「てめえ、この野郎」「警察呼べ! 警察!」新聞社のカメラマンが負傷した千代大海と露鵬の“場外大乱闘”《睨み合う緊迫の土俵入り写真》

「てめえ、この野郎」「警察呼べ! 警察!」新聞社のカメラマンが負傷した千代大海と露鵬の“場外大乱闘”《睨み合う緊迫の土俵入り写真》

1995年、両国国技館での千代大海 ©時事通信社

《野球賭博で角界追放》「話が明るみに出ましたわ。もう、終わりました」貴闘力が告白する“人生が終わった瞬間”と琴光喜への懺悔 から続く

 八百長、賭博、かわいがり、裏社会とのつながり……。元関脇・貴闘力が角界のタブーに切り込んだ書籍『 大相撲土俵裏―八百長、野球賭博、裏社会…相撲界の闇をぶっちゃける 』(彩図社)が発売より好評を博している。

 15歳で元大関・貴ノ花の藤島部屋に入門し関脇まで上り詰めるも、2002年9月場所で現役を引退。自身も現役時代に賭博に手を染めた経験がある貴闘力が10年の沈黙を破って明かした相撲界の悪しき風習。その告発の一部を抜粋し、転載する(転載にあたり一部編集しています。年齢・肩書等は取材当時のまま)。

(全6回の5回目)

◆◆◆

■千代大海の裏カジノ疑惑

 朝青龍の元マネージャーに吉田さんという方がいる。吉田さんは千代大海が三役に上がる前から繋がりがあり大関になるまで約10年間運転手を務めたこともある。千代大海と風俗店の前でFRIDAYに写真を撮られたこともあるのも彼だ。

 その吉田さんから、千代大海とカジノについての話を聞いたことがある。

 ある年の名古屋場所でのこと、某週刊誌に「千代大海は博打好きが高じて裏カジノに出入りしていたんじゃないか?」という記事が出たことがあった。また、その記事をリークしたのは吉田さんじゃないかという噂も出た。

 実際のところその出版社とは何の縁もなかったということだが、内容はほぼリアルだったという。例えば、場所中にカジノに行って博打をしていたことなどはそうだと。

■幕内力士や相撲関係者も裏カジノに行っていた

 吉田さんも当時、「ここまで送って」と言われ車で送ることは多々あったそうだ。千代大海を降ろして周りを見渡すと、「この店はなんだ?」とクエスチョンマークがつくような店舗があったという。

 そこの店舗に入ったかどうかまでは定かではないが、疑われても仕方ない行動を取っていたことは確かである。もし、この事実が明るみに出ていたら、千代大海は追及を受けてクビは避けられなかっただろう。

 決定的だったのが、ある日突然、吉田さんではない別の人物と出かけるようになったことである。それが裏カジノを経営していた人物だったのだ。「疑わしい店には行かないように」と注意する吉田さんがわずらわしくなったのか、千代大海はその人物と出かけるようになった。

 直接その場面を見てはいないが、恐らく千代大海がその人と出かけるときの行き先は裏カジノだったのだろう。

 賭博罪の時効は3年なので、これが事実だったとしても千代大海に罪を問うことはできない。また、当時は千代大海だけでなく幕内力士やそれ以外の相撲関係者でも裏カジノに行っていたと聞いている。一昔前の相撲界は秩序が乱れていたことが分かる話である。

■千代大海と露鵬の大乱闘騒ぎ「カメラマンが負傷」

 振り返っていると、名古屋場所で力士の不祥事が起きることが多い。

 開催が7月と暑いのでイライラするという理由もあるかもしれないが、名古屋場所の会場であるドルフィンズアリーナの構造にも一因があるように思う。控室は東西に分かれているが、風呂は隣りあっている。そのため、対戦した力士同士が顔を合わせてしまい騒動が起きやすかったのではないか。

 千代大海と露鵬(ろほう)が場外乱闘騒ぎを起こしたのも、名古屋場所での出来事だった。

 親方になった私が大鵬部屋を継承して大嶽部屋となったのが2004年の1月で、その年の初場所で十両に昇進したのがロシア出身の力士、露鵬であった。

 2006年名古屋場所7日目、露鵬ー千代大海の取組があった。勝負の後、土俵下で露鵬と千代大海が口論になりカメラマンが負傷した事件だ。昔からの相撲ファンは覚えている方も多いだろう。

■理事長室で露鵬と殴り合いの喧嘩に発展

 両者の取組は、露鵬が土俵から出ていたところを千代大海がダメを押した形だった。それで揉めていたのか明確には私も分からないが、露鵬は頭に血が上ると訳が分からなくなるタイプだ。

 取組が終わって支度部屋に行くと、露鵬が「てめえ、この野郎」と千代大海に殴りかかろうとした。千代大海も「警察呼べ! 警察!」と大騒ぎ。みんなで止めたのだが、その時にちょうど毎日新聞のカメラマンがおり、騒動を撮ろうとしていたところを露鵬が手で払って飛んだ。そのときカメラのファインダーで目の上を切ってしまったことで大問題に発展したのである。

 露鵬は協会の理事長室に呼ばれ、私も親方として出向いた。ここで親方の私が露鵬を叱っておかないと露鵬の立場が悪くなると思ったので、「お前そんなことしたのか」と殴ったところ、ヒートアップしてしまい露鵬と理事長室で殴り合いの喧嘩になった。私が3発ほど殴ったところでみんなが制止したのだが、今度は逆に露鵬が「親方はいつも……」とタックルをしてきたのである。そこからまた殴り合いに発展。「もう止めておけ!」という北の湖理事長の一言で場は収まり、露鵬は3日間の出場停止処分で済んだ。

 露鵬はロシア出身で、その土地ごとの国民性がある。しかし、土俵の上で、また土俵を降りてからどのような振る舞いがふさわしいのかは大相撲にいる以上身に着けなければならないことだ。弟子を入れる時に教育も含めて全部面倒を見ていかないと後々大変な問題になってしまう。改めてそう実感した事件だった。

■「お前の教育が悪いんだよ! 分かってんのか」

 その後、毎日新聞のカメラマンの実家に謝罪に訪れ、カメラマンのお母さんに土下座して謝った。お母さんは「あんたね、ウチの大事な大黒柱が怪我して仕事できなかったらどうすんの?」と激怒。お叱りもごもっとも、重ねて「すみません」と謝り、事を済ませてもらった。

 しかし、その前に腹立たしいことがあった。

 当時まだ部屋持ちの親方になっていなかった安芸乃島(あきのしま)さんが私の所に来て胸倉を掴み、「お前の教育が悪いんだよ! 分かってんのか」と怒鳴りつけてきたのである。私の教育が悪かったのは事実であり、反論するつもりもない。

 しかし、次の日には巡業部で安芸乃島さんが「貴闘力のやつシメてやったよ」と意気揚々とみんなに言いふらしているのだ。私は親方衆からそのことを聞いた。真摯に注意をされるのならまだしも、まるで見せしめのように怒鳴りつけられたことには納得がいかない。

■弟子の前で怒るのはやめてほしいと頼んだら…

 安芸乃島さんはその後9代高田川(たかだがわ)親方を襲名し、親方として弟子の指導をしている。2021年に新型コロナウイルスに対するガイドライン違反と女性問題の件で世間を騒がせた竜電(りゅうでん)は安芸乃島さんの部屋の所属力士だ。同じように「お前の教育が悪いんだよ!」と言ってやりたい気分だ。

 仮に安芸乃島さんが竜電の件で理事長室に呼ばれても、八角や尾車に叱責されることはないだろう。なぜならそこに揃う面子はすべて反貴乃花一派だからである。最終的な処分は、竜電は3場所出場停止、安芸乃島は6ヶ月間20%の報酬減額処分となった。

 昔から安芸乃島に関してはこういうことが多々あった。私の弟子も同席していた焼肉屋で「お前の態度が悪い」と怒られたことがあり、怒られるのはいいが「自分の弟子がいる前ではやめてくれ」と頼んだ。「安芸乃島も親方になったら分かるから」と言ったが、茶碗を投げて来たり、ひどいときには殴ったりすることもあった。暴力はなんであれ良くないが、自分の力を見せたいだけのような振る舞いには辟易とする。

 露鵬と千代大海の場外乱闘のことも含めて、こういった点も相撲界で変えていかなければならない点である。

「親方が特別扱いしなければ貴乃花はもっと…」“貴の乱”で親方勢に“ガチンコ勝負”で負けてしまったワケ《貴闘力がみた若貴兄弟の性格の違い》 へ続く

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

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