天涯孤独な少年が荒野の果てに見たものとは? 「荒野にて」を採点!

天涯孤独な少年が荒野の果てに見たものとは? 「荒野にて」を採点!

© The Bureau Film Company Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2017

■〈あらすじ〉

チャーリー(チャーリー・プラマー)は赤ん坊の頃に母親が家を出て行ってから、教養も経済力もないが愛情深い父親(トラヴィス・フィメル)と2人で暮らしている。15歳になり、父親の仕事の都合で、誰も知り合いのいないポートランドに越してきたチャーリーは、家計を助けるために、近所の厩舎のオーナー(スティーヴ・ブシェミ)を手伝い始める。父親が突然亡くなり、天涯孤独となったチャーリーに追い打ちをかけるように、愛情を注いで世話をしていた老競走馬ピートの殺処分が決まってしまう。チャーリーはピートを連れ出し、疎遠になっていたマージー伯母さんが暮らしていたワイオミングを目指す。

■〈解説〉

脚本・監督は『さざなみ』のアンドリュー・ヘイ。孤独な少年と老馬の旅を描くヒューマン・ドラマ。主演のプラマーは第74回ヴェネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)を受賞した。122分。

中野翠(コラムニスト)

★★★★☆キャスティングがよく、ディープなアメリカで懸命に生きる少年や周辺人物の描写が興味深い。終盤、展開がやや雑に。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★★☆世界の酷烈を描くというよりも、少年の「寄る辺なさ」を直視して感傷に流れない映画。荒野に佇む馬運車が眼に沁みる。

斎藤綾子(作家)

★★★★☆稼げない競走馬は処分、その展開は人間社会を映し出すよう。身寄りのないチャーリーの懸命さに光がさす結末には涙。

森直人(映画評論家)

★★★★☆僕には誰もいない、との孤独の痛覚。広漠とした旅先の土地がワイルドサイドを歩く少年の心象風景に見える。馬も強烈。

洞口依子(女優)

★★★★☆荒野をゆくチャーリー・プラマーと馬の旅という描写が米国の気骨・スタインベックを匂わせ心地よく涙。ブシェミ渋い。

INFORMATION

「荒野にて」(英)
4月12日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次ロードショー
監督:アンドリュー・ヘイ
出演:チャーリー・プラマー、スティーヴ・ブシェミ、クロエ・セヴィニー、トラヴィス・フィメル ほか
https://gaga.ne.jp/kouya/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年4月18日号)

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