昔親バレ、今孫バレへ。AVに対する世間の劇的変化。水道橋博士×カンパニー松尾×しみけんによる業界ウラ話(1)

昔親バレ、今孫バレへ。AVに対する世間の劇的変化。水道橋博士×カンパニー松尾×しみけんによる業界ウラ話(1)

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 幅広い見識と行動力で他を圧倒する水道橋博士が毎回悶々とし、地下クイズ王としても名をはせるイケメン男優しみけんが活き活きとする「水道橋博士のムラっとびんびんテレビ」。今が旬のセクシー女優を迎え、大人知的エロトークで彼女たちの知られざる素顔を丸裸にする人気番組が書籍化された。その特別版として「劇場版テレクラキャノンボール」で一大旋風を巻き起こしたカンパニー松尾監督を迎え、盛り上がった鼎談を一部公開する。

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■博士も監督も怖れる“娘バレ”リスク

松尾 ちょっとサングラスをかけさせていただきます。

しみけん 何か理由があるんですか?

松尾 正当な理由がありますよ。娘が私の職業をいまだに知らないんですよ。バレていたらいいんですけどね。

博士 俺も娘は小4だし、「ムラっとびんびんテレビ」をやっているの知らないから。娘にバレたらこの番組をやめるって言っているの……書籍化されるなんて。娘に読まれたらどうするんだよ。娘は読書家で本をすごい読むんだよ。

しみけん ぼくも先日博士のトークショーを聞きまして、今まですごく申し訳なかったなと苛(さいな)まれました……ですから、次からはもっと娘さんの話を振っていこうと。

博士 おい!! だから……。今までどれだけさ、「娘さんはそろそろアレですよね」「娘さんは小4ですからもう角っこ好きですよね」とか振ってんだよ! 

松尾 ついついね。

博士 AV女優も初期のころは、訳あって業界に入ってきましたとか、何本か出演したらお金をもらってその後行方をくらまそうとか、そういうような人ばっかりだった。

松尾 確かにそうでしたね、AV女優として頑張りますって言葉は一切なかったですね。今は頑張りますの人たちばかりだけれど。昔は、頑張るとかありえない。

しみけん すごいいい言葉!

博士 昔は“親バレ”が一番リスクだったわけじゃない。親にバレたらやめるってのが。一番狂っているのは、親が娘がいるのに熟女AV女優をやっていて、“娘バレ”するからやめるっていう、それが今の時代。

しみけん “孫バレ”もありますからね。男優さんでしたけど。

松尾 男優さんで(笑)。

博士 そういう理由で今はやめるわけよ。昔は親バレしたからやめなきゃいけなかったのに、今はお母さんと親娘で一緒に撮影とか、仏壇の前でやるとか、あるじゃない?

しみけん ありますね。

松尾 そうそう。

博士 この本に出てくる8人もさ、自分から女性・男性体験だとかさ、オナニー体験だとかさ話してくれるけど、事務所の管理があって、みんなファンのためにやってると言うし、みんなファンが応援してくれるから頑張れるんですって言うよね。

松尾 そこが変貌なんです。要するに、昔は最低の仕事だったし、AVなんか出たらダメだというところでやってた。でも今の子たちは、ファンがいるからとか平気で言うようになった。

博士 AVに出る娘は、何か困窮していたわけですよ。

松尾 で、綺麗な人ほど、可愛い子ほど脱ぐ理由って本来ないじゃないですか。だから脱いだ時の落差が激しくて、その子が実際脱いだことが価値になる。AV観とはそういうものなんだけれど、彼女たちにはすごく理由があって、本人とのギャップが激しいんですよ。今の子たちっていうのは、AV女優でも例えば飯島愛さんとか穂花(ほのか)とか、メジャーな場所に出る人が現れたときに、表面的なところだけ見て、こんなに可愛い人もAVをやっているんだと、AV女優への抵抗感が薄くなってしまう。

■今のセクシー女優は承認欲求が満たされる

博士 女の子が憧れる職業の選択肢のひとつになっている。

松尾 彼女たちは相当な理由を抱えてAVをやっているし、AVをやったからってタレントになれるわけじゃない。本来すごい葛藤を抱えているのに、表面だけ見ているとそれがわからない。そこだけでAV女優が憧れの人みたいになってくる。なおかつ今はSNSがあるのが大きい。昔はサイン会やイベントがあれば人は集まるんだけれど、どこかで満足感は得られなかった。でも女優がSNSで発信してファンを集めてくると、それが自分たちの評価に繋がるんです。

博士 自分の承認欲求が満たされる。

松尾 そう満たされる。昔はAV女優なんてやってたら承認欲求は絶対に満たされなかった。売れたとしても白い目で見られるだけだし、タレントさんからは「どうせあいつはAV女優だ」ってずっと言われているわけだから。でも今は自分が作っている小さなコミュニティで満足感が得られる。実際にファンの人に会えば、ファンの人たちがSNSを使って見えるところで応援してくれるじゃないですか。彼女たちはそれを実感できるのが大きいんです。

博士 だから長続きしていく。それこそ秋葉原でサイン会をするから来てくださいと発信したら100人200人と集まって、そこに両親を呼んで、「私の晴れ姿を見て両親も喜んでいて」と言って、それどころか、その晴れ姿を見て、両親はもらい泣きする。あれって不思議だったなあ。

松尾 自分たちのコミュニティで変に浄化されちゃうんですよ。それこそ恵比寿★マスカッツのコンサートにはお母さんを呼べるけど、AVの現場に呼ぶわけにはいかないじゃないですか。裸の仕事をやっていても、こんな大きな舞台に立つ仕事だってあるんだよっていうふうに浄化されるようになっちゃった。昔はそんなことは絶対なかったし、AVやったらもう絶対だめだった。でもそれくらいの精神で覚悟を持ってやっている女優がいたから、彼女たちは面白かったし強かった。強いというか、ここでしか生きられない人たちだったんですよ。今の子たちはすごい出来がいいんだよね。

しみけん はい。

松尾 出来のいい男優と出来のいい女優で、普通にお客さんの喜ぶ商品はできる。しみけんの前で言うのもなんだけど、俺はそんなに面白くないんだよね。だからそういうのは他のメーカーにまかせて、ハマジム(松尾監督の所属するAVメーカー)はちょっと違うんです。女の子でも事情が違って、いろいろ抱えていたりする。昔から女の子ってよくしゃべるじゃないですか。特に脱ぐ女はしゃべるんです。なぜなら理由があるから。

博士 ほおお。「脱ぐ女はしゃべる」って法則があるんだ。

松尾 だからまったくしゃべらないというのは、隠したい理由があるからで、今の子たちは、すごいしゃべりたがっているんだけれど、現場でしゃべらせてもらえないのが普通のAV。要するにお前の話はいらねーよと。設定があってハードなことをやってくれとか、人妻になってやってくれとか。だから俺はしゃべりたがっている女の子たちを呼んで、面接して、この子は面白いなという子を撮ってますね。そういうのはAVでしか撮れないから。AVはセックスシーンが必ず入るじゃないですか、セックスシーンとおしゃべりのシーンで「理由」がちゃんと収録できるから。その子にも、もしかしたらAVのファンにも納得してもらってないかもしれないけど、そして何年か後にはその子にとって嫌なことになっちゃうかもしれないけど、今この時点でこの仕事をやっている「君」を残しておきたいなというのがありますね。

★(2)へつづく

水道橋博士(すいどうばしはかせ)
1962年岡山県生まれ。ビートたけしに憧れ上京するも、進学した明治大学を4日で中退。弟子入り後、浅草フランス座での地獄の住み込み生活を経て、87年に玉袋筋太郎と漫才コンビ・浅草キッドを結成。90年のテレビ朝日「ザ・テレビ演芸」で10週連続勝ち抜き、92年テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」で人気を博す。幅広い見識と行動力は芸能界にとどまらず、守備範囲はスポーツ界・政界・財界にまで及ぶ。著書に『はかせのはなし』『藝人春秋』他多数。

カンパニー松尾(かんぱにーまつお)
1965年愛知県生まれ。87年にAVメーカーのV&Rに童貞のまま入社。翌88年、監督としてデビュー。2003年に自ら「HMJM(ハマジム)」を立ち上げ、社員監督として活躍している。代表作はハメ撮りを駆使した『私を女優にして下さい』シリーズ。『劇場版テレクラキャノンボール』『劇場版BiSキャノンボール』が社会現象といえるほどの一大ブームになった。

しみけん
1979年千葉県生まれ。男優歴19年、経験人数9000人、年間500本の作品に出演する、日本のAV業界におけるトップ男優。ゲイ雑誌「Badi」でグラビアデビュー後、「ザ・ナンパミラクル」シリーズで一躍有名になる。地下クイズ王としても名を馳せる。著書に『SHIMIKEN's BEST SEX 最高のセックス集中講義』『AV男優しみけん 光り輝くクズでありたい』がある。

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