大相撲がっぷりよつ座談会 佐藤祥子×南伸坊×能町みね子

大相撲がっぷりよつ座談会 佐藤祥子×南伸坊×能町みね子

©石川啓次/文藝春秋

17年ぶりの4横綱時代が到来し、
久々のブームに沸く大相撲。
好角家の3人が、今後の見どころ、
注目の力士、独自の楽しみ方を語る。

◆◆◆

佐藤祥子 このたび19年ぶりに日本出身の横綱が誕生して、大相撲人気に沸いていますが、おふたりはどう見てらっしゃいます?

南伸坊 周りに結構、稀勢の里(きせのさと)ファン、多いんですよ。僕は白鵬(はくほう)も鶴竜(かくりゅう)も日馬富士(はるまふじ)も――日馬富士は安馬(あま)の時から、応援してたんでね。だから、どうしても日本人の横綱っては思ってないと自分では思ってたんですけどね。こうなってみると、やっぱり日本人の横綱いいよなぁとよかったよかったって思ってますね。

能町みね子 私は茨城県牛久(うしく)市で育ち、稀勢の里と地元が一緒なんですね。だから彼に対してすごく思い入れが強かった。それまで、牛久からは力士がひとりも出ていなかったんです。まだ稀勢の里が本名の萩原で三段目だった16、7歳の頃、「牛久から力士が出たんだ!」と知り、ずっと注目していましたから。

佐藤 今回の昇進後、能町さんは雑誌の仕事で稀勢の里の実家まで行き、お父様を取材なさったとか。

能町 ええ、まずは地元の「あの店はどうなりましたかねぇ」なんて話から様子を伺いつつ(笑)。長年期待し続けて、去年あたりになると何度も優勝のチャンスを逃していた。「ああ、もうこの人は大関で終わるんだ。もうこれから期待するのはやめよう」と、諦めの境地に至っていたんですけれど。

南 じゃあ、もう最高じゃないすか。

能町 実は今でも信じられないくらいで。

佐藤 わかる気がします。稀勢の里ファンは、何度も期待を裏切られていて耐性ができちゃっていた。期待しないようにしないように、見て見ぬふりをしよう、みたいな感じだったんですよね(笑)。

能町 それで新横綱の場所で逆転優勝っていうのが、また、たまらない。

南 なんか“ロイヤルストレートフラッシュ”みたいな出来すぎだったよね(笑)。

佐藤 メンタルが弱いと言われていましたが、精神力がついてきたんですね。稀勢の里本人も、何度も優勝のチャンスを逃した昨年が特にいい経験になった、と言っていました。

能町 一時期、「まばたきパチパチ期」がありましたよね。その後に短い「謎の笑顔期」があって、最近は「めんどくさい期」に入って。めんどくさそうに相撲を取るんですけど、たぶんあれがリラックス法なんですよね。

佐藤 自分なりにそうやって試行錯誤していた1年だったんでしょうね。初優勝の時、取材者として現場にいたんですが、記者が泣きながら原稿を書いているのに驚いた。ケガを押しての新横綱優勝時は、土俵下で撮影しているカメラマンが、奇跡を見たようでシャッターを押す手が震えたなんていうほどだったんです。

南 ああ、そういうカンジなんですね。伝わってきたかもしれないなぁ。北の富士さんも、かなり喜んでましたね。

佐藤 モンゴル勢包囲網のなか、ひとりで孤独に戦っているような、日本人が好きなストーリーを想起させるのが稀勢の里で。白鵬は、もう10年も横綱を張っていて4横綱時代になりましたけど、先輩横綱の力に陰りが見えるからこそ、それに勝って新しい横綱が生まれる。だから4横綱が揃って長く活躍するのは難しいんですよね。

■言葉にできない魅力

南 僕が子どもの頃、4横綱っていえば鏡里(かがみさと)と吉葉山(よしばやま)と千代の山、栃錦(とちにしき)。

能町 ああ、うらやましい!

佐藤 先日亡くなった元相撲協会理事長の佐田の山、柏戸(かしわど)、大鵬(たいほう)、栃ノ海(とちのうみ)の4横綱時代なども、南さんはリアルに見てらっしゃる世代なんですね。

南 柏戸が「富樫(とがし)」って本名で出てた頃、そのあと大鵬が上がってきたんです。家にテレビないから、今川焼き屋さんに見に行くの。今川焼き一個買って少しずつ食べながらね。五年生くらいの時かなぁ。今川焼きに行っていない間にするするーって大鵬が上がって来て。見てないもんだから、興味なくなっちゃってね。大鵬の頃はあまり知らない。

佐藤 攻めるよりも「負けない相撲」で、相撲として見ると面白くはなかったと言われていましたよね。柏戸は速攻相撲で。

南 柏戸は、相撲好きといわゆる玄人の女の人に人気あったらしい。大鵬はハンサムだったから女の人や子どもに人気あったね。

佐藤 南さんが一番熱心に見ていた頃って、いつなんでしょう。

南 やっぱり栃若時代。水入り、取り直しとか、力入ったなァ、見てるとき。ふたりとも体は小さくて若乃花が大人気だったけど僕は栃錦、応援してた。ケツ汚いんだけど(笑)。子どもたちが騒ぐから、テレビもおもねって、仕切っている後ろからグッとアップでお尻撮ったりしてましたよ。

能町 ええ? そんなことも。南さんはご自分でも相撲を取られてたんですか?

南 取られてたってほどじゃ(笑)。普通に校庭にマル書いて、そこらじゅうでみんなやってた時代ですから。僕は若乃花のよびもどしとかキリカエシとか、力ないからさ、どんどん頭脳的な手を使うようになった。鳴門海(なるとうみ)ってものすごく痩せたお相撲さんがいてね。この人は、大人が三輪車に乗ったようなヘンな仕切りなの。で、それ真似すると相手が笑うから、その隙に勝つ(笑)。

佐藤 何か得意技はおありだったんですか?

南 ん? だから「仕切り」。

能町・佐藤 得意技が仕切り!(笑)

南 いつも見てるから、力士だけじゃなく行司や呼出しの真似もできるようになるでしょ。子どもは細部よく見てるから、「庭、掃いとけ」とかいわれると、呼出し風に掃いたりこーうやって蛇の目ならしたり(笑)。

佐藤 土俵みたいに丸く掃いちゃいけないのに(笑)。そういえば能町さんは角界ならではの「相撲字」を書けるんですよね。

南 え! すごいなぁ。ソッチには行かなかったな。難しいよねアレ。

能町 中学生くらいの時から書いてみたいと思っていたんです。仕事の企画で行司さんに習ったりもしたんですけど、私は筆ペンで書いているので、もちろん邪道なんですが。

佐藤 そもそも能町さんは、大相撲のどんなところに魅力を感じるんですか?

能町 本当に言葉にするのが難しい。スポーツの類にも入るんでしょうけど、私はそう見てもいないんです。お酒を飲んでおしゃべりしながら見るわけで、同じ伝統文化でも、歌舞伎ではさすがにそこまではできない。大相撲は大相撲としかいいようがないです。

佐藤 格闘技、興行というと、また荒っぽいかな。「相撲」というとアマ相撲を含めての競技名で、「大相撲」という言葉はプロを指すんです。

能町 競技としては武道の部類でしょうが、大相撲というとまた違う気がする。唯一無二な感じで……。まず私は、番付下位の力士を見る楽しみを知っちゃったんですよね。中学3年生ぐらいから相撲にはまり、初めて相撲雑誌を買ったんです。ちょうど若貴ブームの頃で、三月の場所では新弟子が100人くらい入門する。ただの中学生の顔とプロフィールがズラーッと載っているわけですけど、「10年見ていたら、この中から超有名人が出るかも。これは見続けるしかない」と。

南 それすごくわかるね。野球好きな人も、やっぱり高校野球から見てて、ずっと追い掛けてるから面白いわけで。

能町 私は安美錦(あみにしき)と同学年なんです。

佐藤 今はもう関取最年長の38歳。

能町 頭髪はちょっと後退していますけど(笑)。昔は結構、細くてイケメン的な扱いだったんです。今も業師として大人気ですけど、違った形で人気者だった。ほかに注目している力士を挙げると……。幕下力士の話していいですかね?

南 いいですよ〜。

能町 私がずっと推しているのが陸奥(みちのく)部屋のモンゴル出身力士、霧馬山(きりばやま)なんです。

佐藤 私も! 逸ノ城(いちのじょう)と同じ遊牧民出身で、顔も可愛い。今場所は幕下18枚目で、今年じゅうに十両昇進するかも。

能町 野性味溢れて、ちょっと朝青龍(あさしょうりゅう)を思わせるような感じ。足腰が強くて全身バネみたいなんです。新弟子は、相撲教習所で半年間相撲の基礎を習ったり、習字や相撲史などの座学の授業に通うんですね。私がここに取材に行った時のことなんですが、当然、霧馬山は日本語はほとんどわからない。退屈そうにしているんだけど、隣でうつらうつらしてる力士に、消しゴム投げて遊び始めたんですよ。「肝が据わってるなぁ」と感心しちゃった(笑)。案の定、肝の据わった相撲を取るんです。

南 僕は相撲好きなんだけど、積極性ないから、こうやって詳しい人の情報おもしろいねえ。やっぱ次から興味持つよなぁ。

能町 あとは十両の朝乃山かな。「富山の人間山脈」というちょっと無理矢理な感じのキャッチフレーズが付けられているんですが(笑)。顔も可愛くて、体つきもバランスがいい。美しいんです。肌もツヤツヤして、佇まいが堂々としてる。

佐藤 能町さんは、やっぱりビジュアルでも力士を見るんですか。

能町 見ますね。単に顔とか肌だけでなく、相撲を取った時の形の美しさとか。その点ではやっぱり遠藤かな。イケメンとばかり言われてしまいますが、相撲と体が、ものすごく綺麗。

佐藤 南さんはやはり、顔に目が行かれますか?

南 やっぱり、顔は面白い方がいい(笑)。そういえば「お相撲さんの似顔絵描いて」って仕事はあんまりなかったなぁ。あ、白鵬は描いたことあるか。

能町 私、「月刊相撲」の似顔絵コーナーの常連だったんです。中学生の時に初めて掲載されて、アドバイスがもらえるんですけど、「若いんだからもっと元気な線で」と書かれた記憶があります(笑)。

南 アハハ、いいなあ。本人術でお相撲さんになったことはあるんですよ。ゴムかつらかぶってハイお相撲さん、じゃシロートだし(笑)、マゲ、ちゃんと似せたいって思うとけっこうムズカシイ。ものすごい大仕事になっちゃう。

能町 市販のカツラじゃダメですよね。

南 ぜんぜん! 高安(たかやす)が出て来た頃、うちでは「『こまわり君』になってほしい!!」って言っていたんだ。眉毛も濃いし……。

能町 輪郭が下ぶくれな感じで。昔あった力士運動会の仮装かなんかでやってもらいたい!

佐藤 その高安は、今場所10勝以上すれば大関昇進なんですよね。たぶん大丈夫かな。アクロバティックな相撲で話題の宇良(うら)なんてどうですか? 館内の歓声が横綱並みにすごいんです。

南 でも、本人は別に珍しい技わざわざ掛けたいっていうんじゃないんだってね。

佐藤 そうなんです。ああいう相撲ではケガを招くし、ちゃんと正攻法の押し相撲を取りたいと体重を増やしている。今までにない未知の小兵力士、業師だとの声もあるんですね。たとえば舞の海などが、もし150kgもあったら、あの素早い動きはできないかもしれないけど、宇良だったらその体重でも動ける体を作れるのではないかって。

能町 そもそも高校入学の頃の宇良は152cm 52kgだったとか。運動神経は抜群にいいけど、いくらなんでも力士には……という感じだったんだそう。今、体重が2倍以上になってもこれだけ動けているんだから、もしや? って。イケちゃいそうな気もしますね。

佐藤 今回、稀勢の里は30歳でやっと横綱になりましたが、芝田山親方(元横綱大乃国[おおのくに])など、今の親方たちが口を揃えておっしゃるのは、「一昔前の30歳と今の30歳はまったく違う。30歳前後から強くなっていく」って言うんです。

能町 一昔前は20代で引退していたんですものね。関脇の玉鷲は32歳だし、今場所また三役に復帰した嘉風(35歳)も32歳あたりから強くなっている。

佐藤 食べ物とかトレーニング方法とか、いろんな要素があると思うんですが、もう年齢が理由にならない。だから稀勢の里も、「年齢は関係なく、これからどんどん強くなっていく」と自信を持って言ってるくらいなんです。今年は1月、3月と稀勢の里が優勝して、今の時点では「2017年優勝率100パーセント」(笑)。

南 勢いン乗ってもう1回優勝しちゃうっていうのもいいね。初優勝で昇進ちょっと甘かったのではとかって声もあったし、なんかうまくでき過ぎてる感もある。ここで3回続けて優勝したら、もう次の場所でちょっとくらい負けても文句言われないんじゃない? 先場所途中休場した白鵬がここで出て来て直接対決。それで優勝したらもう文句ない。

佐藤 白鵬は、横綱昇進以来、5場所続けて優勝を逃すのは初めてのこと。日馬富士はスピード勝負の横綱で、それってケガや体調にどうしても左右されてしまうんですね。鶴竜も、引いたりはたいたりの相撲が多くて、けして「横綱相撲」とは呼べない相撲ばかりで……。

能町 でも、そういうのに魅力を感じてもしまう甘い私がいて(笑)。悩んでいる力士も好きなんです。大関栃東(とちあずま)(現玉ノ井親方)にも、勝手に“悩める青年”というイメージを持っていた。体も大きくないし、正攻法だから、けっこう大事な場面でたまに立ち合い変化して、周りにブーブー言われちゃったり。なんだか悩みつつ相撲を取っている感じが、私には魅力に思えていた。鶴竜もそうで「横綱になったはいいけど悩んでる」ような感じが……。

南 鶴竜って、学校の勉強もできるタイプなんだってね。

能町 お父様が大学教授でしたっけ。

佐藤 鶴竜は、日本語の新聞もちゃんと読めるんですよ。

南 昔、埴谷雄高の、ものすげえ難しい本とか読んでた力士がいたんだ。誰だったっけ?

能町 たぶん大麒麟(だいきりん)じゃないですか?

佐藤 書斎にすごい数の蔵書があったって聞いたことがありますよ。

南 そうだ大麒麟、シコ名もムズカシイ。大関にはなったよね。「そんな難しい本読んでるから横綱になれない」とか言われてた。

■付け始めた「手さばき帳」

佐藤 私は仕事で場所中は国技館で見たり、朝稽古を取材に行ったりするんですが、おふたりはどんな感じで相撲を見てらっしゃるのでしょう?

南 うちじゃ仕事場でBS 1時からつけてるんですよ。僕は机に向かって仕事してて「始まるよ〜」ってなると見に行く。昔、編集者が原稿を取りに来て、「今日はなんで相撲中継ついてないんですか」って。「いま場所中じゃないから」って(笑)。子どもの頃から好きで見てるけど、ボケッと見てるだけだから、あんまりくわしいことは言えない。

能町 私も相撲関係の仕事が増えるまでは、わりとボケッと見ていて「今の相撲どんなだっけ?」と思い出そうとしても全然覚えてなかったりして。でも、NHKのアナウンサーから教えてもらった「手さばき帳」というのを最近付け始めてしまったんです。

佐藤 そこまで!

能町 「立ち合いでこうなってこんなふうに組んでこっちがこんな決まり手で勝った」と記録するんですけど、幕内だけでもやりたいと、20番くらいの取組をけっこうしっかりと見ています。

佐藤 なんのために、どこを目指してるんですか……能町さん(笑)。

能町 だんだん苦行みたいになってる(笑)。いや、楽しんでやっているんですよ。時間がものすごく掛かってすごい労力なんですけど。でも、書いているうちに「この力士は右四つが得意なんだ」とかわかってくるんですよ。

南 それは楽しそう。楽しみ方のレベルがどんどん違ってってきますよね。

佐藤 私の場合は相撲部屋のおかみさんをインタビューしたり、ちゃんこを食べ歩いて記事にしたりすることが多いんですよね。今、大相撲人気がV字回復で、お陰様で私も忙しくさせてもらっていますが、今の人気ぶりはどう思います?

能町 私は今までの大相撲人気って、若貴時代しか知らないですけど、昔はそれこそ大鵬と柏戸とか、大スターがバーン! といて周りが熱狂したり、子どもに人気が高かったり。でも、今ってそうじゃないんですよね。稀勢の里は確かに人気ですけど、若い女性がみんなでキャーキャー言っているわけではない。大相撲人気は高いけど、誰かひとりが突出して人気なわけでもない。

南 稀勢の里の「ドラマチック人気」はあるんじゃない。今までずっとモンゴル勢に負けててね。そこでやっと横綱になって、ドラマチックに優勝しちゃった。今が一番盛り上がってるんだから、もうやっちゃったほうがいいですよ、3連覇(笑)。

能町 そうですね、やっちゃったほうがいいですね(笑)。今の相撲人気って、なんだか謎の人気なんですよ。誰かが引退したことによってシューンとなっちゃうとも思えないんだなぁ。

■これからの注目力士

佐藤 以前で言うなら、若貴が引退してから人気がどんどん下降していった。バブルの時代でもあったんですよね。今は景気もよくないのに人気がある。

能町 確かに当時、相撲自体は今以上に面白かったかも。曙、武蔵丸、小錦などのハワイ勢や舞の海、智ノ花(とものはな)などの異能力士もいたし。

佐藤 役者が揃っていました。今の相撲界も若手が伸びてきたけれど、学生出身力士が多いんです。学生相撲は、スピード出世するんですけど、馬力とか、相撲力っていうんですかね、地に足の着いた強さが足りない感じがするんです。今、三役で注目されてる東洋大学出身の御嶽海(みたけうみ)なんて、「稽古しない」って師匠や親方たちに苦言を呈されてばかりなんですが、本人はまったく気にしてない。相撲界には「3年先の稽古」という言葉があるんですが、「僕は今を生きている。3年先のために稽古をして、それまでにケガをしたらどうにもならない」と、臆面もなく言う。

能町 でも悪ぶってるわけじゃないんですよね。素直にそう口にする。で、稽古はあまりしなくても実際に本場所で勝てちゃう。

南 うわ、それ、面白いじゃない。

能町 ほかにも正代(しょうだい)、時津風部屋伝統の四股名を継いだ新入幕の豊山(ゆたかやま)、貴乃花部屋の双子力士の貴源治(たかげんじ)が今場所は新十両だとか。これからの注目力士はいろいろいるんです。でも私はやっぱり、ドラマ的に白鵬のリベンジが欲しいところ。去年、一昨年くらいは、まさに強すぎて憎たらしいくらいの思いもあったんですが。かち上げやダメ押しとか、振る舞いもふてぶてしかったし。

佐藤 そうでした、そうでした。

能町 白鵬には、このまま、しおしお〜と萎んでもらいたくない。もうひと花咲かす、ではないですけれどね。

佐藤 それでいうなら、私も大関の豪栄道(ごうえいどう)と、照ノ富士(てるのふじ)にまだまだこれから頑張ってもらいたい。豪栄道も一度は優勝できたんだし、稀勢の里の昇進に発奮してほしいな。

南 照ノ富士っていえば、先場所は稀勢の里と優勝決定戦まで行った。あの時実はケガしてたんだってね。くわしい人は知ってたんだから、もうちょっとそのへん言ってあげてもよかったのに。

佐藤 14日目の琴奨菊(ことしょうぎく)戦の大事な一番で立ち合い変化し、すごいヤジを浴びてヒール扱いされてしまいましたね。後で事情を知って可哀想な面もありました。でもあえて言い訳しないところが、また力士のいいところでもあるかも。

能町 かつて横綱の曙も3年近く優勝から遠ざかっていて、「もうダメだろう」と周囲が見るなか、最後にひと花咲かせて優勝して引退したんですよね。だから、これからの白鵬は稀勢の里と互角で闘い、千秋楽の相星決戦とかを見たいです。

南 うん。それ最高だね。すぐにチケット取れる頃はちょくちょく国技館行ってたけど、最近は行けてないなぁ。

佐藤 今はチケットがなかなか取りにくいですしね。一度は生で見てその迫力を知ってもらいたいとは思いますが、実はテレビ中継で見ていたほうが、情報としては大相撲がよくわかる。解説も取組のビデオ再生もあるし。

南 国技館に見に行くと、だいたいが食って飲んで、あんまりちゃんと見てないんだ。

能町 私は同行者にずっと余計なことばかり解説しながら見るんです。テレビでは仕切りの時間が長く感じるけれど、現場では、いつの間にか始まって終わってしまっていて、「あれ? 今のどうだった?」なんて。

南 そう。焼き鳥うまかったのだけ憶えてる(笑)。その能町さんの解説聴きながら国技館でってのいいねえ。それ、やってみたいなあ。

(司会・構成 佐藤祥子)

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※この座談会は、五月場所開催中に発売の「オール読物 6月号」に掲載されました

(佐藤 祥子)

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