安彦良和が樋口真嗣に迫る「『シン・ウルトラマン』を見せたかった”本当”の相手」とは?

安彦良和が樋口真嗣に迫る「『シン・ウルトラマン』を見せたかった”本当”の相手」とは?

安彦良和監督

「あれは生涯忘れない(笑)」『機動戦士ガンダム』の安彦良和が忘れない「ウルトラマン」の”トラウマ” から続く

『機動戦士ガンダム』と『ウルトラマン』。昭和の成長期に誕生し、今なおアニメと特撮の大看板を張るシリーズの最新作が、令和4年の初夏に劇場公開された。それぞれの監督を手がけた安彦良和氏と樋口真嗣氏が、自身の作品に込めた思いのたけを語る!

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安彦 富野監督のガンダムの企画原案では、宇宙船に乗り込んだ子どもたちが宇宙戦争のなかで漂流をする話だったんです。その名残りでホワイトベースは地球で漂流するんですよ。ところが当時の製作状況もあって、話の展開は途中まではボヤッと見えているけれど、その先が見えていない。

樋口 TVシリーズだし、当然ですよね。

安彦 脚本のライターたちが、あてどなく、あっち行け、こっち行けとやっていたんじゃないかな。ファンからすれば先が読めない! 「ガンダム」らしい!となるんですが、なんのことはない、誰も先がわからなかった。だからぼくは当時のTV版の話数順は意味がないと思っているんです。ホワイトベースだって宇宙から降りたら、まずジャブローに行こうとするはずでしょ。それで、『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』では特に大きくは謳ってないけれども、ジャブロー攻略戦とオデッサ作戦の順番を逆にしている。おかげで無人島探しも楽でした。ジャブローとオデッサを結ぶ線上にあるのは、カナリア諸島しかないですから。

※以下、中略。発売中の「週刊文春エンタ+」のお2人対談記事では詳細に語っていただいています。

■オリジナルメンバーだから変える権利がある

樋口 文字どおり漂流していたんだ(笑)。

――『ククルス・ドアンの島』も『シン・ウルトラマン』もリブートするにあたって、オリジナル版へのアクセスの仕方に違いがありますね。

樋口 そこはキャリアの違いです。ぼくはオリジナルの『ウルトラマン』には触れてもいないから、話を変えずに総花的にしないといけない。安彦さんは『ガンダム』のオリジナルメンバーで“世界をつくりし神”(笑)のひとりだから変えられる。

安彦 それは自分で言いたくないけど、あるんです(笑)。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』を描いたときも、事前に当時の社長の吉井孝幸さんに、変だと思うところは変えるよと言ったんです。ぼくはオリジナルメンバーだから変える権利があるって。

 あの時、どんなにバタバタな状況で作っていたかを知ってるし、まだ“神様”じゃない富野さんが「どうしよう……」と悩んで、それをみんなで寄ってたかってフォローしていたこともわかっていますからね。ところで今回の映画で、樋口さんが一番、観せたかった観客層は?

■『シン・ウルトラマン』で意識したのは…

樋口 『シン・ウルトラマン』で意識したのは、ウルトラマンを初めて観る観客だと思います。知らない人が観ても楽しめる作品にしたつもりですが、安彦さんの話を聞いて、だんだん自信がなくなってきた(笑)。

安彦 いや、違うの(笑)。ぼくは予備知識がまったくなかったから、もう少し優しく迎えてほしかっただけで。

樋口 安彦さんは『ククルス・ドアンの島』を誰に観せたかったんですか。

安彦 ガンダムを知らない人が「こういう話だったのね」と観てもらえるようにつくったつもりです。『ガンダム』放送時の高校生世代も、もう還暦ですから。おじいちゃん、おばあちゃんが孫を連れて観ても「ヤギさん!」と喜んでもらえて、ガンダムもチャンバラしてカッコいい。どなたが観てもわかります。だから皆さん映画を観にきてください。

樋口 『シン・ウルトラマン』も、ぜひ劇場にいらしてください(笑)!

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 対談の続きは、「週刊文春エンタ+」の特集記事でお楽しみください。

〈注〉

ガンダムの企画原案:初期の構想は『十五少年漂流記』から着想を得たものだったという。このプロットは、のちに『伝説巨神イデオン』や『銀河漂流バイファム』にも使われた。

ジャブロー攻略戦:ジャブロー基地は連邦軍の総司令部で一年戦争時にジオン軍の標的となった。第29話「ジャブローに散る!」、第30話「小さな防衛線」で描かれる。

オデッサ作戦:ジオンに攻め込まれていた連邦軍の、最大の反攻作戦。第25話「オデッサの激戦」で描かれる。劇中、ジオン軍のオデッサ基地司令マ・クベが水爆を使用する。

『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』(01年):『機動戦士ガンダム』をベースにした安彦良和によるマンガ。設定の改定やエピソードの追加などのアレンジが施されている。2015年からは安彦総監督のOVAも制作された。

?創通・サンライズ
取材・文=幕田けいた、撮影=杉山秀樹

(安彦 良和,樋口 真嗣/週刊文春出版部)

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