たぶん脱線できない。この先も刺激が欲しいというか、もうひと花咲かせることができないかなって、人生をすごく模索する年齢かもしれないですね。

■コロナで入院…なんとか乗り切った試験

――つるのさんは2020年4月に入学後、8月にはコロナに感染、1週間入院されました。

つるの そうなんですよ。仕事の現場で何人か陽性者が出たので、事務所から「つるちゃんも毎日、熱計っといてね」って言われた直後に熱を出だして。最初は、陰性だったんですけど、苦しくて。「あれ、オレ肺炎ぽいな」と思って、もう1回検査してもらったら「コロナなので入院して下さい」って言われて。

 当時は有名人が感染が判明するとニュース速報になっていたので、案の定、僕も入院した時に病室で自分のニュース速報を見ました。

――無事に復帰されてよかったです。コロナの感染で学校生活にも影響は出ましたか。

つるの 実は、入院した時は試験中だったんです。しかも初の対面授業がある時で、見事にその2つが被っちゃって。それでもリモートで試験を受けようと思っていたんですけど、Wi−Fi環境がなくて、「これダメだ」と思って。でもなんとか乗り切りましたね。

 あとはコロナ禍で仕事の環境もガラッと変わりましたね。ライブも毎週やっていたんですけどできなくなったり、営業的なイベントもできなかったり、ロケができなかったり……。逆にいえば学生生活に集中することができたというか、僕にとってはすごく有意義な時間でした。そんなこともあったので、密度の濃い学生時代を過ごせましたね。

インタビュー撮影=上田康太郎/文藝春秋

※つるの剛士さんのインタビュー動画もご覧ください。

「変身できる幼稚園の先生は宇宙に1人だけ」「ウルトラマンの次は“保育メン”」 幼稚園教諭免許取得のつるの剛士(46)が目指す“子供たちの理想郷”とは? へ続く

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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