「『BISTRO SMAP』で作るからレシピを母ちゃんに聞いたら…」 草g剛の“食べるとなぜか調子が悪くなる”家庭の味

「『BISTRO SMAP』で作るからレシピを母ちゃんに聞いたら…」 草g剛の“食べるとなぜか調子が悪くなる”家庭の味

映画「サバカン SABAKAN」で、うだつのあがらない小説家を演じた草g剛さん

「剛でラジオドラマをやりたいんだけど、何かいい題材がない?」と… 草g剛が語る『新しい地図』になって“初めて”の仕事 から続く

「新しい地図」をスタートした約5年前、草g剛さんがラジオドラマの脚本として出会ったのが、8月19日に公開される 映画『サバカン SABAKAN』 の原作小説でした。

 収録中に感動で泣いてしまったというほど、本作に思い入れのあった草gさん。映画の公開を記念して、草gさんが同い年の金沢知樹監督と少年時代の思い出について語った対談を 「週刊文春WOMAN2022年夏号」 より全文公開します。(全2回の2回目。 前編 を読む)

◆ ◆ ◆

■少年隊への憧れでジャニーズ事務所に入所

金沢 先輩の一言って、力になりますよね。剛さんって何歳からお芝居をやっているんですか?

草g 事務所に入ったのが中学1年の時で、SMAPに入った次の年には演技を始めましたね。演技って面白いって最初からちょっと思った記憶はあります。

金沢 そういう話、聞いてみたかったんです。この仕事を始めるきっかけは何だったんですか?

草g 少年隊への憧れです。『ザ・ベストテン』とか『ザ・トップテン』で見たヒガシ君に憧れて、ヒガシ君になりたかった。会いたかった。それで、少年隊がいる事務所に入りました。

金沢 テレビの生歌番組は、俺たちの子供時代直撃ですもんね。

草g 今もYouTubeで、昔の少年隊の映像ばっかり見てますもん。

金沢 今も好きなんですか!

草g かっこいいですよ。当時はヒガシ君オンリーだったけど、今はニッキさんもすごいと思う。子供の頃は分からなかった。

■仕事を始めるまでは普通の小学生だった

金沢 何が違うんですか?

草g リズムの取り方とか、テクニックとか。『バラードのように眠れ』のニッキのパフォーマンスとか、マジでやばいよ! あと、これはヒガシ君もそうだけど、身体能力の高さがとんでもない。植草くんも、うまいんです。でも、他の2人が怪物なんですよ。怪物のレベルに合わせて曲を作っているから、人間はどうしても付いていけなくなっちゃうの(笑)。

金沢 パフォーマーとしての剛さんは、少年隊のDNAを継いでいるんですね。去年舞台でやられた『アルトゥロ・ウイの興隆』のダンス、すごかったです。

草g あの舞台で踊っている時は、少年隊を勝手にイメージしていました。ほとんどフリーのダンスだから、「今日はカッちゃんで行こう」とか、「ニッキで行こう」とか。

金沢 こういう話、焼酎を飲みながら一晩中聞いていたい!(笑)もうちょっと聞いてもいいですか。さっき中学1年でこの仕事を始めたとおっしゃっていましたが、それまでは普通の小学生だったってことですよね。

草g 映画の男の子と全く一緒ですね。キン肉マン消しゴムを集めていて、僕はキン肉マンとロビンマスクが欲しかったんだけど、キン骨マンばっかり出るからイライラしたり。日曜日になると、友達を誘って近所のお店にガチャガチャやりに行ってたなぁ。

■うちの父ちゃんの歌が上手いところは似なかった

金沢 映画のテーマでもある「親に黙って初めての遠出」って、僕自身の体験なんです。剛さんもありました?

草g それも映画と一緒で、僕も友達と2人で自転車に乗って隣町まで行ったことがあります。僕は埼玉県春日部市出身なんだけど、隣町は田んぼが広がる田舎でカブトムシが取れるところがあって。でも雷がゴロゴロ鳴って雨も降ってきちゃって、慌てて家まで帰ったんですよ。

 家に着いたら居間のテレビでアニメが流れていて、「ああ、帰ってこれた」と思ったらベランダから日が差してきて……。自転車を漕いでいる間はめちゃめちゃ怖かったけど、自信にもなったんですよね。不安なことがあると「俺はあの雷の中、友達と2人で帰ってこれたんだ」って、実は今でも思い出す。

金沢 いい話ですね。うちの両親は『サバカン?SABAKAN』に出てくるまんまな感じなんですけど、剛さんのご両親って?

草g お父さん役の竹原ピストルさんは、歌手もされている方で、歌がうまいじゃないですか。うちの父ちゃんも、歌がすごくうまいんです。そこは僕、似なかったんだけど。

金沢 いやいや(笑)。

■草g家の思い出の味

草g ただ、声はよく出る(笑)。声量は父ちゃんに似て、音程は母ちゃんに似ちゃったのかもしれない。母ちゃんも、得意な歌だとなかなか味があるんです。レーモンド松屋さんという愛媛県出身のシンガーソングライターの方の大ファンなんですけどね。

 母ちゃんは愛媛出身なので、県民にしか分からないマニアックな歌詞にシンパシーを覚えたらしく、たまに実家に帰るとCDを聴いたり、母ちゃんの歌を聴かされたり(笑)。もともとは母ちゃんがレーモンドさんのファンなんだけど、秋田出身の父ちゃんも大好きになっちゃって、2人でコンサートに行ってる。

金沢 秋田出身なのに!

草g 映画ではおいしそうなサバ缶の寿司が出てきますけど、うちの思い出の味は、土曜の昼に母ちゃんが作ってくれたたこ焼き。当時、家庭用のたこ焼きの鉄板が売られ始めた頃で、家でたこ焼きが作れるなんてスペシャルだぞって感じで毎週出されていたんですよね。しかも食べるとなぜか必ず調子が悪くなる。おいしいんだけど。今でも実家で食べると、やっぱりズドーンとくる。

■たこ焼きのレシピを教えてくれって母ちゃんに電話したら

金沢 何が入ってるんですか(笑)。

草g それ、聞いてみたことがあるんですよ。10年くらい前に『BISTRO SMAP』でたこ焼きを作ることになって、レシピを教えてくれって母ちゃんに電話したら、「草g家秘伝だから教えられない。あんたに言うとテレビとか雑誌で喋っちゃうから」って。

一同 (笑)

草g 別にそれほど知りたくないんだけど(笑)。だけど得意になってる母ちゃんがおかしいから、今でも「たこ焼きのレシピ教えて」ってわざと言うの。そうしたら「教えない」って言うわけ。

金沢 素敵です。こういう個人的な話って面白いですね。それこそ「人」が出るというか、その人にしかない個性の輝きを感じます。

草g 金沢さんは子供の頃、アイドルが好きだったんですか? 映画の中で、斉藤由貴さんのポスターが出てくるじゃないですか。

金沢 僕はアイドルにはまったく興味なかったんです。父ちゃんが好きだったんですよ。

■カレー屋を始めようとしていたら、電話が鳴り…

草g じゃあ、時代を象徴する存在としてあえて入れたんですね。

金沢 そうですね。僕はちっちゃい時から、お笑いが好きだったんです。タケちゃんマン(『オレたちひょうきん族』)の世代なので、たけしさん、さんまさんが大好きで、芸人さんに憧れていて。芸人になったのは23歳の時で、ワタナベエンターテインメントにお世話になって1年半ぐらい経った頃に、オーディションに受かって『あいのり』に出ることになったんです。

草g その話、前にちょっと聞きました。番組では「金ちゃん」ってモテない男の子だったんでしょ。

金沢 収録2日目で一緒にバス旅してる女の子を本当に好きになって、すぐフラれました。ただ1年ちょっと旅して日本に戻ったら、もともと僕は芸人なのに「なんで素人がお笑いを始めたの?」って感じになって、全くウケなくなっちゃったんですよ。

 完全に自信をなくして、事務所も辞めてカレー屋さんを始めようとしたんですね。で、浅草の合羽橋でカレー用の寸胴を見ていたら、電話が鳴って、事務所の先輩で面倒を見ていただいていたネプチューンのホリケンさんで。「『笑う犬の発見』ってコント番組が始まるから、構成作家として中に入ってみれば? 金ちゃんは書く才能があると俺は思ってるから」と。実はその日、別の人からもう1本、「和田アキ子さんのラジオの構成作家をやらないか?」という電話も入ったんです。

■これからも一緒に何かを作っていきたい

草g 一日に2本も!?

金沢 これはもうやってみろってことかなと思って、構成作家の仕事を始めたんです。それが26歳の時で、脚本を書くようになったのは03年に劇団を始めてから。「草g剛」という俳優を好きになったのも、ちょうどその頃なんですよ。『僕の生きる道』(03年)から始まる「僕」シリーズが大好きで。いつか一緒に何かを作りたいという20年越しの夢を、今回叶えることができた。これからも一緒に作っていきたいって野望があるんです。

草g 僕もまた監督とお仕事したいです。そのためにも、まずは『サバカン?SABAKAN』をよろしくお願いします、とみなさんにお伝えしたいですね。本当にいい作品なので。この夏休み、子供たちが初めて観る実写映画にもなったらいいな。

金沢 ……それが一番大事でした。間違えました。欲が出ました(笑)。

text:Daisuke Yoshida photographs:Takuya Sugiyama
hair&make-up:Eisuke Arakawa styling:Akino Kurosawa

くさなぎつよし/ 1974年埼玉県生まれ。91年にCDデビュー。2005年橋田賞、07年読売演劇大賞杉村春子賞など受賞多数。20年の映画『ミッドナイトスワン』で日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀主演男優賞を受賞。Disney+でドラマ「拾われた男」が配信中。

かなざわともき/ 1974年長崎県生まれ。お笑い芸人を経て、バラエティ番組の構成作家に。2003年劇団K助を旗揚げ。主な映像脚本に、国際エミー賞最終候補にノミネートされた『半分ノ世界』、TBSドラマ「半沢直樹」、Netflixドラマ「サンクチュアリ」など。本作が初監督作品となる。

映画「サバカン SABAKAN」

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1986年夏、長崎。小学5年の僕は、家が貧しくクラスメートから避けられている竹ちゃんと“イルカを見るため”ブーメラン島を目指す。主役の子役・番家一路&原田琥之佑を支えるのは、尾野真千子、竹原ピストル、貫地谷しほり、岩松了、草g剛ほかの豪華キャスト。


●8月19日(金)全国ロードショー 
https://sabakan-movie.com/#modal
?2022 SABAKAN Film Partners

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(「週刊文春WOMAN」編集部/週刊文春WOMAN 2022夏号)

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