パ・リーグ強打者のド肝を抜くか。スワローズ木澤尚文の剛速球を見よ!

パ・リーグ強打者のド肝を抜くか。スワローズ木澤尚文の剛速球を見よ!

木澤尚文

■「パ高セ低」というイメージで語られる交流戦

 今年も交流戦の季節がやってきました。

 2005年に始まった交流戦。

 去年はセ・リーグが2009年以来2回目の勝ち越し。

 そして、2012年に巨人が日本一になって以来、9年ぶりにセ・リーグ球団からの日本一になった我らが東京ヤクルトスワローズ。

 昨今「パ高セ低」というイメージが定着しつつあった中、ようやく一矢報いた形となりました。

「投高打低」とか「打高投低」と言われてきたセ・リーグとパ・リーグの関係。

 噛み砕いて言うと、パ・リーグのピッチャーにセ・リーグのバッターは抑えられ、パ・リーグのバッターにセ・リーグのピッチャーが打たれまくる。

 セ・リーグファンからすると、なんとも悲しい現実が続いています。

 しかし、昨シーズンからの流れで今年の交流戦はセ・リーグが圧勝するんじゃないかと僕は思っています。

■昨年の福岡ソフトバンクホークスに見る傾向

 そのヒントの一つが、昨年の福岡ソフトバンクホークス。

 これまで交流戦で8度の優勝。そして、交流戦の勝率は脅威の6割超え。

 交流戦の絶対王者といっても過言ではないソフトバンク。

 去年はケガ人が多かった事もありますが、5勝9敗4分で2012年以来、球団ワーストタイとなる11位に終わりました。

 でも、チーム防御率は12球団トップの3.04だったんです。

 もちろん、試合数も2015年、24から18に減少してますし、防御率やチーム打率などの数字関係は24試合の時に比べるとよりざっくりしたものになっているのかもしれませんが、この「抑えているのに打てていない」という事実。

■スワローズ“4連発”、感動の去年のホークス戦

 スワローズに関して言えば、去年は敵地・福岡PayPayドームで3タテしています。

 しかも第3戦(6月13日)は、山田哲人・村上宗隆、そして元スワローズでソフトバンクに移籍したバレンティン・川島慶三の4選手がホームラン。

 バレンティンに至っては、通算300号&1000安打をホームランで決め、次の打席でも2打席連続となるホームランを放ちました。

 川島慶三がレフトスタンドにホームランを打った後、ホークスのベンチ前でバレンティンと抱き合っていた時の光景は今でも忘れられない最高のシーンでしたし、スワローズファンからするとあの試合はまるで紅白戦を見ているような、なんとも幸せな試合でしたよね。

 話を戻しましょう。

 相変わらずパ・リーグの投手陣はすごいのですが、去年の交流戦を見て感じたのは、パ・リーグの打線に以前のような圧倒的な怖さがなくなってきたということ。

 今季ここまでセ・リーグのチームで防御率が2点台なのはヤクルト・阪神・広島の3チームなのに対し、パ・リーグは日本ハム以外の5チームが2点台というのが一つの証拠。

■セ・リーグにパワーピッチャーが増えてきた

 加えて、ここにきてセ・リーグ各球団で投手陣、とくに中継ぎ陣に良いパワーピッチャーが揃ってきているという流れ。

 以前のような迫力がなくなってきたパ・リーグ各球団の打線を、セ・リーグ各球団のエネルギッシュな中継ぎ陣が抑えていく。

 今年はそんな交流戦になるのではないかと思っています。

 とくに、我らがスワローズ、救援防御率1.93と、ここまでリーグ1位(2位は阪神の3.04。5月24日現在)の鉄壁の中継ぎ陣。

 その中で僕が一番注目したいのは、20年のドラフト1位で、プロ2年目の慶應ボーイ・木澤尚文投手。

 3月29日にプロ初登板を果たすと、5月8日の巨人戦でプロ初勝利。そして、ここまで15試合にすべて中継ぎで登板し2勝、防御率は1.21(5月24日現在)。

■五十嵐亮太を彷彿とさせる躍動感と球威、慶応ボーイらしからぬ筋肉質体型

 先日、神宮球場で初めて木澤投手の生のピッチングをバックネット裏の席から見ることができたんですが。

 あのロケットボーイズのひとり・五十嵐亮太を彷彿とさせる躍動感あるフォーム。そこから放たれる150km超のストレートの球威、そして何より、打者に全力で向かっていく姿勢。

 慶應ボーイとは思えない、筋肉質でガテン系のあの感じ。

 もう、最高でした。

 リリーフの適性を見抜いた津臣吾監督はじめコーチ陣も流石です。

 昨年までの制球難はどこ吹く風。彼はこれから先セットアッパー、いや、いずれはスワローズの抑えを任される日が来てもおかしくないんじゃないかと思っています。

 その通過点として、パワーピッチャーに強いとされるパ・リーグの打者陣を力で抑えられるかどうかが、試金石になるのではないでしょうか。

 ただ、今年もスワローズには木澤に負けない投げっぷりのいい右のリリーフ投手がいっぱいいます。

 マクガフ、清水昇、石山泰稚はもちろん、大西広樹、今野龍太、梅野雄吾。

 二軍からチャンスを窺っている選手も沢山いる。

 しかし、今の木澤はその中でも一番だと思っています。

■慶應大卒で大成した投手は少ない?

 コントロールなんて気にせず、ド真ん中にどんどん力のあるボールを投げ込んできてほしい。

 真っ向勝負した結果、“KOボーイ”になってもいいじゃないですか。

 慶應大卒で大成した投手は少ない。

 そんなジンクスを絶対に打ち破ってほしい。

 まずは交流戦でその名をパ・リーグファンに轟かせてくれることを信じています!!

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(笑福亭べ瓶)

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