〈カムカム 明日特番〉吉右衛門役・堀部圭亮が語る「錠一郎、算太、五十嵐、榊原さん…一番の“ダメンズ”は誰?」

〈カムカム 明日特番〉吉右衛門役・堀部圭亮が語る「錠一郎、算太、五十嵐、榊原さん…一番の“ダメンズ”は誰?」

算太は死の間際に大月家を訪れた(写真/NHK公式インスタグラムより)

〈カムカム 明日特番〉吉右衛門役・堀部圭亮が圧倒された深津絵里 「セットの隅っこで…」 から続く

 カムカムが帰ってくる! 4月8日に最終回を迎えたNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」。大反響を受け、GWには170分の総集編(BS4K:5月1日午後1時30分〜4時20分、総合:5月4日午後2時〜4時59分)が放送される。NHKによれば「別の作品としても楽しめるくらい」大胆な編集を施したという。

 商店街の荒物屋「あかにし」店主の赤螺吉兵衛、吉右衛門の2役を演じた堀部圭亮(56)が朝ドラ出演の反響や共演者とのやり取りなど、撮影の舞台裏を「 週刊文春 」に明かした記事を再公開する。(初出:文春オンライン? 2022年4月6日 年齢・肩書き等は公開時のまま)

<全2回の2回目。 前編 を読む>

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■堀部圭亮が見た「カムカムの男たち」

 堀部は1966年3月25日生まれ、東京都台東区出身。1990年代には勝俣州和とお笑いコンビ「K2」を結成する一方、放送作家としても「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」を手掛けるなど、主にバラエティ番組で活躍してきた。2000年代以降は、役者としての活動に軸足を移し、大河ドラマ「平清盛」や朝ドラ「花子とアン」をはじめ、名バイプレイヤーとして数多くの作品に出演している。

――算太役の濱田岳さんはアドリブも多かったそうですが。

「吉兵衛さんが『たちばな』に最中を買いに行ったけれど、無かったというやり取りをしていた時に算太が帰ってくるというシーンがあるのですが、あの時に吉右衛門とちょっとした遊びをしているんです。吉右衛門から『ラジオ盗んだおっちゃんだ』って言われた濱田くんが笑いながら、吉右衛門の学生帽を上からぎゅっと押す。そしたら吉右衛門がキャハハハと笑う。その流れがすごく自然で、アドリブだと思うんですよね。あれもどっちかがやりすぎたり、どっちかがやらなかったら成立しなくなっちゃう。算太が最後、あかね通り商店街で踊って太陽を見上げて、こうちょっと涙が出た瞬間も、もう僕はグッときちゃって……濱田くんの演技にやられましたね」

――錠一郎役のオダギリジョーさんは同じ事務所ですよね。

「作品でご一緒したのは『時効警察』以来、2回目。オダギリくんはぼんやりとしているようで色々やっていますからね。今回で言えば、あの小さいピアノをものすごく練習していました。トランペットのシーンもすごいと思いましたね。音を聞いて指の動きを見ても何の違和感もない。ピアノは控室でずーっと弾いていました。それでいて、『僕、練習してます』という顔はしないですからね」

――働かなかったり、逃げ出したり……男性キャラクターの少し情けない姿も話題を集めました。錠一郎、算太、五十嵐、榊原さん……一番の“ダメンズ”は誰ですか?

「視聴者の方からしたら、算太が色んな意味で引っ?き回していっちゃうから、そもそもお前がしっかりしていたらこんなことにならないんじゃないか、と思うかもしれませんね。でも、どうなのかなぁ。僕は算太という人は、本当はちゃんとしたいんだけど、良かれと思ってやっていることが全部裏目に出るタイプなんだろうなぁと。どこか憎めないタイプで。でも、身内にいたら嫌ですけどね(笑)。あと、よく言われるのは、ジョーが働かないというのもありますね。それこそ、回転焼きの売り上げだけで子ども2人育てていけるのかと」

――計算したら、るいが回転焼きを1日140個売れば、大月家は生活できるようです。

「そうですよねぇ。そういう意味で、働かないジョーをうまく演じるのは相当難しいと思います。それが、ああいう風に見えていたのはオダギリくんの魅力だと思う。演技ってどこか役者の芯が出ると思うんです。オダギリくんの中にある捉えどころのない感じ、ぼんやりした温かさが出ていたなぁと。

 ひなたがアメリカ人少年のビリーに受け答えができず、八つ当たりのようにジョーに差し出された回転焼きを振り払うくだりがありました。あそこで『お母ちゃんにも、回転焼きにも謝れ!』と怒ったシーンも相当難しかったと思います。普段のキャラクターとどう変えるのか。目盛りの合わせ方が難しかっただろうな、と。でも、普段見せないジョーの父親らしさがよく出ていました」

■お笑いタレントから俳優に転身 元相方・勝俣からの連絡は…

――堀部さんは、実はIQ180と聞きました。

「大人になってからうちの母親から聞いたんです。小さい頃、IQテストを僕だけ2、3回やらされたんですね。それで、別の教育プログラム的なところで勉強してみないか、という話があったらしいんです。でも、うちは母子家庭で、しかも、高齢になってから生まれたというのもあって、母親には、僕がどこかに取られてしまうのではないかという感覚があったようで、その話はナシになりました。でも、のちのち思ったのは、それってメンサ(上位2%のIQを持つ人たちが参加する国際グループ)の誘いだったんじゃないの!?と。そこで、IQ180だったと言われたようで、今思えば、メンサだったら行ってみたかったな、と」

――松田優作さんに憧れて俳優を目指したものの、お笑いタレントになって、放送作家としても活動し、現在は俳優業が中心です。

「主体性がないというか、流れに身を任せていた感じだったんですよね。やりたい!と思ったけど、劇団に入れなくて、周囲に相談してみたら、ストリップ劇場に出ることになって。『違うんだよなぁ、俺、お笑いをやりたいわけじゃないんですよ』と思いながらも、『辞めます』というわけにもいかないから。欽ちゃんの番組も『オーディションに行ってきて』と言われて、受けたらなんとなく残ってしまって。

 勝俣(州和)くんと組んだコンビ(K2)もそうです。フリーで放送作家をやり始めた時、『2人でラジオの企画でも作らない?』といった感じでやっていたら、ある時『2人でネタ作ってライブでもやってみたら』と言われて。今度は、それを見に来たフジテレビのプロデューサーから『「笑っていいとも!」、やらない?』という話になって。いつもそんな感じでやってきたんです」

――今回のカムカムで、勝俣さんから連絡が来たりは?

「もともとお互い電話も携帯も知らなくて。一緒にやっている時も、同じ事務所だから事務所の人に『聞いといて』『言っといて』みたいな感じだったんです。その事務所を辞めてからは一度も会ってないし、会う機会もない。でも、元気でやっているのはお互いなんとなくわかるから」

■「カムカムは、あの土壌があったからこそ、生まれた作品」

――09年には映画も撮られましたが、再び監督をやりたいという意欲は?

「撮りたいなと思うものはあるんですけどね。1本(「悪夢のエレベーター」09年)監督した直後にいろいろお話をいただいたんですけど、まず俳優として1回ちゃんと自分の軸を作らないとダメだなと思って。ただ、いま三池崇史監督と映画の撮影でご一緒しているんですけど、『もうやらないの?』と言われて。『まだ1本しか撮っていないですから、やりたいなんて言えません』と言ったら、『でも、やったほうがいい。映画にこだわらずやったほうがいいよ』と。確かに今の時代、動画配信とか、幅も広がっていますよね。全国公開の映画を撮るって決めないほうがいいのかもしれません」

――最後にお聞きします。また朝ドラに出演したいという思いはありますか?

「何年後になるかわからないですけど、チャレンジしてみたいですね。今回の大阪のスタッフの皆さんにもすごくよくしていただきました。本当にカムカムは、あの土壌があったからこそ、生まれた作品なんだと思っています」

「 週刊文春 電子版 」では、ヒロイン3人の知られざる秘話や、吉右衛門や吉之丞ら赤螺家の男がモテる理由、緊急開催した“ダメンズ選手権”、錠一郎“無職32年”の徹底検証、藤本有紀氏が手掛けた脚本の謎など、「カムカム保存版」と題し、グラビアと合わせて大特集を掲載。出演者11人をはじめ、監督、スタッフら計20人が実名告白している。

(「週刊文春」編集部/週刊文春)

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