藤浪、森木、西純、才木…阪神ファンも待ってた“高卒生え抜きローテ”の明るい未来

藤浪、森木、西純、才木…阪神ファンも待ってた“高卒生え抜きローテ”の明るい未来

藤浪晋太郎

 筆者のツイートが“歓喜”に包まれたのは先週のことだった。「もう夢しかない」「あぁたまらん」。「今週熱っ」。その熱狂は、ある「表」が発端になっていた。スポニチでは6連戦が始まる火曜日付の紙面でタイガースの1週間の先発予想と、投げ合う相手が一目で分かる表を掲載している。筆者はそれをスマホで撮影し「#今週の虎投マッチアップ」と添えてつぶやいた。

 

■藤浪、森木、西純、才木…みんな、この“並び”を待っていた!

 火曜日はエースの青柳晃洋、水曜日は2年目の伊藤将司……ここまでは安定感抜群の“鉄板”のローテ順。誰もが目を輝かせたのは、ここからだ。藤浪、森木、西純、才木。後半の4試合の先発予想は、高卒入団で将来を期待されてきた面々がラインナップされた。「4試合連続で高卒組の先発は熱い」「何このローテ ほんまに夢しかない」。虎党の称賛と喜びはしばらく止まらなかった。「いいね」はあっという間に1000に迫り、各々が引用リツイートで“夢の実現”を言葉に表していた。こんなローテを組みたかった――。「次代のエース」とファンが夢と希望を乗せてきた4人が、ついに一軍のローテーションに集結し並び立った。

 なんといっても藤浪晋太郎の“復権”が大きい。他の3人が放つ輝きもさることながら、もう若手とは呼べないプロ10年目、28歳になったこの男がいてこそ成り立つ“宝石ローテ”。1年目から10勝をマークし、そこから3年連続の2桁勝利を記録するなど、育成期間を経ずに表舞台に飛び出した背番号19はその反動を受けるように長い不振も味わった。今季もコロナ感染、中継ぎへの配置転換と紆余曲折あって1勝が遠かったが、8月上旬に先発として再昇格。8月20日のジィアンツ戦で433日ぶりとなる白星を手にした。「勝ちが付いて良かった。先発で勝つのが自分の中で一番いいし、心地いい。その瞬間が本当に久々だったので。いい一日、いい試合だったと思う」。1勝の重み、それを手にするまでの長い道のり……敵地のヒーローインタビューで口にした言葉には実感がこもっていた。「明日は才木が投げるんですけれども、しっかり投げてくれると思うので皆さん期待していてください」。その問答の最後、明日への期待を問われ、名前を出してバトンを渡したのが6年目の才木浩人だった。

 今季、藤浪とは全く別の道のりを歩み、才木は一軍マウンドで勝つことの意味を噛みしめていた。右肘痛に悩まされ、2020年11月にトミージョン手術を決断。長いリハビリを乗り越えて、カムバックを果たした。7月3日のドラゴンズ戦で1159日ぶりに勝利投手となると、試合後のインタビューでは号泣。「なかなか良くならない肘とずっと過ごしていたので、今痛みもなく思い切って楽しんで野球ができるというのがすごくありがたい。またこうやって一軍に上がって勝てたっていうのは、すごく自分にとっても嬉しい。(リハビリで)お世話になった人たちにとってもすごく、肩の力抜いてというか、そういう感じになってくれたらすごくいい」と振り返った。勝つことの難しさを痛感したのが藤浪なら、才木は勝つことの尊さを実感していた。

■高卒1年目で堂々デビュー 森木大智がいるという“幸福感”

 たくましさを見せつけたのは、高卒3年目の西純矢。今季の初昇格は5月1日のジャイアンツ戦だった。150キロ超えの直球に、上から振り下ろすフォームから繰り出され急降下するフォークで7回1失点8奪三振。鮮烈な投球で「進化」をアピールしたが、「真価」を発揮したのはその後だった。6月に2試合連続で結果を残せず、二軍降格。ここまでは何度も見てきた若手が通る道だ。肝心なのはその後。長引く不振、フォームを崩すなど、そのまま二軍でシーズンを終えてしまうパターンを何度も目にしてきたが、背番号15は違った。酷暑の夏場に二軍で2試合連続完投をマークすると、8月中旬に再昇格し2連勝。上昇曲線を2度描いてローテーションの1枠を勝ち取った。

 そんな西純が「本当に堂々と投げていましたし、僕の初登板の時みたいな“青ざめた”感じじゃなかったので(笑)。すごいなと思った」と目を丸くしたのが、物怖じせずデビュー戦を終えた高卒1年目の森木大智。中学時代から「怪物」と称された早熟の豪腕は、一軍初登板となった8月28日のドラゴンズ戦で6回3失点と力投。援護なくプロ初黒星を喫したが、落ち着いたマウンドさばきや直球で真っ向勝負を挑む姿が評価を高めた価値ある“1敗”だった。本人は「(無失点だった)5回までは褒めていい。65点」と何ともリアルで頼もしい自己採点。才木や西純だけでなく“まだ森木もいる”は見る者にこの上ない安心感と幸福感を与える。

 手術明けの才木は中10日以上と登板間隔を空けて起用されており、2週間に1度の一軍登板。ベテランの西勇輝が登録抹消されたことも重なり、一時的ながらこの1週間は全6投手が生え抜きの20代以下という、きらめくローテーションが完成した。今季エースへと登り詰めた青柳も7年目で、ベテランのような落ち着きを見せる伊藤将もまだ2年目。多くのファンが諦めきれなかった藤浪の復活だけでなく、彼に続く高卒の本格派右腕たちがそれぞれの道をたどって能力を開花させつつある今。“虎投”の未来はまぶしいほどに明るい。

【虎番13年“チャリコ遠藤”のタイガース豆知識】

 

 2020年11月にトミージョン手術を受け、今季復活を果たした才木投手。実は3歳上の兄・智史さんもトミージョン手術経験者。上武大の野球部出身でタイガースの島田とは同学年でプレー。才木は「兄弟トミージョンはびっくりしました」と苦笑い。

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(チャリコ遠藤)

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