胸をはだけた未亡人が、敵の首を持ち恍惚の表情を……クリムトの真骨頂を堪能する

胸をはだけた未亡人が、敵の首を持ち恍惚の表情を……クリムトの真骨頂を堪能する

©iStock.com

 ウィーンを代表する画家クリムト。没後百年を迎えた彼の展覧会が久しぶりに開催中だ。その規模は過去最大。二百数点しか現存しない油絵のうち二十五点以上が並ぶ。

 今回の目玉は代表作の一つ〈ユディトT〉。祖国の為に敵の首を切り落としたこの美しい未亡人を画家は蠱惑(こわく)的に描き出す。首を手に大事を成し遂げ恍惚とするユディト。はだけた胸、その挑発的な眼差しに見る者は思わずたじろぐ。

 金箔を用いた輝く画面は黄金様式と呼ばれるクリムトの真骨頂ともいえるスタイルだ。世紀末のウィーンで新たな表現を模索した彼は装飾性を追求した。そして美しく洗練された画面に己の心情を込めた。

〈ユディトT〉を描いた時、画家は女性関係に苛まれていた。逞しく妖艶な女性像は神秘的でありながらリアルでもあるのか。初期から晩年までのクリムトの作品とそこに重ねられた彼の人生にも眼差しを向けてみたい。

INFORMATION

『クリムト展 ウィーンと日本 1900』
〜7月10日 東京都美術館
03-5777-8600(ハローダイヤル)
https://klimt2019.jp/

(林 綾野/週刊文春 2019年5月16日号)

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