あいみょんを手放しで絶賛…吉田拓郎、最後の“カッコいい”テレビ出演――てれびのスキマ「テレビ健康診断」

あいみょんを手放しで絶賛…吉田拓郎、最後の“カッコいい”テレビ出演――てれびのスキマ「テレビ健康診断」

吉田拓郎 ©文藝春秋

「番組が始まる時に凄い言われたんですよ。拓郎さんに粗相がないようにって」

 堂本光一が回想するように、こだわりが強く気分屋というイメージが強かった吉田拓郎がバラエティ番組にレギュラー出演することは驚きだった。それも、ジャニーズのアイドル・KinKi Kidsと組んでMCを務めるなんて考えられないことだった。『LOVE LOVE あいしてる』(フジテレビ)開始当初は、そこはかとない緊張感があったように記憶している。それをぶち破ったのが、レギュラーに抜擢された篠原ともえだ。超ハイテンションなスタイルで無理やり3人の壁を引き裂いていった。最初は吉田に毛嫌いされていた篠原が、すっかり寵愛されるようになった頃には番組は押しも押されもせぬ音楽バラエティになっていた。90年代後半に青春を過ごした者にとって『LOVE LOVE あいしてる』は“特別”な番組のひとつだ。

 2022年、吉田拓郎が音楽活動からの引退を発表し、“最後”のテレビ出演の場として選んだのが『LOVE LOVE あいしてる』の「最終回」と銘打った復活特番だ。いかにこの番組が吉田にとって大事だったかがよくわかる。最後のゲストの木村拓哉やあいみょんらも吉田が指名したという。「楽器は格好だもん。カッコつけなきゃダメ!」とこだわりを持つ吉田が、ギターの持ち姿がカッコいいと評する2人だ。

 この日、印象的だったのは吉田拓郎が若い世代に賛辞を惜しまなかったこと。例えば、あいみょんに対しては「吉田拓郎の詞って絵日記だって言われたの。作詞ってそれまでは月がどうした、星がどうとか、花鳥風月みたいなので大袈裟な詞が多かったんだけど、急に自分の身の回りのことばっかりをテーマにするようになったから絵日記みたいでつまんないって言われた時期があったの」と自身のことを回想した上で「その日常をすごくうまく描く人。その上で見方がやっぱ現代なわけ。それが鋭いんだよね、この人の詞は」と手放しで絶賛。最後のアルバムについても、KinKi Kidsらを指して「君たちに恥ずかしいものを作っちゃいけないっていうのが芽生えて、君たちがもしかしたら喜んでくれるかもしれないっていうのが大テーマになってる。そう考えたときから、音楽が降りてきた」などと彼らの存在が刺激になったと明かしている。

 最後に披露された曲はこの日のために吉田が作詞し、KinKi Kidsの2人が作曲した「Sayonara あいしてる」。少し感極まった表情でギターを掻き鳴らす吉田拓郎はたまらなくカッコよかった。吉田は最後にアーティストとしての「カッコいい」姿を見せ、その「カッコいい」を若い世代に伝承しようとしているように見えた。

INFORMATION

『LOVE LOVE あいしてる』
フジテレビ系 スペシャル番組
https://www.fujitv.co.jp/LOVELOVE2022/

(てれびのスキマ/週刊文春 2022年8月11日号)

関連記事(外部サイト)