ヒトラーはなぜ美術品略奪に執着したのか――「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」を採点!

ヒトラーはなぜ美術品略奪に執着したのか――「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」を採点!

©2018 - 3D Produzioni and Nexo Digital - All rights reserved

■〈解説〉

1933年から45年にかけて、ヒトラーが率いるナチス・ドイツがヨーロッパ各地で略奪した芸術品は60万点にものぼり、現在も10万点が行方不明だという。青年時代に画家志望だったヒトラーが美術品の略奪と破壊に執着した理由や、彼に奪われた美術品が辿った運命を、歴史家や美術研究家、美術品の正統な相続人、現在も続く奪還運動に携わる関係者の証言をもとに探るドキュメンタリー。ヒトラーとゲーリングの美術収集におけるライバル関係や、画商や贋作家の暗躍など、政治と芸術と富をめぐる知られざる歴史が明らかになる。案内人を務めるのは、『修道士は沈黙する』に主演したイタリアの名優トニ・セルヴィッロ。監督は、新進ドキュメンタリー作家のクラウディオ・ポリ。97分。

中野翠(コラムニスト)

★★★☆☆エッ!と初めて知る話がいくつかあり。欲を言うと、全体主義が必ず陥る美意識に関してもっと突っこんで欲しかった。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★☆☆尊厳や崇高や威信を声高に唱える者を信じるな、という訴えは一貫して明快。資料映像の編集にもうひとつ技が欲しい。

斎藤綾子(作家)

★★★☆☆略奪作品を正しいだの退廃だの分けて、戦後は全てを隠し続けた強欲者たち。字幕の量の多さに動体視力を試された。

森直人(映画評論家)

★★★☆☆政治と芸術、古典と前衛のねじれた関係を豊富な素材で描く。敷衍すれば今の自粛騒ぎにも繋がる? 教養番組的に推薦。

洞口依子(女優)

★★★★☆最後に突きつけられたタイトルの意味。個人的には会田誠氏の作品「まつり」をも想起。文明的ボリシェヴィキとは?

INFORMATION

「ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ」(伊、仏、独)
4月19日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国公開
監督:クラウディオ・ポリ
原案:ディディ・ニョッキ
字幕監修:中野京子(作家/『怖い絵シリーズ』)
出演:トニ・セルヴィッロ(『グレート・ビューティー/追憶のローマ』『修道士は沈黙する』)
http://hitlervspicasso-movie.com/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年4月18日号)

関連記事(外部サイト)