何者かに襲われ…「ウクライナの市民権を手放さなければ出場できない」15歳の女性アスリートの運命を描く 「オルガの翼」を採点!

何者かに襲われ…「ウクライナの市民権を手放さなければ出場できない」15歳の女性アスリートの運命を描く 「オルガの翼」を採点!

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■〈あらすじ〉

 2013年のキーウ。15歳のオルガ(アナスタシア・ブジャシキナ)は、体操の欧州選手権で大技を成功させるべく、日々練習に励んでいた。しかし、ヤヌコーヴィチ政権の汚職を追うジャーナリストの母親とともに、何者かに襲われてしまう。身の安全のため、オルガは、亡き父の故郷であるスイスのナショナル・チームに合流することに。

 SNSを通じて徐々に激化していく革命の様子を見ながら、孤独に練習に打ち込むオルガ。祖国や母親、親友への思いは募るばかりだったが、欧州選手権に出場するには、ウクライナの市民権を手放さなければならなかった。

■〈解説〉

 2014年にウクライナで起きた市民運動、ユーロマイダン革命を背景に、10代の少女の運命を描く。選手役にプロのアスリートを起用し、実際のデモ参加者が撮影した革命の映像を使用した。監督・脚本のエリ・グラップの初長編作品。90分。

中野翠(コラムニスト)

★★★★☆15歳の少女にとっては重すぎる政治的現実。一部、実際の映像も。現在にも通用するウクライナ問題。気丈な母とその娘。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★★☆めざましい。政治の断面とスポーツの現場が、肉体にまっすぐ響く形で描かれている。観客に空間を把握させる技も的確。

斎藤綾子(作家)

★★★★☆楽しさ、怒り、緊張を映すオルガの素直な表情がいい。今に至るウクライナの深刻な過去を身近な形で知る事が出来た。

森直人(映画評論家)

★★★★★平易かつ完璧。実際の体操選手を起用し、スポーツと政治、多様な青春の主題を澄明に凝縮した。90分の充実に心打たれる。

洞口依子(女優)

★★★★☆マイダン革命直前のキーウを背景に若いアスリートの説得力は、政治、青春、スポーツの境界線を曖昧にし「今」を映す。

『オルガの翼』(仏、スイス、ウクライナ)
渋谷ユーロスペースほか全国順次公開中
http://www.pan-dora.co.jp/olganotsubasa/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年9月15日号)

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  • 1

    かわいそうに。文春のネタにされて。

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