「売れてるのは阪神『ぼっかけ焼きそば』と日ハム『ハムカツとハムマヨネーズ』」12球団コラボ“ランチパック”がペナントレースと“逆の順位”のワケ

「売れてるのは阪神『ぼっかけ焼きそば』と日ハム『ハムカツとハムマヨネーズ』」12球団コラボ“ランチパック”がペナントレースと“逆の順位”のワケ

圧巻のランチパックを前にする山崎製パンの保田高宏さん

 手軽に食べられる“サンドイッチ”として国民的人気を誇る「ランチパック」。毎月新商品を発売し続け、これまでに累計2000種類以上が発売されている。プロ野球全12球団とコラボした「プロ野球ランチパック」など話題の商品も多い。山崎製パンの保田高宏氏に、開発秘話を聞いた。(全2回の1回目。 2回目 を読む)

◆ ◆ ◆

■惣菜系のほうが人気

――ランチパックはいま、どれくらいの種類が発売されているのですか?

保田 現在は61種類です。エリア限定商品も含んでいます。

――発売当時は、4種類からのスタートでしたよね。

保田 はい。最初に「ランチパック」として発売されたのは、スイーツ系の「ピーナツ」「ヨーグルト」「小倉」「青りんご」の4種類です。その後「カレー」「ポテトサラダ」の惣菜系が追加され、そこから徐々に商品アイテムが増えて、現在のように充実したラインナップになりました。

――惣菜系とスイーツ系だと、どちらが人気ですか?

保田 惣菜系です。そもそも、一般的にサンドイッチとして売られている商品の9割は惣菜系だと思います。最近はフルーツサンドなど、スイーツ系サンドイッチの人気も高まっていますが、それはあくまで一部です。ランチパックの全国出荷量で見ても、惣菜系のほうが売れています。

■食パンを改良し、より様々な具材をサンドできるように

 ランチパックの年間売上個数ランキングでも、1位に「たまご」、3位に「ツナマヨネーズ」が入っていますが、2位には惣菜系を押さえて「ピーナッツ」がランクインしています。ピーナッツは発売当初から売れている不動の人気商品なんですよ。

――発売当初から、ここまで種類を増やす予定だったのですか?

保田 最初はここまで意識していなかったと思います。2006年に食パンを改良し、しっとり感ときめ細やかさが向上し、より様々な具材をサンドできるようになり、種類が増えました。また、CM放映を開始し、さらに2007年にはそれまでバラバラだったパッケージデザインを統一したところ、製造が間に合わないくらい売れ行きが伸びたので、一気に生産ラインを増やし、続々と新商品を生産できる体制を整えていきました。

■プロ野球12球団とのコラボランチパックを販売

――商品開発は専任の部署で行っているのですか?

保田 いいえ。実は「ランチパック事業部」のような組織はないんです。マーケティング部と生産部門にそれぞれランチパック担当が数人いて、そのメンバーを中心に商品開発を行っています。

 ただ当社のベースには、常に新しいおいしさを提供するために全国の工場で商品づくりをしていこうという企業姿勢があります。ランチパックに限らず、すべての商品において、全国の工場がそれぞれアイデア提案を行ったり、新商品の開発・製造を手がけたりしているので、それぞれの地域限定で売られている商品も多く発売されています。

――3月に発売されたプロ野球12球団とのコラボランチパックも、それぞれのエリア限定の商品なんですか?

保田 これは地域の特徴ある素材を使用した「ご当地ランチパック」であり、全国販売でもあるという特別ケースです。プロ野球のシーズン開幕にあわせ、3月23日から販売しています。

 基本的にはコラボした球団の本拠地を中心としたエリアでそれぞれ販売していますが、「大集合期間」として全国どこでも12商品が購入できる期間も設け、プロ野球を応援しています。

■オリックス・バファローズが25年ぶりにリーグ優勝を果たす

――なぜプロ野球応援コラボ商品を販売することになったんですか?

保田 そもそも、私が大の野球好きなんで! コロナ禍での試合中止や無観客での試合開催を見てきて、いち野球ファンとして何かできないか、ずっと考えてきたことがあります。

 私はオリックス・バファローズの大ファンなんですが、昨年の前半戦終了時点でチームの成績が絶好調だったので、「ぜひ応援させてほしい」とコラボを提案しました。京セラドーム大阪内で提供されている「バファローズカレー」をイメージしたカレーフィリングと、勝利の願いを込めた「メンチカツ」をサンドした「バファローズカレー風とメンチカツ」を急遽発売しました。

 そのおかげ……というわけではないと思いますが、なんとオリックス・バファローズが2年連続最下位から、25年ぶりにリーグ優勝を果たしたんです。僭越ながら、少しはチームの士気向上に貢献できたのではないかと自負していたところ、新庄剛志さんが北海道日本ハムファイターズの監督に就任するという速報を耳にしました。さらに、2022年シーズンからは、有観客での試合が再開できるというニュースも流れ、これはもう「今やらずにいつやるんだ」と思って、全12球団とのコラボを決めたという経緯です(笑)。

■ペナントレースの順位とは逆の売り上げ

――1球団だけとのコラボと違い、12球団一斉のコラボとなると、ご苦労も多かったのでは。

保田 過去にもオリックス・バファローズのように、個別にコラボをした球団はあったんですが、全12球団そろって、というのは今回が初めてだったので、慣れない苦労はありました。ホームページへの掲載ひとつにしても12球団分の全部の確認が必要になってくるので大変でしたが、先方からご要望をいただいたり、こちらからいくつか味をご提案して選んでいただいたりなどしながら、本社と工場、各球団との3者共同で商品開発を進めました。

――野球ファンにとっても嬉しいコラボですよね。どの商品が売れていますか?

保田 売上がいいのは、阪神タイガースとコラボした「ぼっかけ焼きそば」と、北海道日本ハムファイターズとコラボした「ハムカツとハムマヨネーズ」です。ペナントレースの順位と逆なので、悔しい思いをランチパック購入に捧げる熱いファンがいるのか、販売チームのトップが阪神か日ハムのファンなのか……と噂されているようです。

■野球業界活性化にも貢献

――プロ野球の応援をしながら、各地域のご当地メニューが味わえるという贅沢な楽しみ方ができますね。これまで開発に関わった中でもかなり思い出深い商品になったのではないでしょうか。

保田 はい。今回のプロ野球ランチパックは、これまでの地域限定商品と違い、全国にある工場がそれぞれ開発した「ご当地ランチパック」でありながら、全国販売もするというやり方で各工場に横串を通した画期的な事例という意味で、非常にやりがいがありました。

 しかも、プロ野球ファンの方々に喜んでいただけて、野球業界活性化にも貢献でき、大変思い出深い商品となりました。

 プロ野球ランチパックは、5月31日まで購入することができますので、店頭で見かけた際には、ぜひ購入していただきたいですね。

■アンテナショップではレアなご当地ランチパックを販売

──全種類買いたい時はどこに行けば買えますか?

保田 5月24日から31日までは、全種類を全国(北海道・沖縄を除く)で出荷できる体制を整えていますので、山崎製パンを扱っているスーパー等でご購入いただけます。ただ、全種類となるとなかなか難しいかもしれません。デイリーヤマザキであれば、取り扱っている種類も多いと思います。また、東京・秋葉原にある日本で唯一のランチパックのアンテナショップでも販売していますので、お近くの方はぜひお立ち寄りいただければ、新たな楽しみが発見できると思います。

──ランチパックアンテナショップでは、全種類のランチパックが購入できるんですか?

保田 さすがに全種類は買えませんが、エリア限定で販売されているレアなご当地ランチパックが週替わりで販売されているので、楽しめると思います。コアなランチパックファンの方々にも多くご来店いただいているんですよ。

■「おいしい」だけではなく、ストーリーのある商品コラボを

──ランチパックには、「ランチパッカー」と称する、熱量の高いランチパックファンがいます。また、「#ランチパックマニア」というハッシュタグをつけてのSNS投稿も多く見られます。こうしたファンの方とのコラボ商品なども、今後計画されていますか?

保田 コロナ前は対面でのイベントを行い、ご来場くださったお客さまにランチパックのアイデアを考えていただいたこともありました。まだ具体的に商品化されたアイデアはありませんが、今後コロナが落ち着いたら、またお客さまとの交流を深めるイベントなども増やしていきたいですね。

──自分のアイデアが商品化されたら、絶対嬉しいです!ちなみに、プロ野球ランチパックの次のコラボ商品はもう決まっているのでしょうか。

保田 まだ具体的にお話しできないんですが、「おいしい」だけではなく、プロ野球ランチパックのように、ストーリーのあるコラボ商品を展開していきたいと考えていますので、楽しみにお待ちいただければと思います。

(撮影:松本輝一/文藝春秋)

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