ソフトバンク育成4位ルーキー・三浦瑞樹 高校時代から3周り大きくなった23歳に魅せられる理由

ソフトバンク育成4位ルーキー・三浦瑞樹 高校時代から3周り大きくなった23歳に魅せられる理由

三浦瑞樹 ©田尻耕太郎

 2021年10月11日、ドラフト会議。福岡ソフトバンクホークス育成4巡目、その名は呼ばれた。三浦瑞樹・投手・東北福祉大学。しかし、正直に言うと私は最初気付かなかった。あの日から5年間、忘れられない唯一無二の高校球児としてこの心の中に君臨しつづけていたのに。三浦瑞樹投手? 同姓同名の別人? え? ご本人? なぜならあの夏より、体が3周りくらい大きくなっていた(河野調べ)からだ。

■一目惚れした、あの夏

 2016年、夏の甲子園。盛岡大附属高校2年生ピッチャーとして初登場。まだ華奢なシルエット。ピンチで登板しては抑え、流れを持ってきて、味方の得点を呼び込む。私はテレビに釘付けに。そのゲームメイクに一目惚れしたんだ。結果、その大会ではリリーフ登板で2勝。先発登板でも難しい勝ち星を次々にもぎとった。敗退することとなった試合で、ベンチに下がり、こらえきれない涙をボロボロ流しながら声を出す姿だって、鮮明に覚えている。

 野球は人生の哲学書だ。私はそう思って生きてきた。三浦投手のピッチングはかく語りき。「どんな苦境でも、自分の持ち味を貫いてぶつかっていけば、必ずこちらにチャンスは来る。流れはこの手で作り出せる。年齢もネームバリューも関係ない。勝利に執着せよ」。勝手な解釈なのは承知だが、それは当時歌手活動を満足にできず迷子になりかけていた私にとって、かけがえのない道しるべになった。

 昨季引退された松坂大輔投手。多くの野球ファンが「伝説」と呼び特別な敬意と愛情をもって応援した。私にとっては、三浦投手が今、その椅子に座っている。

■自分の名前より「三浦瑞樹」でエゴ(?)サーチ

 三浦投手がソフトバンクホークスの一員としてNPBにいる。しかも、東北福祉大のエースとして経験を積み、さらに強くなって降臨。私はといえばその後歌手活動を再開しインディーズ活動を経て2019年に再メジャーデビュー。毎日は輝きを増した。こんな日が来るとは。

 念願のプロ野球選手となった三浦投手。とはいえ、育成契約からのスタート。開幕当初は三軍戦での登板が多く、試合映像を見つけ出すことに四苦八苦。ひとまずホークス公式SNSの発信をもれなくチェック。習慣であるエゴサーチも、今季は自分の名前より「三浦瑞樹」で検索をかける頻度の方が高い。タマスタ筑後で観戦されたファンの方が投稿されたレポートや写真を、一心不乱にいいねする日々。そんな中、限られたチャンスでしっかり結果を残した三浦投手は、二軍戦で先発ローテーションを回すように。情報を得やすくなりファン大歓喜。その軌跡を一ミリも見逃したくないのでホークスTVにも加入した。三浦投手の登板日、オフを申請して一日ガッツリ応援するDayにあてた日もあった。

■投手王国・東北福祉大とライバルたち

 三浦投手が、舞う。7月16日には三軍戦で9回1失点の完投勝利。8月2日にファームで公式戦初勝利をあげると、9月13日には6回1失点で4勝目をマーク! 嬉しいな嬉しいな! 3周りくらい進化したのは、体だけじゃない、ピッチングもだ!

 それもそのはず、東北福祉大といえば、投手王国だ。私が野球好きになった原体験のひとつ阪神のSHEを築かれた橋本健太郎投手や、メジャーリーガー・斎藤隆投手、ハマの大魔神・佐々木主浩投手らを輩出。あの夏のあと、大学でどんな鍛錬を積んできたの……?! それなのに、同世代では椋木蓮投手、大竹風雅投手、八木彬投手が支配下で指名される中で唯一の育成指名。とてつもない悔しさもあってのご活躍なんだろう。もっと先を見ているからこそ今こうしてファームの階段を駆け上がっているのだろう。そう想像するだけで推し度の針は振り切れる。

■おれは ゾーンに来た球を捉えたと思ったら いつのまにかアウトになっていた

 千賀滉大投手のお化けフォーク。杉山一樹投手の暴力的ストレート。少年漫画の特殊能力のごとき球種を持っているホークス投手陣。

 そんな中で、三浦投手をみていると私は『ジョジョの奇妙な冒険』のポルナレフの「あ…ありのまま 今 起こったことを話すぜ!」で始まるあの名ゼリフを思い出す。

 おれは ゾーンに来た球を捉えたと思ったら いつのまにかアウトになっていた。

 そんなバッターの苦悶が聞こえてきそうだ。

 あくまでも技術素人の意見だが、豪速球を投げ込むわけではない。変わった投球フォームをしているわけでもない。それなのに、慎重な配球で緩急をおりまぜて打者を翻弄。ゲームが動いた後こそ三者凡退に抑えて整理整頓。風を読み地に足がついたピッチング。サクサクとテンポよく打たせて取るピッチングは見ていて純粋に楽しい。守っている側としてもノッてきやすいんじゃないか。だから好守や援護を呼ぶのかな。これって相当なハートの強さと投球術がないとできないのではないか? チームにも大きなメリットをもたらすのでは?!と、まがりなりにも20年以上野球を愛でてきた歌手は興奮するのであった。

■あなたが本気だから、ファンも貪欲になりました

 三浦投手がNPBにいるだけで嬉しい。それがドラフト直後いちファンである私の気持ちだった。だけど、ここまでの投球を見れば見るほど、もっと上を目指す三浦投手を応援しよう!と思った。まずは一日でも早く、支配下登録のニュースが来ますように。ホークス公式SNSの新着投稿通知をオンにして、私は待つ。

 そして自分の人生を重ねるのも恐縮だが、私も三浦投手からいただいた哲学を胸に、歌手として勝利に執着して挑んでいこうと腹をくくる。

 三浦瑞樹投手、あなたは私にとって永遠に特別な球児です。夢をありがとうございます。これからも。

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2022」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト https://bunshun.jp/articles/57195 でHITボタンを押してください。

(河野 万里奈)

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?