オールスターで輝いた日本ハム・清宮幸太郎のこれから

オールスターで輝いた日本ハム・清宮幸太郎のこれから

オールスターでキツネダンスを披露する清宮幸太郎

 オールスター第1戦のあった深夜、ハードディスクの録画を再生していた。9回裏ツーアウト、ランナーなし。マウンドは広島の森下暢仁。清宮がバッターボックスに向かいながら素振りを2回したところで「試合の結果は9時54分からの報道ステーションの中でお伝えします」とアナ。ビジョンに大写しになった清宮はプツンと消えて映像は「秋葉原事件」の画に切り替わった。地上波の放送延長なしなの? BS朝日は録画していないよ〜。DAZNはやってないよね。なんてこった!

 実は、2対2の6回裏以降、リアルタイムで試合を見ていない。仕事だったのだ。11時頃、スマホを開くと3対2でパリーグが勝っている。詳しい内容を確認すると、《9回裏サヨナラ勝ち》《清宮サヨナラホームラン》。なんだとぉぉ!!! 喜びよりも先に悔しさがやってきた。なぜ今夜、よりによって仕事だったんだろう。で、家に帰ってさらに落ち込んだ。清宮の打席の寸前で中継が終わってる。

 スポーツニュースやらネットの動画やらでなんとか追体験したよ。9回裏2アウト、カウント1−2。森下の5球目、外寄り低めのストレートを清宮が叩く。打球はレフトのホームランテラスに飛び込んだ! やった〜! サヨナラだ! ギータ(柳田悠岐)も吉田正尚も浅村栄斗も総出でお迎えだ! 山川穂高にピコピコハンマーで叩かれてる! MVPだ! 日曜日のヒロインで宣言した通りじゃん! ベンチ前で清宮を中心に輪になったぞ。あれ、やるのか? いよ〜っ、パン! ファイターズの儀式「勝利の一丁締め」だ〜! ヒーローインタビューではBIGBOSSへの一言を促されて親指と小指を立てた。「やったぜ!」……と、これで追いかけ完了。

 本当にいいオールスターゲームだったなあ〜!

 リアルタイムで見られなかったこと以外は。

■プロ5年目で夢の球宴初出場

 そもそも、このオールスターには松本剛と野村佑希が堂々のファン投票1位で出るはずだった。ところが、松本はケガ、野村はコロナ陽性で辞退。ガッカリしていたファイターズファンにとってせめてもの救いが清宮幸太郎のプラスワン投票1位だった。プロ5年目で夢の球宴初出場。

 テレ朝は「佐々木朗希&侍戦士が集結!」とテロップを打つ。しかし、目立っていたのは清宮だ。試合前は耳付きのカチューシャを着けてキツネダンス。監督推薦で初出場の伊藤大海とともにキツネ伝道師の役割を果たす。グラシアルもモイネロもキツネに化けてニコニコだ。ホームラン競争ではギータが清宮を投手役に指名。準決勝で7本打って山川を下すと、インタビューでは「清宮幸太郎のボールがよかった!」。1月の自主トレを共にした後輩を持ち上げてくれた。

 第2戦もなかなかだった。スタメンで1番、しかもサード! 中嶋聡監督のまるでBIGBOSSみたいな起用に応えて、初回先頭打者としてセンター前ヒット。その裏、先頭・塩見泰隆の打球が三塁線を襲う! 急造三塁手には厳しそうに見えたが、よく捕った! よく投げた! 一塁アウト! ジェームス(野村佑希)よりもうまいんじゃないか? という守備も見せた。

 このあと7回からレフトの守備につくと、牧秀悟の大飛球が飛んできた。フェンス際でジャンプした清宮がナイスキャッチ! しかも、ファーストミットで(笑)。

 第2戦のMVPは柳田悠岐。その決勝のホームランは清宮から借りたバットで打ったという。終わってみれば清宮を中心に回ったオールスターだった。

 逆に清宮がいなかったらファイターズファン的にどうだったのか? ケガもコロナもなければ、近藤健介、松本剛、野村佑希、上沢直之は出場していただろう。そのうちの誰かは活躍もしただろう。だけど、清宮みたいにオール・パシフィックの真ん中で輝けただろうか。いろいろあってスター選手が去ったファイターズに求められる陽性のスター。リーグを代表する選手になりうる素材、ということなら清宮幸太郎が一番手だ。5年前、木田優夫GM補佐(当時)が当たりくじを引いて本当によかったと思う。

■清宮が比較されるべきは「昨日の清宮」だ

 オールスターMVPの勢いで後半戦は大爆発……してほしいところだが、そう簡単ではない。7月29日から8月7日の9試合で打率.200、ホームラン2本、8打点。清宮なりに試行錯誤の中身は日々変えているようだ。楽天3連戦ではまるでオールスターの再現を狙うように逆方向への意識が明らかだった。サード、ショート、レフトへのフライが5つ。HBCラジオで解説した鶴岡慎也さんは「オールスターで反対(レフト)方向への自分の飛距離をつかんだのではないか。反対方向を意識することでボールを長く見られる。ワンランク上のバッターになれる気がする」と打席での変化を指摘していた。うんうん、清宮が比較されるべきはもはや村上宗隆ではなくて「昨日の清宮」だ。

 3日のソフトバンク戦では今季初めてランナーを置いてホームランを放った。しかも、2ラン2発は大きな変化だ。1本目はノーヒッター東浜巨のカットボールをジャストミート。ライトポール際の上段に運んだ。2本目はNPBに復帰後初登板、秋吉亮のスライダーを一閃。「秋吉〜お帰り〜」と喜んでいた僕は嬉しさ7割、気の毒3割の一発になった。

 やっぱり清宮のホームランには華がある。もっと見たい。

 ギータも言ってた。「あとは自分を信じてやるだけ」だと。そう思う。清宮に自分を信じろというなら僕らも清宮を信じなければいけない。

 僕は決めた。清宮があえなく三振しても、当てただけの併殺打でも、黙って次の打席を待つ。次はやってくれる。

 最近の清宮は身体のキレが増した気がする。BIGBOSS指令によるダイエットで改造したボディーに馴染んできたのではないか。ベースランニングのスピードも違って見える。350万回再生の球団公式Youtube「【噂のきつねダンス】俺たちはみんなと踊りたい」を見た方はお分かりだろう。淺間大基の次に踊れているのはマツゴーでもジェームスでもなく清宮なのである。

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(近澤 浩和)

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