逸ノ城、“おかみさん殴打”で破門の危機…親方との師弟関係が悪化した“決定的な出来事”
2022年11月21日 21時15分文春オンライン

逸ノ城
今夏の名古屋場所で初賜杯を抱いた逸ノ城(29)。優勝インタビューでは、はにかみながらこう答えた。
「(この喜びを)親方をはじめおかみさん、いつも支えてくれている皆さんに報告したいです」
だがこの時、湊親方(元幕内・湊富士)との師弟関係は崩壊していた。
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■悲願の初優勝の裏で何が起きていたのか
湊部屋の後援会関係者が明かす。
「実は、今年2月頃から逸ノ城は親方やおかみとほとんど口を利かなくなってしまったんです……」
モンゴル遊牧民出身の逸ノ城は2010年、鳥取城北高校に相撲留学。14年初場所で初土俵を踏んだ。
「入門時から身長192センチ、200キロ近い体重と恵まれた身体で、デビューから所要5場所の新三役昇進は昭和以降の最速記録。同期の照ノ富士と共に、次世代の横綱候補として期待を集めました」(相撲担当記者)
だがその後は腰の怪我などに苦しみ、三役と平幕を行き来してきた。悲願の初優勝の裏で、いったい何が起きていたのか。
■酒癖が悪く、泥酔した逸ノ城がおかみを殴打することも
発端は1年前に遡る。前出の後援会関係者の話。
「湊部屋に住んでいた逸ノ城が門限を破り、夜に抜け出して飲み歩いていたことが発覚したんです。同胞の友人らとモンゴルパブに繰り出していたようでした」
親方から叱られた逸ノ城は、1人暮らしができないストレスを訴えた。湊親方が逸ノ城を部屋住みにとどめておいたのは、その酒癖の悪さを懸念したからだ。
「酒乱なんです。部屋のある地元の川口市では、おかみが一緒に外へ飲みに行って逸ノ城に息抜きをさせていたんですが、酔っ払うと客や店員に絡むこともしばしば。おかみが泥酔した逸ノ城に殴打されたり、突き飛ばされたりして、痣を作っていることも珍しくありませんでした」(同前)
モンゴルの先輩である朝青龍、日馬富士らが酒席で暴力沙汰を起こし、土俵を去った苦い教訓もある。
「普段は生真面目で、部屋の若い衆に手を出すこともないんです。ただ、近年はコロナ禍で行動制限が厳しく、失恋が重なったこともあって、鬱憤を溜め込んでいたようでした」(同前)
■師弟関係が悪化した決定的な出来事
話し合いの末、禁酒を誓った逸ノ城は、昨年12月末から1人暮らしを許可された。ところが――。
今年2月、逸ノ城は泥酔して稽古をサボってしまう。再び親方に叱責された逸ノ城はタニマチを頼ってとんでもない行動に出る。親方にこう宣言したのだ。
「弁護士を立てました。これから親方とは弁護士を通さないと話をしません」
絶対的な師弟関係によって成り立つ角界では、前代未聞の出来事。だが、逸ノ城は周囲の説得にも耳を貸そうとしない。湊親方は今年3月、これまでの経緯を相撲協会に報告したという。
「帰化した逸ノ城を後継者に考えていた親方は、親方株の手配に動いたが、逸ノ城はそれもいらないと言い出した」(前出・関係者)
以降も師弟関係は改善せず、初優勝を挟んで8月末、決定的な出来事が。逸ノ城が飲み潰れて、相撲協会の公式YouTube番組の収録をドタキャンしたのだ。
「湊親方は協会に『しばらく部屋に住まわせます』と頭を下げたのですが、逸ノ城はすぐマンションに帰ってしまった。さすがに湊親方も『全く言うことを聞かない。限界です』と協会に伝えたそうです」(同前)
■湊部屋を訪ね、おかみに聞いてみると…
やがて湊部屋の異常事態は角界内に漏れ始めた。協会関係者が耳打ちする。
「本来なら、逸ノ城はいつ破門になってもおかしくない。現在、協会が湊親方と逸ノ城の双方から事情聴取を続けているが、スキャンダル化を恐れる協会は、親方に全責任を押し付けようとしているフシがある」
湊部屋を訪ねると、おかみが困惑気味に言う。
「何もお答えできませんので、相撲協会の広報部を通していただけますか」
相撲協会に事実確認を求めたが、期日までに回答はなかった。
師弟揃って土俵際――。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年11月17日号)
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