〈センバツ出場決定〉「死ねまで言われたら野球じゃない」選手の悲痛なSOS 東海大菅生が隠す若林弘泰監督(56)の“暴言録”

〈センバツ出場決定〉「死ねまで言われたら野球じゃない」選手の悲痛なSOS 東海大菅生が隠す若林弘泰監督(56)の“暴言録”

東海大菅生 前監督の暴言録

〈センバツ出場決定〉「死ねまで言われたら野球じゃない」選手の悲痛なSOS 東海大菅生が隠す若林弘泰監督(56)の“暴言録”

『叱って伸ばす』若林氏

 1月27日、毎日新聞大阪本社で3月18日に開幕する選抜高校野球大会の出場校を決める選考委員会が行われ、若林弘泰前監督(56)の暴力問題に揺れる東海大菅生高校の出場が決定した。同校はこれに先立つ26日、謹慎中だった若林氏と宮原上総部長の解任を発表。同時に、後任の監督にはコーチを務めていた上田崇氏、部長には田中聡氏が就任したことを明らかにしていた。

    若林前監督の問題は暴力だけではなかった。部員に対し、幾度となく暴言も浴びせかけていた。暴力問題をスクープした「 週刊文春 」の記事を公開する(初出:週刊文春 2023年2月2日号)。

◆◆◆

〈ノックの最中の凡ミスを許さない。同じようなボーンヘッドを繰り返す選手には容赦なく怒鳴りつける〉

 これは東海大菅生高校野球部監督の若林弘泰氏(56)の著書『叱って伸ばす』(竹書房)の一節だ。だが、実際には「怒鳴りつける」レベルの指導ではなかった。

「東海大出身の若林氏は1992年に中日入団。97年に引退して2009年、東海大菅生の監督に就任した。春のセンバツへの切符も手にしている。選手時代は時に手が出る指導で有名な、原貢氏、星野仙一氏の薫陶を受けていました」(スポーツ紙デスク)

 小誌は 1月19日発売号 で彼が、1年生のA選手に対しノックバットのグリップで殴るなどの体罰を行い、退学に追い込んでいたと報じた。すると20日、日本学生野球協会は緊急審査室会議を開き、若林氏に4カ月、部長には1カ月の謹慎処分を下したのだった。

 だが審査室の会見で示された、学校の報告を元に発表された事件概要は、事態を矮小化したものだった。

 まずは体罰の中身。若林氏は8月31日の練習試合でA選手の尻を蹴って叱責。他の部員2人に対しても平手打ちを加えていたとしたが……。野球部関係者が呆れる。

「A選手が尻を蹴られたのは8月16日の試合です。また暴行は1、2回ではなく日常的に行われていた」

■A選手との面会の席で監督は…

 A選手の父が憤る。

「昨年9月、息子から殴られたり蹴られたり頭を壁にぶつけられたと聞きました」

 A選手は父に「死ねまで言われたら野球じゃない」「指導者に会いたく無い」等とLINEでSOSを送っている。さらに――。

「11月に息子と一緒に監督と面会した時に、『お前は体罰に耐えられると思った』と言い放ったのです」(同前)

 もう一つ見過ごせないのは、部員側から「荒立てないで欲しい」との意向があったため、高野連へ報告しなかったという点だ。

「監督との話し合いの中で、『大げさにする気はない』と言ったが、学校側が高野連に事態を報告しなかったのは、隠蔽を図りたかったのでしょう。他の部員たちに正直に伝えて欲しいと言ったが、それも12月までなされなかった」(同前)

 東海大菅生高校に報告していない事案があったこと等を訊ねると概ねこう回答。

「調べた事案は高野連に報告した。日本学生野球協会の会見内容は把握していない。(他の部員に伝えるのが遅れたのは)個人情報保護の観点を重視したこと、大会期間中だったことによる」

 著書で〈結果を出すためには何をしてもいい(中略)という考え方は間違っている〉と記していた若林氏。今一度、自らの書を読み返してみるべきだろう。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年2月2日号)

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