「これ」という道が見つからないまま30歳に…自己卑下と自信過剰がもつれる“自分探し” 「わたしは最悪。」を採点!

「これ」という道が見つからないまま30歳に…自己卑下と自信過剰がもつれる“自分探し” 「わたしは最悪。」を採点!

© 2021 OSLO PICTURES-MK PRODUCTIONS-© FILM I VÄST-SNOWGLOBE-B-Reel-ARTE FRANCE CINEMA

■〈あらすじ〉

オスロの書店でアルバイトをしているユリヤ(レナーテ・レインスヴェ)は、学生時代は成績優秀で写真や文章の才能にも恵まれていたが、「これ」という道を見つけられないまま30歳になろうとしていた。40代の恋人アクセル(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)はグラフィックノベル作家として成功し、子どもを欲しがっているが、彼女には論外だ。ある日、見知らぬ人たちのパーティーに潜り込んだユリヤは、同世代の男性アイヴィン(ハーバート・ノードラム)と出会い、強烈に惹かれ合う。

■〈解説〉

主人公の女性の20代後半から30代前半の日々を、二人の男性との恋愛を軸に描く。『テルマ』に続くヨアキム・トリアー監督作。第74回カンヌ国際映画祭女優賞受賞。128分。

中野翠(コラムニスト)

★★★★☆主演女優の風貌に少し違和感はあるものの、自分の欲望が見えず、人生の実感が持てない中年女を活写。上等のおかしみ。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★★☆技が細かい。「自分は最悪」と思わない人はいないし、監督が主人公に好悪こもごもの視線を向けている。風景も眼を惹く。

斎藤綾子(作家)

★★★☆☆誰もが体験しそうな依存心ほとばしる愛と、自己卑下と自信過剰が縺れる自分探し。結末の窓からの光景はどう映った?

森直人(映画評論家)

★★★★★どぎつい題名だが、むしろ「中庸」の美徳に貫かれた快作。等身大の人生を謳う冒険譚として映画言語を軽やかに拡張する。

洞口依子(女優)

★★★★☆男女の関係性について。ことが起こる時の煌めき。次世代には生きるヒントが見つかり、中高年には古傷が痛む仕掛け。

『わたしは最悪。』(ノルウェー、仏、スウェーデン、デンマーク)
7月1日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
https://gaga.ne.jp/worstperson/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年6月30日号)

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