「パワプロ」能力値はどう決まる?開発チームにきいた「スポーツニュースで“ドキッとする”4つの瞬間」

「パワプロ」能力値はどう決まる?開発チームにきいた「スポーツニュースで“ドキッとする”4つの瞬間」

「パワプロ」能力値はどう決まる?開発チームにきいた「スポーツニュースで“ドキッとする”4つの瞬間」の画像

「パワプロ」の愛称で知られるKONAMIの人気野球ゲームシリーズの最新作「eBASEBALLパワフルプロ野球2022」(PS4、ニンテンドースイッチ)。毎回話題になるのが選手のデータ設定です。リアルとは違い、選手の能力が「見える」ため、ファンだけでなく選手たちも意識しているのだとか。

 そこで今回は、パワプロ開発チームに能力値データの設定方法について聞いてみました。

 なお前提となる、データ査定の情報です。4月21日に発売されたソフトのデータは、キャンプ序盤(2月ごろ)の情報を元にしています。5月19日のアップデートは、開幕(3月25日)から2週間ごろの成績を加味したもの。そして、今回のアップデートで追加された選手は「開幕2週間後」に該当せず、それよりも少し前の情報を元にしています。

◆◆◆

――今年のプロ野球が開幕しました。序盤戦を振り返って、注目選手と、推す理由を挙げてください。

 当然、完全試合の佐々木朗希選手(ロッテ)は外せないかと思います。他には、4球団競合の名に恥じない活躍を見せている西武の隅田知一郎選手。ここ2年の苦しい時期を乗り越え驚異的なペースでホームランを打っている山川穂高選手(西武)。2年目のジンクスをものともしていない牧秀悟選手(DeNA)。実質2年目のジンクスと戦うオリックス杉本裕太郎選手、などでしょうか。

――ロッテの松川虎生選手、巨人の大勢選手はいかがでしょう?

 松川選手は、高校時代に小園健太選手(DeNA)とのバッテリーで注目されましたが、開幕戦からスタメン捕手として起用されたのは驚きました。捕手は大学卒や社会人出身であってもなかなか即戦力になれませんので、もちろん注目選手です。

 大勢選手は、巨人としては初めてのファーストネームが登録名になった選手ですし、開幕戦から抑えに起用された新人ということで、こちらも注目していました。

■開発陣の「想定より1年早く活躍を始めた」佐々木朗希

――世間で注目されている、佐々木選手、松川選手、大勢選手ですが、今回のバージョンアップのときにどう評価、設定しましたか。各選手の特徴をそれぞれ教えてください。

 佐々木朗希選手は、まず、発売時点の能力は、年間通してのピッチングを見ていない選手なので、疲労などによるパフォーマンスが落ちた場合を考慮しながらの査定になっていました。

 昨年オフからキャンプにかけてもグンと伸びており、想定より1年早く活躍を始めたな……という印象です。完全試合もありましたし、球速の更新を始めとして、コントロール、変化球、特殊能力、と全体的にパワーアップされています。

 松川選手は、発売時点の能力データでは「守備力F」、の査定でした。理由としては「アマチュア時代の守備評価が決して高いものではなかったこと」「打撃を生かしてサード転向も噂されていたこと」「打撃に関するコメントが非常に多かったこと」などがありました。打撃面はオープン戦のころに比べると少し落ち着いた数字となっていますが、ボール球を振らない選球眼は高校生離れしています。

 今回のアップデートでは「守備力」や「キャッチャーリード」など守備面がパワーアップされ、「選球眼」もつきました。最近やや出場が減ってきており、疲労なども含めて心配なところではありますが、これからどういう成長や活躍を見せるか楽しみな選手であることは間違いありません。

■悩ましい「アマチュア『最速154キロ』投手」がプロ入り後に145キロしか出ないケース

 大勢選手は、アマチュア時代に最速157キロを計測していますが、その数日前の試合では151キロや153キロが最高球速で常時148キロ前後といった投球でしたので、157キロが誤計測だった可能性も考慮し、最初は153キロで査定した経緯があります。

 これには理由があって、高校野球の地方球場で「154キロ計測!」などと書かれていても、プロ入り後に145キロしか出ない……といったケースも散見するためです。

 ところが大勢選手の場合はプロ入り後に実際に157キロ、どころか159キロまで計測してしまいました。今回のアップデートでは158にしていますが、次回以降のアップデートで159に上げていく予定です。

 また、たしかに指にかかったストレートはプロでもトップクラスと見ていましたが、アマチュア時代は制球力や安定感に課題のあるタイプだったので、プロでは苦労するのではないかな、と見ていました。

 ところが、プロ入り後は想定より制球力も良く、球威で押せるぶん多少甘いコースでも打ち取れています。今後はその辺りも評価を上げていきたいところです。

 起用については当初「中継ぎ」を想定していました。抑え候補はビエイラ選手、デラロサ選手がいたため、いきなりの抑えは想定外でした。タイプとしては完全にリリーフタイプと見ていましたが、大学では先発としての実績も一応あること、ドラフト直後から球団関係者が先発起用を示唆していたことなどをふまえ、一応先発適性を少し付ける査定を行っていました。

 今回のアップデートでは「抑え」の適性もつきました。出力が大きい選手ですし、今後は怪我の心配や疲労による球威低下や研究されて打たれるケースも出てくるかもしれません。出だしは素晴らしい活躍をしていますので、次はシーズン通してどのように活躍していくか注視していこうと思っています。

■プロでも難しい「キャッチャーの評価」をどう決める?

――各能力についてもゲーム内で説明がありますが、「キャッチャー」の能力の説明は、「投手の能力を引き出す」とあります。どんなところで評価し、ゲーム内でどんな効果があるのでしょうか。

 能力詳細画面では「キャッチャーD」と表示されている能力ですね。もう少し詳しく言うと、キャッチャーのリード能力、を表しています。これは、投手のコントロールをより引き出したり、投球のスタミナ消費を抑えるようにリードできる、という能力です。投手が不調時にもなるべく本来の球速を引き出したり、といった効果もあります。

 もともと、キャッチャーのリードは非常に査定が難しい項目です。「コレ」といった正解のないものですし、「リードが良い」と言われていた捕手が、翌シーズンになると「リードが悪い」と言われることもしばしばあり、投手の成績や見る人の主観によるものも大きいと思います。

 ひるがえって、松川選手は発売時点の能力では「キャッチャーF」になっていました。ところが、いくら正捕手の田村龍弘選手が怪我をしたとはいえ、高卒ルーキーながら開幕からスタメン捕手として出場。佐々木選手の完全試合達成を始め、リリーフ陣も含め9回まで組み立てられるリード面や、投手のワンバウンドもしっかり後ろにそらさずに止めるキャッチング技術など、予想をはるかに超えた活躍を続けました。

 結果、それが今回のアップデートでの「キャッチャーD」に繋がっています。「D」という評価は、1軍でそれなりの試合数で試合を壊さずにリードが出来る結果を出した選手につける、「1軍レベル」の能力です。

■アマチュア時代の所属リーグ、50m走のタイム…ルーキー評価はどこで決まる?

――データの設定しづらい、ルーキー、外国人選手の能力の評価方法について具体的に教えてください。

 いくつかポイントはありますが、下記のような点は注目しています。

〈<投手・野手共通>

・ドラフト順位

・最終球歴(高卒、大卒、大卒社会人、高卒社会人、独立Lなど)

・大学生なら所属リーグなど(六大学、東都、関西六大学、関西学生野球、その他地方など)

・成績(高校通算本塁打だったり、公式戦などの成績だったり)

・体格(体格がすべてではないですが、やはり細い選手は1年目からシーズン通して活躍は難しいかも、など)

・ニュース記事など全般(「こういう選手になりたい」や「こういう球種を練習している」などの発言を参考に)

・映像全般(試合映像はもちろん、試合前練習だったり、インタビューなども性格や考え方が分かるため)

・過去の同タイプの選手との比較、同じ年度の選手同士での比較、現プロ選手との優劣順位付けなど

・ドラフト指名意図(チームにとって欲しい選手、ということは何か理由があるはず。足りないところの穴埋めなのか、将来の主軸候補なのかなど)

・(間に合えば)キャンプや自主トレ確認(アップの短距離走で選手同士の走力を比較したり、新ポジションを練習してるかなど)〉

〈<投手>

・球種(例えば「スライダーを持ってる」と言われていても、縦・横・高速・カットボール・スラーブなど動画を見て変化や球速を見極めます。変化量も)

・最高球速(ただしアマチュアの最高球速は地方球場のガンなどで盛られているケースも多いので、映像でも常時どれくらいか確認)

・投球回や球数、連投など(スタミナの調整で。試合映像があればどのくらいの球数から球速が落ちているか、上ずってくるかなども)〉

〈 <野手>

・50m走、遠投の数値(鵜呑みにはせず、映像でも確認します)

・映像などで測れれば一塁到達タイムや二塁到達などの走塁タイム〉

■開発者として「ドキッとする」瞬間

――昨年の栗林良吏選手(広島)や大勢選手のように、有望なルーキーの先発候補が「抑え」に抜擢されることもあります。重要なポジションにあまりデータのない選手が着くなど、開発者としてニュースを見てドキッとした瞬間はありますか?

 そのニュースはドキッとはしましたね。抑えは特殊なポジションですし、やってみるまで適性が分からないところでもあるため、予想で付けるのもなかなか難しいんです。

 特に栗林選手はドラフト時やアマチュア時代は先発として期待されていた選手でしたし、大勢選手も当初は先発起用が示唆されていました。

 他にも、突然、想定外の守備位置で選手が起用された場合や、投手が自身の最高球速を大幅に更新した時も気になります。特に、球速は目立つところでもあり、「誤計測っぽいけれど……」といったケースでもユーザーから望まれることが多く、判断が難しい部分もあります。

■「根尾昂、2軍で登板!」のニュースに…

――他にも開発時にドキッとするのは?

 野手が投手として登板したり投打転向があった時などでしょうか。最近で言えば、まさに中日の根尾選手のケース。2軍で(投手として)投げた、というニュースを見たときには、もし1軍で投げたら能力的に何らかの対応が必要になるかもしれない、とわれわれとしてはドキッとしました。

――直前までどういう状況になるのか分からないケースなどはどうでしょうか。たとえば、今年は米大リーグのロックアウトで、鈴木誠也選手の移籍先がなかなか決まりませんでした。ですがバージョンアップ前から、カープの選手からキチンと外れていました。このあたりの心配はありませんでしたか?

 もし移籍が決まらず戻ってくると、カープのオーダーも変わってきますからヤキモキして待っておりました。無事移籍も決まり、しかも大活躍のスタートだったので本当によかったなと思いました。なお5月19日のアップデート配信でNPB OB選手として追加収録することもできました。

■いま注目しているのは…

――開発者の視点で、注目している選手を挙げてください。

 ロッテの山口航輝選手、阪神の西純矢選手、中日の石川昂弥選手、橋宏斗選手、オリックスの山下舜平大選手、日本ハムの野村佑希選手、ヤクルトの長岡秀樹選手、ソフトバンクの中村亮太選手、楽天の鈴木翔天選手あたりでしょうか。

 既にブレークしかけている選手や、今年後半からプチブレークして来年以降に大ブレークを期待するような選手も含んでいます。

◆◆◆

〈<ゲームの能力についての補足>

※スタミナ……投手ごとにスタミナが設定されており、投球ごとに減っていきます。スタミナが減るとコントロールが悪くなっていったりします。

※コントロール……コントロールが悪いと、大きく外れてボールになったり、打ちごろのコースに投げ込んでしまったりします。

※変化球……投手には持ち球が設定されていて、それぞれの変化量も設定されています。変化量が大きいと変化も大きくなります。

※特殊能力……選手ごとの特徴的な技術などを表現しています。「満塁男」がついている選手は満塁のときに打力が上がります。

※守備力……守備のときの動きの機敏さ、などに反映される能力です。〉

◆◆◆

 一般社団法人日本野球機構承認 ?日本プロ野球名球会公認 ?日本プロ野球OBクラブ公認 ?プロ野球フランチャイズ球場公認

 ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2021年プロ野球ペナントシーズン中のデータを基に制作しています。Japan Baseball Data(株)データは、Japan Baseball Data(株)が独自に収集したものであり、公式記録とは異なる場合があります。提供情報の手段を問わず、いかなる目的であれ無断で複製、転送、販売等を行うことを固く禁じます

All other copyrights or trademarks are the property of their respective owners and are used under license. ???Konami Digital Entertainment"

(河村 鳴紘)

関連記事(外部サイト)