【巨人】因縁の地・仙台で「挑戦者」として再出発する由伸巨人

【巨人】因縁の地・仙台で「挑戦者」として再出発する由伸巨人

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■球史に残るあの激闘から早や4年……

 日本シリーズの負けは、悔しいというより寂しい。

 だって、明日からもうフ?ロ野球の試合がないから。応援するチームの敗北と同時に、半年以上続いたフ?ロ野球シーズンという祭りの終わりの寂しさも味わうハメになる。4年前の秋もそうだった。1、6、7戦と2週連続で楽天vs巨人の日本シリーズを観戦するために東京からKスタ宮城(現Koboパーク宮城)へ。

 バックネット裏席にもかかわらず、周囲を見渡せば9割は地元楽天ファンという中で冷たい雨に打たれながら、あの田中将大の球史に残るリリーフ登板を見たわけだ。ゲームセットの直後、星野監督の胴上げを見届けることもなく出口へ。マジかよ……。雨中の仙台を走る陽気なタクシー運転手と車内で何を話したのかまったく記憶にない。正直、まさか原巨人が負けるとは思っていなかったからだ。
 
 それくらい当時の巨人は最高で最強だった。前年の12年は交流戦優勝を飾り、最終的に86勝を挙げ、2位中日とは10.5ゲーム差のペナント独走V。クライマックスシリーズ(以下CS)、日本シリーズ、アジアシリーズとすべてを制し史上初の五冠達成。

 MVPを獲得したのは首位打者と打点王を獲得した全盛期バリバリのキャッチャー阿部慎之助。内海哲也は15勝で2年連続の最多勝に輝き左腕エースとして君臨。2年連続二桁勝利の澤村拓一はマウンド上で阿部先輩から小突かれるおまけ付き。ブルペンでは山口鉄也が72試合に登板し防御率0.84という驚異的な安定感を見せ、西村健太朗も32セーブを記録した。

 翌13年もルーキー菅野智之がいきなり13勝を挙げ、貯金31という圧巻の強さで2位阪神に12.5ゲーム差をつけぶっちぎりのリーグ連覇、行くぞ仙台なんつって日本シリーズ前のCSでは本拠地東京ドームで広島をあっさり3タテで一蹴。凄い、今じゃ1勝10敗と逆にまったくカープに歯が立たないのに。あ、すいません。

■多くの選手が入れ替わったそれぞれの4年間

 たかが4年、されど4年。ちなみに13年の新語・流行語大賞は「じぇじぇじぇ」や「お・も・て・な・し」。苦戦したリーグ戦の分は交流戦で「倍返し」だ。ってもはや書いてる俺も、読んでるみんなも半笑いのこの感じ。時の流れは残酷だ。新しいものはいつか古くなり、どんなに輝いていた時間もやがて過去になる。

 あの頃、楽天を率いていたのは星野仙一監督(現楽天野球団副会長)、絶対的エースはもちろん25歳の年でシーズン24連勝の田中将大(現ニョーヨークヤンキース)。マー君は最多勝、最優秀防御率、最高勝率のタイトルを獲得すると、前人未到の5カ月連続の月間MVP受賞でシーズンを終え、リーグ優勝決定試合、CSファイナルステージ第4戦、日本シリーズ第7戦のすべてでリリーフ登板して胴上げ投手に。

 ローテ2番手には15勝を稼いだ剛腕ルーキー則本昂大がスタンバイ。そして打線の中心には、メジャー通算434本塁打の4番アンドリュー・ジョーンズことAJがリーグ最多の120四死球に加え、26本塁打、94打点と存在感を発揮。5番ケーシー・マギーは三塁手ベストナインに輝く活躍でチームを牽引した。

 対する原辰徳率いる巨人も、シリーズ第7戦の先発投手は推定年俸5億円のサウスポー杉内俊哉に託し、スタメンは3番高橋由伸(現巨人監督)、7番ジョン・ボウカー、8番ホセ・ロペス(現DeNA)、最後に田中から空振り三振を喫した打者は代打の切り札・矢野謙次(現日本ハム)だった。そのほとんどはチームを去り、運命が複雑に交差し、巡り巡って4年ぶりの日本球界復帰を果たしたマギーはいまや巨人軍第87代4番打者である。

■過去と決別した楽天、過去を引きずる巨人

 今振り返れば、あの13年日本シリーズは巨人にとってターニングポイントだったように思う。ペナントで32本塁打を放った大黒柱の4番キャッチャー阿部はシリーズ通算22打数2安打、打率.091の大スランプ。翌年も打撃不振と故障に苦しみ、「阿部のチーム」はあっけなく終わりを告げた。2017年、すでに背番号10はベテラン一塁手だし、強力投手陣を形成した内海、杉内、澤村、山口鉄、西村はもはや全員1軍にはいない。

 同時に彼らに取って代わるような若手も4年目サウスポー田口麗斗以外に見当たらないリアル。大卒ドラ1投手の桜井俊貴が2年目に敗戦処理の中継ぎでマウンドに上がり、2位のその年チーム最上位指名野手の重信慎之介が2年目に早くも代走定着っていうのは「いったいどんなドラフト戦略だよ」と疑問を抱かずにはいられない。スーツを買いに行ったのに、ネクタイとワイシャツだけ買って帰るくらい意味不明だ。ちゃんと高級スーツ買ってくれよ。って買ったよ、どこだよ? いやゴメン、山口俊も陽岱鋼もなんかサイズ合わなくて仕立て直し中でさ……。今季ここまでキャプテン坂本勇人とスーパーエース菅野智之の投打の柱、セットアッパーを務めるマシソンの大車輪の活躍で、フラフラになりながらなんとかAクラスに踏みとどまっているのが現状だ。

 そんな苦しむ由伸巨人を横目に30勝12敗でリーグ首位を快走する楽天は、日本一の翌年入団の松井裕樹が2年連続30セーブ以上と球界屈指のクローザーへと成長し、野手では生え抜き野手として球団初の二桁本塁打を放った茂木栄五郎という23歳のニュースターも出現。さらに元西武のエース岸孝之をFA獲得。最近は則本の野茂英雄(近鉄)以来26年ぶり2人目の6試合連続二桁奪三振とド迫力の攻撃的2番打者ペゲーロが話題に。梨田昌孝監督のもと、栄光の「2013年の楽天イーグルス」とはまったく別の魅力的なチームへと生まれ変わりつつある。

 誤解を恐れず書けば、今の対照的な球団状況は、過去と決別して新しいチーム作りに邁進した楽天と、過去を引きずり続けてチーム作りが後手に回り続けた巨人の差とも言える。

 2013年の日本シリーズから早や4年。あの時の巨人は五冠達成の絶対王者として仙台に乗り込んだ。けれど今度は自分たちが「挑戦者」だ。

 頼む、由伸監督。冷めている挑戦者の戦いは見たくない。過去なんて捨てちまえ。

 See you baseball freak……

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