「一般のおばちゃんじゃないと面白くない」アラフィフ女性5人組がアイドル『GoziU』を結成した顛末「人生は上り坂、下り坂、そして“まさか”やね」

「一般のおばちゃんじゃないと面白くない」アラフィフ女性5人組がアイドル『GoziU』を結成した顛末「人生は上り坂、下り坂、そして“まさか”やね」

左からKyokoさん、おみつさん、もものりさん、Miyukiさん、ぴろりんさん(本人提供)

 モーニング娘。にAKB48、乃木坂46、そしてK-POP。“戦国時代”と呼ばれて久しい女性アイドルシーンは、10代、20代の少女たちのフレッシュなパフォーマンスや成長の過程を売りにしてきた。

 そんな中でいま注目を集めるのが、全員がアラフィフという異色のアイドルグループ、その名も「GoziU」だ。

 音声SNS「Clubhouse」での交流がきっかけで結成し、CDデビューのための資金はクラウドファンディングで300万円を調達した。斬新なコンセプトと現代的な手法を武器に、3月2日に掲載されたインタビュー記事はYahoo!ニュース総合1位を獲得した。

 全員がアイドル未経験者だという彼女たちはこれまでどんな人生を歩み、どんな思いでアイドルを志したのか――。取材を申込むと、「文春砲、待ってました!」という返事とともに、快く応じてくれた。

 4月某日、お揃いのTシャツを思い思いに着こなした4人のマダムたちが文藝春秋本社に現れた。リーダーで役者のぴろりんさん、会社役員のKyokoさん、ポールダンサーのMiyukiさん、メディカルトータルビューティーサロン経営者のもものりさんに加え、京都でハンドセラピスなどのサロンを経営するおみつさんもリモートで参加。数日前にはデビューシングル『どうぞご自遊に?』のPV撮影を終えたというGoziUメンバーに、たっぷりと話を聞いた。

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■それぞれClubhouseを始めた理由は?

――「GoziU」はClubhouseでの交流から生まれたとか。そもそも皆さんはなぜClubhouseを始めたんでしょうか。

ぴろりん 最初に出てきたときから、テキストではなく音声を使ったSNSというのがどんなものなのか、早くやりたくてやりたくて。新しいものが好きなんですよね。iPhone13も発売当日に買いました。

Kyoko 私もLINEやカカオトーク、Facebookでもなんでも新しいものが入ってきたらとりあえずインストールしていました。楽しいかどうかは味わってみないとわかんないんで、すぐにダウンロードしました。

もものり 招待制っていうのも特別感があって魅力的でしたね。私はそこに一番惹かれました。

Miyuki 私は出遅れたんです。最初に騒がれていたときは、ちょっと腰が引けていたんですけど、だんだん面白そうだなと思ってポンと入ったところでみなさんに出会いました。

■「NiziUがあるんだからGoziU作りましょう」

――GoziU結成の経緯を教えてください。

ぴろりん フォロワーを増やすために交流する数百人規模の大きなルームがあって、そこで最初にKyokoちゃんと知り合ったのが2021年の2月頃です。一緒に司会みたいな役割をしたり、色んなルームを回ったりするうちに仲良くなって、少人数のルームでも雑談するようになりました。

Kyoko 下ネタから社会問題、プロ野球、芸能界など本当に雑談ばかりしていて。コロナ禍で人と会えない中、ログインすれば誰かと喋れるのでお茶をしに行くような感覚でしたね。地震の情報も、震源近くにいる人が「揺れた!」と教えてくれるので、ニュースより早かったこともあります。

ぴろりん 日本ではまだコロナワクチンの接種が始まっていなかった当時でも、イスラエルでワクチンを打った人やオーストラリアでコロナにかかった人と喋れたり、世界中の色んな話が聞けて、こんなに良いツールはないと思いました。そのルームに現在のプロデューサーであるYOHEIさんが出入りするようになって、冗談で「NiziUがあるんだからGoziU作りましょう」と言い始めたのが発足の経緯です。

■高級老人ホームを回れば社会貢献できるよね

――お二人はアイドルが好きだったんですか。

ぴろりん 好きでも嫌いでもなく……興味がなかったですね。役者という仕事柄、共演したことはありましたけど、自分がなるというのは考えたことがなかったです。「GoziU」を名乗ってますけど、実は紅白歌合戦以外で「NiziU」を見たこともないんです。

Kyoko 私も特に興味はなかったです。でも、雑談しているうちに「高齢者のところに若い子がいっても喜ばれないよね」という話になって。「私たちならハグもしてあげられるし、おひねりをくれるなら胸の谷間に挟んであげるのだって平気だし。高級老人ホームを回れば私たちも社会貢献できるよね」と、主婦の立ち話みたいなものですね。

ぴろりん それで結成が決まって、すぐにおみつさんを誘いました。おみつさんは大きなルームで交流もあったし、西尾一男の声マネをしているのが面白かったんです。それと、アイコンを自分の顔にしていたことがあって、こんなに綺麗な人なんだと思ったのを思い出した。キャラクターも立っていてビジュアルも良い、これは頼むしかないなと思いました。

おみつ (友近のネタ「西尾一男」の声マネをしながら)Clubhouseの鍵付きルームに呼び出されて。学校で言ったら体育館の裏ですよ! でも話聞いてたら面白そうやったんで、やってみよか!っていう軽いノリです。でもちょっと怖かったですよぉ。フルボッコにはならんかったけどね。

ぴろりん メンバーが3人では足りないので、そこからオーディションの開催を決めました。せっかくならClubhouseで完結させたいということで専用のルームを作ったのが8月の終わりぐらいでしたね。

――冗談から生まれたにしては、かなり本格的な動きに思えます。

ぴろりん オーディションの開催は大きな一歩に感じますよね。でも本当に自然な流れで、「とりあえず3人ではダメだから人を増やしましょう。じゃあ何人にする?」と。何人にするか、誰にするかが問題であって、オーディションをすること自体はごく当たり前のことでした。何もためらうことはなかったです。

■「GoziU」と聞いて、「やりたい!」って

――Miyukiさんともものりさんはオーディションのことをどうやって知ったんですか。

もものり 本当にたまたまですね。大きいルームでアラフィフアイドルを作るという告知を聞いて、行ってみようかなと。私は若い頃からアイドルが好きで、応募したことはありませんでしたが、おニャン子クラブに入るのが夢でした。NiziUのオーディション番組も録画するぐらい見てましたね。だから「GoziU」と聞いて、「やりたい!」って。

Miyuki 私はインスタによくダンス動画をアップしていて、そこで知り合ったCさんに「アイドルのオーディションを受けるから見に来て」と誘われたのがきっかけです。応援のつもりで見に行ったら、出たい人は手を挙げるというシステムだったので、手だけ挙げとこうかな、と思ってエントリーしました。

Kyoko でもMiyukiさんの合格はYOHEIさんも即決でしたね。インスタの動画を見て気に入って、面白いからグループには絶対必要だ、と。

Miyuki 急に踊りたくなったときのためにインスタを始めたんですけど、動画用に化粧してるうちにやる気がなくなっちゃうんですよ。それでサングラスをかけて、娘の洋服をターバンっぽく頭に巻いてムーンウォークしたり、ジョン・トラボルタの『サタデー・ナイト・フィーバー』を踊ったりしていたのがウケたみたいです。

■一般のおばちゃんじゃないと面白くない

ぴろりん メンバーはほとんどYOHEIさんが決めたんですけど、もものりさんだけ私が決めました。アイドル顔の人が1人は必要だと思って。ダンスも上手だったし。

Kyoko 落選した方の中には、本格的にダンスをやってる方とか、とあるテレビ番組でレギュラーを持っていて「オーディションには一度も落ちたことはありません」という方もいました。でもそれは完成されていて伸びしろがない、一般のおばちゃんじゃないと面白くないというので受からなかった。そこは若いアイドルの子たちの中に広瀬すずちゃんがいないのと同じです。

ぴろりん おばさんだからなおさら、共感してもらえるかどうかというのはポイントだったんです。

■デモテープを聞いて「どうしよう売れちゃう、急がなきゃ」

――オーディションでは5人が合格し、8人で活動がスタートしました。メンバーが決まったとき、これはいけると思いましたか。

ぴろりん いや、いけるとはコンセプトの段階からすでに思っていました。そこからメンバーも決まって、どこまでいけるだろうと思っていたときに、Clubhouseで出会った作曲家が曲を作ってくれた。そのデモテープを聞いたときに「どうしよう売れちゃう、急がなきゃ」と思いました。それまでは結成できた、良かった、という感じだったんですけど、売れちゃうから次は何をしなきゃいけないかなと考えるようになりました。

Kyoko 素人なので、最初はゴールがなくて、やりながら探っていたんです。だからオーディションの段階では、コロナ禍が明けたら有料老人ホームを北海道から沖縄まで回ろうと思っていたんですけど……。

Miyuki 曲ができてターゲット層が変わったんだよね。私たちと同じぐらいの年齢の女性みんなに突き刺さる歌詞だったから鳥肌がたった。下手すると若い子にもこのおばさんたち面白いと思ってもらえるかもと思いました。

もものり レコーディング中に紅白見えましたもんね。

■上り坂、下り坂、そして「まさか」――人生の3つの坂

――もものりさんは念願のアイドル活動ですね。

もものり そうですね(笑)。でも皆さんとはまったく面識がなかったので、合格したのは嬉しかった反面、人を見なきゃなと思っていました。まず静観してグループに溶け込んで、どう接するのが良いか考えて、そこから皆さんと仲良くなれればと。

Miyuki もものりさんは一番のしっかり者なんですよ。私はもものりさんの真逆でして、自分を出してはしゃぎすぎちゃって、今の話を聞きながらそうすればよかったと(笑)。この年までずっと“出る杭”やってるんで、引っ込み方がわかんないんです。おみつさんもすごく大人な女性なので、私の飼育係です(笑)。

――Miyukiさんは合格を知ったときどう思いましたか。

Miyuki ポカーンという感じですよね。失礼ですけど「おばさん8人で何やるんだろう」と。私はちびっこのど自慢に出たりしたこともありましたが、アイドルというキャラクターじゃないなと思って生きてきたので、この歳でアイドルになるとはって感じです。Clubhouseもそれまでずっと聞き専だったし、何が何だかわかんなかった。

おみつ 人生の3つの坂やね。上り坂、下り坂、そして「まさか」。

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Miyuki でもずっと歌や踊りはやってきていたから、いざ活動するとなったらこうしたいという自分の思いが出てきた。ポールダンスって踊りや衣装まですべて自己プロデュースなので、脳内に劇場がたくさんあるんです。この曲ならこういう雰囲気でこういうフォーメーションで、とイメージが膨らみすぎちゃった。そういうステージへの強い思い入れを最初に出しすぎちゃったな、と反省しています。

■クラファンを活用した理由

――CDデビューの資金はクラウドファンディングで支援を募りました。Clubhouseに続き、現代っぽい手法ですよね。

ぴろりん クラファンを実施したのは、もちろんレコーディング資金も目的でしたが、歌を聞いてもらえる、認知してもらえるというのが大きかったです。極端な話を言えば、金額は達成しなくても良かった。それよりも、どれだけの人が応援してくれるかということに興味がありました。次回以降も応援してくださる方がどう増えるかを見ていきたいので、音源はクラファンでしか買えないようにするつもりです。今っぽく見えますけど、結局は実験・調査・分析。古くからの手法がベースです。

――300万円という金額はどうやって決めたのでしょうか。

ぴろりん CDも出しますし、PVも撮るということで、その必要経費ですね。先日撮ったPVも100万円ぐらいかかりました。全体的に思ったよりかかるなという印象です。

Miyuki 素人の集団だから綿密な計算はできなくて、やってみて初めてわかることが多いですね。

Kyoko 曲を作ってくれた人にも、詞を書いてくれた人にも、まだ何もお礼ができていないんです。ほとんど無料でやってもらっている。我々はノーギャラでいいんですけど、自分たちの仕事をしながら厚意でやってくれているクリエイティブチームには、きちんと報酬を渡したいと思っています。

■GoziUの“母心”「バズって、若手クリエイターを世に」

――作詞者や作曲者もClubhouseでつながった方々なんですよね。

ぴろりん はい、宣材写真を撮ってくれたカメラマンやメイクさんもそうです。ただ、彼らは1日拘束することになるのでお金を払ってるんですけど、音楽家やデザイナーといった長期で関わってくださっている方にはお支払いができていない状況です。

Miyuki クリエイティブチームは音楽家も映像作家も20代がほとんどだよね。

Kyoko まだ独り立ちはできないので働きながら夢を追っている子たちです。私がこの活動をしている目的のひとつは、彼らを一人前にすること。私たちがバズって、クリエイターたちを世に出したいんです。私たちはたかが知れてますけど、話題になることで彼らが注目を浴びて、一本で食っていけるようになったら嬉しいなぁ。

ぴろりん 音楽家を令和の織田哲郎にしたいんですよね。せっかくのご縁ですから。

 好奇心と行動力を活かし、グループ始動に向けて充実した日々を過ごしていたメンバーたち。そのすべてが順調かと思えた。しかし、インタビュー記事がYahoo!ニュースで総合1位に輝いた直後、3人のメンバーの“突然の脱退劇”が幕を開けたのだ。

  #2 では快進撃の裏側で生まれていたメンバー間の軋轢と、それを乗り越えたGoziUの“今”を聞いた。

「レコーディングのときに軋轢を感じました」アラフィフアイドル『GoziU』を襲った“メンバー脱退劇”と大いなる野望《次回曲は「メタババース」》 へ続く

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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