「若者がJ-POPに出会うキッカケはYouTube」「小3でセカオワにドハマり」異例の韓国人J-POPアイドル(21)が語る、韓国の“邦楽事情”

「若者がJ-POPに出会うキッカケはYouTube」「小3でセカオワにドハマり」異例の韓国人J-POPアイドル(21)が語る、韓国の“邦楽事情”

SOLIさん(zoom取材の様子)

 J-POPが好きすぎて、自らJ-POPのアイドルになった韓国出身のSOLI(ソリ)、21歳。2019年夏に結成され、2021年夏にメジャーデビューを果たした6人組「ミームトーキョー」のメンバーだ。

 今やK-POPアーティストに憧れて韓国に渡る若者は相当な人数になっており、この6、7年の間にK-POPチームでデビューした日本人メンバーは50人以上にのぼるが、逆のケースはかなり稀有だ。

 日本音楽のオタク級のファンとなり、日本でアイドルデビューしたものの、コロナ禍で日本を離れて活動しているという、彼女の熱意と本音に迫った。

◆ ◆ ◆

■邦楽好きの母の影響で、SEKAI NO OWARIにドハマり

――どんなきっかけで、日本の音楽に興味を持ったのですか?

SOLI 母はギターを弾いたり歌ったり音楽に関することを色々やっていたので、日本のバンド音楽を色々聴いていて、ライブも観に行ったりしていました。母が一番好きなのは、X JAPANだったと思います。私も幼いころから母の影響で、日本の音楽を沢山聴いていました。挨拶程度の日本語も母から習っていましたね。

 そうして自然とJ-POPに接するようになり、最初は中島美嘉さんやX JAPANとかを聴いていましたが、自らハマったのはSEKAI NO OWARIです。

――SEKAI NO OWARIを好きになったのはいつですか?

SOLI 小学3〜4年生のころです。YouTubeのアルゴリズムに出てきたのを偶然見てから気に入って、他の曲も見聴きするうちにファンになってしまいました。日本のツアーにも参加して、もらった物すべてをファイリングし、ファンクラブ情報も全部残しています。ライブチケットも残していますが、その時のレシートも取ってあります(笑)。

――完全にオタク級のファンですね(笑)。最高です。では韓国公演も観に行きましたか?

SOLI はい、もちろん行きました! これ、ちょっとオタクっぽくて少し恥ずかしいのですが……、アーティストを空港にお迎えに行って歓迎したり、お見送りしたりすることが、韓国ならではの文化なんですね。私はこの韓国らしい習慣が好きで、SEKAI NO OWARIが韓国へ来るときも、出迎えやお見送りにも行っていました。

――SEKAI NO OWARI以外だと、どんなバンドが好きですか?

SOLI Galileo Galileiの頃からのBBHFや、最近はSaucy Dogが好きでよく聴いています。

■日本のアイドルにハマったきっかけは?

――日本のアイドルのファンでもあったそうですね。

SOLI はい。最初に好きになったのは、CY8ER(サイバー)というグループです。今は解散してしまいましたが。そのうち色んなアイドルを聴くようになって、ディアステージ(ミームトーキョーの事務所)の所属になってからは、同じ事務所のアイドルをたくさん聴くようになりました。

――バンドとアイドルでは魅力が違うと思いますが、アイドルを聴くきっかけは何だったのでしょう。

SOLI 私が高2だった2018年に、CY8ERがホンデ(ソウルの若者の街)に来て、ストリートライブをしたことがあったんです。SEKAI NO OWARIのファン友だちに、一緒に観に行かない?と誘われて行ったら、すごくカワイくて一瞬でファンになりました。その後、BBHFのライブを観に東京へ行ったときに、CY8ERのことがずっと気になってしまい、ライブを探して当日券を買って観に行ってから、さらにハマってしまいました。

――SOLIさんの周りの友だちにも、日本のアイドルや音楽好きはいましたか?

SOLI 日本といえばアニメが有名なので、アニメが好きな友だちの大部分はJ-POPも好きですね。周りの友だちとも推薦し合いながら、色んな音楽を聴いていました。

■韓国の若者がJ-POPにハマるきっかけは「YouTube」

――J-POP好きの人たちの間では、どんなアーティストの名前があがりますか?

SOLI Official髭男dismなどのポピュラーなバンド名はよくあがりますし、最近韓国ではフューチャーポップが人気なので、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ、Yunomiさんも人気がありますね。

――韓国でJ-POPは基本的にテレビで流れないですし、ネットがあるとはいえ、J-POPと出会うことが難しくないですか。

SOLI 入口はYouTubeからの人が多いと思います。本当は権利的にダメだと思いますが、翻訳歌詞をつけた映像もたくさんありますし、そういうのを見ながら好きになって行きますね。J-POPだけを聴くと言うより、K-POPもJ-POPも好き、という感じで複合的にエンタメが好きという人が多いです。

――SOLIさんも好きなK-POPチームがありますか?

SOLI 子供のときはBIGBANGが好きでした。最近だと (G)I-DLEが好きです。メンバーが作詞作曲もするので、あんな風になりたいと憧れています。私は自然と、作詞作曲ができるメンバーがいるグループを好きになるようです。

■オーディションの際は、あえて東京に飛んだ

――だからJ-POPもバンドから好きになったんですね。そして『でんぱ組虹コンJr.メンバー募集オーディション』の開催が2019年2月でしたが、当時は学生ですよね? どうして受けようと思ったのでしょう。

SOLI オーディションを受けたときは高2〜3の年でした。ステージで歌ってみたいという夢があったのと、当時でんぱ組が大好きで、オーディションを受ければメンバーに会えると思っていたんです(笑)。メンバーに会いたい目的半分、真剣に歌手になりたい思い半分で志願しました。

 オンライン審査もあったのですが、あえて東京へ直接行ってオーディションを受けたところ、運よく合格したんです。

――アイドルのファンとしてだけでなく、ご自身もステージに立ちたいという思いが元々あったと。

SOLI ずっと憧れはありました。カラオケで1時間同じ曲を歌い続けたりとか、一生懸命ひとりで練習していました。養成スクールなどは通っていません。

 音楽の仕事って、安定しないし、才能がある人ばかりという、ハードルが高いイメージで、興味はあったけれど勇気が出せなかったんです。でも、勇気を出してオーディションを受けたことで、こうして音楽を仕事にできるようになりました。

――オーディションを受けたときも、日本語はできたのですか?

SOLI はい。でもオーディションではあまり難しい日本語は使わないので、ある程度の返答ができれば大丈夫でした。合格してメンバーとして仕事をしながら、すごく日本語力が伸びたと感じます。

■「アイドルだっていまだに信じてくれない友だちもいます(笑)」

――合格の連絡を受けたとき、どんな気持ちでしたか?

SOLI 私の性格が少し淡泊なほうで、審査は何段階もあったのですが、最後のころには、「これは行けるな……」という感触がちょっとだけありました、雰囲気的に。なので合格を頂く前に、気持ちの準備ができていた状態でした。

――ご両親はどうでしたか? 韓国は学歴社会なので、高3の時点で、進学ではなく異国の芸能界入りを選んだことに、どう反応されたのかなと。

SOLI 両親は開放的なほうなので、やりたいことが全て叶って本当におめでとう、良かったねと喜んでくれました。きっと心配もあったと思いますが、もし日本のオーディションを受けなかったとしても、音楽関係の道を考えていましたし、今は進学より確実に音楽へ集中したい、もし先々学びたい事があれば改めて大学に行くという思いを伝えると、心から私を信じて応援してくれました。

――友だちからはどう声を掛けられましたか?

SOLI すごく驚かれて、不思議がられましたね。韓国のアイドルでもなく、日本のアイドルだし、日韓でアイドルのシステムも大きく違うので、私が何をやっているのか知らない子も多くて、いまだに信じていない友だちもいます(笑)。

――2019年に結成して2020年にはコロナ禍となってしまい、SOLIさんはずっと日本で活動を行えていないのですよね?

SOLI メンバーになってから、高校卒業を優先してお休みさせてもらい、2020年の春に日本で活動を始める予定だったのですが、コロナ禍になって行けなくなりました。

――現在SOLIさんは韓国にいながら、レコーディングに参加したり、MVやスチール撮影を行ったりしていると聞きました。具体的にどうやっているのですか?

SOLI ほとんど1人でやっています。レコーディングは事務所に送ってもらったマイクを使って、部屋で布団をかぶって(笑)録音したり、写真やMV撮影も自分で照明をセッティングして衣装を着て自ら撮影したりという感じです。

――それはすごい。写真の場合、現地でカメラマンに撮ってもらうのではなく?

SOLI 最初はスマートフォンで撮っていましたが、最近は写真撮影が趣味になったので、安いカメラを買って、自ら撮影しています。MVの場合、後ろに緑の布をクロマキーにして撮影すると、日本側で良い具合に編集して下さいます。全て自宅でやっています。

――リモート活動も楽しんでいますね! でもメンバーやファンに会えないというのは、寂しいのでは。

SOLI 最初のメンバーは会ったことがありますが、新しく加入したメンバーたちには一度も会えていません。リモートで仕事をしながら会話はしていますが、やっぱり離れて1人で活動しているのは寂しいですね。

――この先、日本に住んで活動する予定は?

SOLI 出来るなら、日本に長く住みながらライブや色んな活動ができるようになりたいです。これまでずっと韓国で過ごして来たので、いざひとりで生活して仕事をするって、色々寂しいかもしれないですが。以前日本へ遊びに行ったときに韓国料理が恋しくなって、新大久保に行って食べても、やっぱり現地とはちょっと違うなと感じました。

■韓国からJ-POPアイドルの道へ…ファーストペンギンの不安

――K-POPに憧れて韓国へ渡り、K-POPアーティストになる日本人は増えていますが、SOLIさんのように、J-POPが好きでJ-POPアイドルになった人って、ほとんど居ないのでは?

SOLI そうですね、私みたいなケースはないと思います。自分が初めてのケースだと考えると、方向性もよく分からなくて最初は不安でしたが、始めてみると思ったよりも適応できて、メンバーも事務所もすごく親切で、今は楽しくやれています。

――韓国でデビューする日本人たちと似たような境遇かと思うのですが、彼ら彼女らのことはどんなふうに見えていますか?

SOLI 韓国人としても、外国で活動するアーティストとしても、本当に尊敬しています。K-POPのアーティストになることは、韓国人ですら相当難しくて厳しいのに、外国から来て職業にするということは、アイドルに限らずとも寂しくて大変なことだと思います。それを乗り越えて、高い目標を達成したということに、心から尊敬しますし、私もそんな覚悟を持っていたいと感じています。

――特に注目している日本人メンバーはいますか?

SOLI TWICEのサナさんって、とてもしっかりしたマインドを持っているので、私もそうなりたいと思います。パフォーマンスでは最近話題のBillieのツキさん、すごいですよね。ステージに臨む姿勢が私も学ぶべきだと思って、一生懸命見ています。いつかK-POPの皆さんとも、一緒にお仕事できる機会があればうれしいです。

■SOLIさんが感じる「日韓のアイドルの違い」

――SOLIさんから見て、日韓のアイドルの違いとは?

SOLI 個人的な見方ですが、韓国のアイドルは、アーティストというジャンルの中にアイドルも含まれていると感じます。

 日本のアイドルは、アーティストとはある意味で別のジャンルと思わせる側面もあり、ファンとのコミュニケーションにも重きを置いて、絆を築きながら成長していく独自のスタイルがあると感じます。Perfumeやでんぱ組.incの場合は、アーティストとアイドル両方のスタイルを持っている感じがしますね。

 ミームトーキョーも、もちろんファンとの絆を重要視していますし、アーティストとしても広く認められる存在になりたいです。

――SOLIさん21歳ですよね!? お話が完璧すぎて。日本のアイドルとして頑張って行くという決意を感じます。

SOLI ありがとうございます。本来なら日本で活動を始める予定だった2020〜21年にかけては色々思いがまとまらなくて、去年は一番しんどかったですね。私が歩んでいるこの道が合っているのか、自分だけ止まっているんじゃないか、と思ったり。

 ひとりで悩み続けた結果、やっぱり音楽をしたい、極端に言うと、もし飢え死にすることがあっても、その日まで音楽をしながら死にたいという思いに至りました。音楽シーンについてよく勉強して、音楽スキルを身につけて、人生を音楽に賭けたいという思いを、今は確実に持っています。

――コロナ禍で1人離れていたことに、追い詰められていたんですね。その悩みをどう克服したのでしょうか。

SOLI 自分について書き出してみたり、日記を書いたりしました。すると思った以上に、私って音楽が大好きで、アイドル活動も私の人生で本当に重要で幸せな瞬間として残っていて、これをもっと長くやりたいんだと気づいたんです。それを自覚してからは、あまり不安にならずに仕事へ没頭できるようになれました。

? 歌以外でも、幼いころ母に習ったギターを少し弾けるので、YouTubeでウクレレの弾き語りをしたり、最近はドラムも習い始めたり、DJとしてアニメソングをミックスしながら流すDJイベントに出たりしています。

――活躍が目覚ましいですね! 最後に、SOLIさんの目指すアーティスト像とは。

SOLI 日本語で話してもいいですか? 私は離れているので参加できない活動もあるんですけど、レコーディングも、撮影も、DJイベントとかの音楽的なこともそうだし、映像編集とか、写真の加工も得意です。ファンの方にとって、私はミームトーキョーのコンテンツの1つになれるんじゃないかなと思っています。

 そういったことも、もっと出来るように、どんどん活躍の場を広げているので、皆さん、たくさんの愛をお願いします。応援して下さい!

(筧 真帆)

関連記事(外部サイト)