「4人ともクセ強いから大変。天狗になったことも…」それでもGLAYが“解散しない真相”〈ファンクラブ創立25周年〉

「4人ともクセ強いから大変。天狗になったことも…」それでもGLAYが“解散しない真相”〈ファンクラブ創立25周年〉

TERU ©岡田裕介

 息苦しくなるようなこの世の中だからこそ、生活の利便性に直結しなくても、ひたすら心を潤してくれるエンターテインメントを求める。大好きなアーティストの音楽はその最たるものだろう。

「『明日はきっとよくなるはず』、GLAYの音楽に触れるなら、そうやさしい気持ちになってほしい」

 これは9月21日にリリースした60thシングル「Only One,Only You」の収録曲、「クロムノワール」についてのインタビューで、リーダーのTAKUROが語った言葉だ。

 そして彼らの音楽はまさに、うだるようなこの夏、やさしい風を吹かせていた。すでに秋空が広がってはいるが、届いた新曲をタイムマシンにし、ほんの少しGLAYの「2022年の夏音」を振り返ってみたい。

■大阪城に響いたGLAYの「夏音」

 いざ時計を巻き戻し、7月13日に遡ってみる。この日、多くの人が待ちわびた彼らのサウンドが、猛暑の大阪城ホールに響いた。時にはビリビリ、時にはセンチメンタルに!

 開催されたのは、GLAYのライブ「We♡Happy Swing~ Vol.3 Presented by HAPPY SWING 25th Anniv.』。本来なら昨年の夏行われるはずだったが、コロナの影響で1年延期になっていた公演だ。そして記念すべきGLAY1000回目のライブでもあった。

 大阪城公園は太陽がカンカンに照りつけていたが、早くからファングッズのタオルやTシャツを着たファンたちが集まっていた。通り過ぎる人のバッグの多くに、TERU考案のキャラクター、ズラーのチャームがポフポフと愛嬌たっぷりに弾んでいる。クーッ、このユルい顔、なんとも穏やかな気分になる。これぞライブ! 開演前の景色も醍醐味の一つだ。

 2階席からアリーナを見ていたら、杖をついたシニアの方がスタッフに誘導されていくのが見えた。1人参戦のようで驚いたが、GLAYのライブではご年配の方も多いという。

 なんたってファンクラブ創立から25周年。20歳で入った人は45歳、50歳で入った人は75歳。私は長く活動しているバンドを見ると、つい毎回この計算をし、感動してしまう。喜びを共有する愛しい時間の長さ、なんとすごいのか!

■トレンド入りした「#GLAYの美しい日本語選手権」

 いざ開幕、ライトが舞台と客席を照らし出したとたん、ホール全体がGLAYチョップでうねる! ファンたちが風になったり、波になったり、花として咲いたりするように、サウンドとリンクして躍動していた。

 JIROが「かなりレアな選曲」と言う通りアルバム曲が多かったが、だからこそ、改めてGLAYの歌には季節があると感じたセットリストであった。GLAYは冬のイメージがあったが、いやいや夏もいい!

 激しいサウンドでも、どこかから風鈴の音も同時に聴こえてくるような、なんとも不思議な懐かしさと郷愁が。「summer FM」「風にひとり」「月の夜に」など、夜の月明かりが見えたり、大地にそよぐ草がふっと浮かんだりする。ライブの数日後、「#GLAYの美しい日本語選手権」がトレンド入りしていたが、まさにカギはそこだろう。季節の移ろいや匂い、揺れる感情を、曖昧で繊細な部分も大切に大切に風景化しているイメージだ。日本だからこそ描ける「中間色の彩り」が心に響くロック。

■「どんだけ練習してもTERUみたいな声は出ない」

 9曲目に突然、あの心を揺さぶるイントロが。「HOWEVER」である!

 そういえばこの曲も「都忘れ」とともに、「夏音」がエモーショナルな歌。しかし首をひねらずにはいられない。TERUの喉はどうなっているのか。ずっと連続で歌いっぱなし、しかも何度も「オーサキャーゥーッ(大阪)!!」と脳天から出るような金切声で叫んでいるのに、使うほどツヤが出てくる漆の器の如し。

〈言葉では伝える事が どうしてもできなかった 優しさの意味を知る〉(作詞・作曲 TAKURO)

 この日の「HOWEVER」は、彼の喉に何か特別なシステムがセッティングされたのかと思うほど、どこまでも伸び、感情に溢れていた。

 あのロックのカリスマ、氷室京介をして「モノマネで似てる人が1人もいないし唯一無二の声だよな。どんだけ練習してもTERUみたいな声は出ない」と言わしめた声の威力。同時に何かのコメント欄で見た「なんか聞いてると安心する声」という表現もしっくりくる。いろいろと超越しているのだが、それでも近くに感じて安心する素朴さが本当に不思議だ。

■ドラム志望だったTERUにTAKUROが…

 TERUはもともとドラム志望だったそうではないか。TAKUROが歌を聞いてボーカルをすすめたというが、そりゃそうだろう……! TAKUROがすすめなければ彼はドラムでバリバリ活躍したのだろうか。その世界線も見てみたいが、多分J-POPの歴史は変わっているだろう。

 ライブの2時間半はまさにピーク果てしなく、ソウル限りない勢いで、あっという間に過ぎた。

「もうあんな人気者なのに、ずっと努力してるんだろうな。コロナ前に参戦したライブよりすごかった」

 共に参戦した筋金入りのGLAYERの感想だ。シンプルだけど本当にその通り、コロナ禍という試練に、彼らがどう向き合ってきたかが分かる圧巻のライブだった。

 初披露された曲も何曲かあり、印象的だったのが「WE♡HAPPY SWING」。これは、敢えて「合いの手」を入れられる構成となっている。「この歌で思いきりコールレスポンスができる日が来るように」という願いが込められているそうだ。

 声が出せない今は代わりにクラップし、心で歌おう――。あえて制限がなくなる未来への「お楽しみ」を作ってくるのが本当に彼ららしい。

 コロナ禍で黄色い声援を送れなくなって約3年。掛け声無し、マスクで顔も見えない観客席。ライブの一番の醍醐味である「一体感」を味わうのが本当に難しい。しかし、だからこそ様々なアーティストが、気持ちをつなぐため新たな曲を生みだしている。「WE♡HAPPY SWING」然り、この時代、模索から生まれた試みや曲たちは、「心のコール&レスポンス」の証のようなものである。

 2023年3月より、7年ぶりとなる「HIGHCOMMUNICATIONS TOUR」の開催が決定したGLAY。そのときには少しでも「お楽しみ」が実現できる状態になっていれば、と願わずにいられない。

 そしてもう一つ初披露された曲が「クロムノワール」。すでにWBS ワールドビジネスサテライトのエンディングテーマとして使用されている。

 冒頭に書いたTAKUROの言葉は、2022年8月16日に放送されたWBSのインタビューのものだ。彼はこんなことも言っている。

「音楽で戦車は止められないし、権力者の考えを変えることはできない。でも100年後、200年後にメッセージとして残るかもしれない。ひとりひとり賛同者が増えて(つらいことを)減らすことはできるかもしれない」

 噛みしめるように語る彼が印象的だった。実は2021年に発信された現代ビジネスのインタビューにも、TAKUROのこんな言葉が載っている。

「僕らとファンがコンサートで豊かな時間を分かち合えるのは、もう少し先になると思うので、今はみんなの生活の片隅に溶け込んで、ブランケットのような優しさと柔らかさを感じてもらえるような音楽になってくれたら嬉しい。今望むのはそれだけです」

 小さなやさしさと希望を運べたら――。

 破壊ではなく「大切なものを守る」ことを強く感じるロックバンド、GLAYのメッセージは揺るぎない。

■「GLAYは4人ともクセ強いから大変ですよ」

 すべてを4人で話し合い、4人で決め、「解散しないバンド」と自ら宣言する。「解散しない」はなかなかの覚悟がいる言葉だが、GLAYなら「マジで全然大丈夫そう」とシレッと納得できてしまう。

 今回のライブでも「あなたはどっち派」企画で、HISASHIが「GLAYのメンバーになるのと、GLAYのライブにずっと来ることができる、どっちがいい?」という質問をしたあと、念を押すように笑顔でこう言っていた。

「(メンバーになったら)GLAYは4人ともクセ強いですから大変ですよ」

 クセの強い4人がお互い会えたことに感謝する。そうして交差させる夢は、確かに途切れることがなさそうである。

 WBSのインタビュー後、大江麻理子キャスターがこんなこぼれ話を語っていた。

「天狗になったことはないんですか、と質問したら、『いや、よくある』と。でもそのたびに、メンバー同士『あの時の、あの態度はなかったよ』とワイワイ言い合うんですって。そういう耳の痛いことも言い合えるそういう存在が近くにいること、そしてそれを素直に聞けることが、ずっとこの方々を輝かせているのかも」。

 ああ、本当にそうだ。輪になって怒ったり褒めたり笑ったりして、話し合い奏で合う姿がありありと想像できる、それがGLAY!

 彼らの音楽が持つ、これからもきっとずっと生活の横にあり、寄り添ってくれる安心感。

 まさに「やわらかな風が吹く場所」がここにある。

(田中 稲)

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