【中日】夢の球宴を“感謝の球宴”に チームを去った彼らに御礼が言いたい

【中日】夢の球宴を“感謝の球宴”に チームを去った彼らに御礼が言いたい

©文藝春秋

■猛者が集結する夢の球宴

 5月23日、スポーツ紙にはオールスターゲームのファン投票中間発表が大きく掲載。開幕から我がドラゴンズの勝敗に日々一喜一憂していた為、完璧に時の感覚を失っており、ただただ、もうそんな季節かぁと感じたものであった。

 オールスターゲーム、またの名を夢の球宴と呼ぶ。7月に行うこともあり、織姫と彦星が年一回逢える日の如く、セ・パの強者が名誉とプライドをかけ一世一代のパフォーマンスを見せる、いや魅せる舞台である。一昔前は「人気のセ、実力のパ」と言われ、オールスターの場で活躍し、名前を売ろうと全パの選手は奮起したものだった。

 また幼少の頃は読売中心のテレビ放送だった為、名古屋地区に住む私たちには年一回の全パ選手品評会の場にもなっていた。「阪急の長池って左肩にアゴを乗せて打つんだ」とか、目を輝かせて見ていたものである。江夏の9者連続三振、掛布の3打席連続ホームラン、清原vs桑田、落合vs野茂、ピッチャー・イチローなど、夢という表現がピッタリのシーンが数多く生まれ、野球の素晴らしさ、面白さを頭の中に植えつけてくれたものだった。今では交流戦もあり、この場でしか味わえない希少価値は薄れたものの、今でもオールスターゲームは選手もファンも心躍る場であることは言うまでもない。

 そんな夢の球宴、今年開催される球場はなんとナゴヤドームとZOZOマリンスタジアム。5月28日現在、セ・パ最下位に沈むドラゴンズとマリーンズの本拠地というのも何かの因縁なのだろうか。毎年ファン投票では投票数が伸びないドラゴンズ。今年ぐらいは地元開催だけに、せめて誰か一人くらいはファン投票で選出して晴れの舞台でプレーしてもらいたいところだが、果たしてどうなることやら。

 2011年以来6年ぶりの開催となるナゴヤドーム。ファンとしてはただ単に野球だけを見るのではなく、オールスターゲームという“祭”を始まる前から終わった後まで楽しみたいと願う。アメリカ並みに一週間かけ、街をあげてのお祭とまではいかないまでも、名古屋の至る所をプロ野球というコンテンツで活気づけることはできないだろうか。

■球宴を盛り上げるイベントとは

 今年はナゴヤドームの試合前に燃える男・星野仙一氏の殿堂入りセレモニーも予定されていると聞く。盛り上がるには最高のゲストではないか。ならばここはドラゴンズ今季のメインテーマでもある「ドラゴンズ愛」を大量にふりまく意味でも、かつてのOB勇者たちに集結してもらい、ドラゴンズへの大貢献者の殿堂入りを祝福することはもちろん、皆で一緒に名古屋に恩返しするつもりで盛り上げて頂くっていうのは面白い話ではないか。

 たとえば、縁遠くなった元助っ人を呼び寄せちゃう。かつてのホームランキングのタイロン・ウッズを街宣車に乗せ、懐かしの応援歌“ホームランかっ飛ばせ! タイロン! レフトへライトへ〜 ティ! ティ! ティ! ティ!”と、ショッカー戦闘員ばりの奇声を街中に響かせながら、おもむろにバットを持って市内近郊の各球場でぶっ飛ばす、タイロン独りホームラン競争ショーを展開。

 食の面ではソン・ドンヨル、リー・ジョンボム、サムソン・リー、イ・ビョンギュのコリアンカルテットが競うトッポギグランプリなんてのはどうだろう。夏の暑さで弱った胃を活発にさせるにはもってこいのイベントになるはず。ドーム内で焼き鳥を焼いている彦野利勝氏も負けず嫌いを発揮し、日韓露店対決に発展すれば祭も華やかさを増す。名古屋の至る所でOBイベントを企画すれば、必ずやオールスターゲーム開催の下支えにはなるはずだ。

■しっかりと彼らに御礼を言いたい

 メインイベントにはとっておきの腹案がある。是非とも中日球団に実現して頂きたいのだが、はっきり言って実現困難かもしれない。しかしもし願いを叶えることができれば、ドラゴンズファンが狂喜乱舞するのは間違いない。それは落合博満元監督、谷繁元信前監督、川上憲伸、井端弘和両元選手たちの正式なる退団セレモニー。

 お祭の場で退団挨拶というそんな辛気臭いイベントは相応しくないことは重々承知の上。ファンへの近況報告、ただ単なる顔見世でも問題はない。また何も洒落た言葉や演出は要らない。ただ単純に、突然ファンの前から消え、何もメッセージを残せなかったレジェンドたちの元気な声を聞き、姿を見せてもらい、ファンとして長年中日ドラゴンズに貢献してくれた御礼をしっかり言わせてもらいたい、ただそれだけなのだ。

 任期満了とはいえ、無言でチームを去った落合氏(体調が戻ればもう一度采配をふるってくれることは可能かい?)、志半ばに休養という形でドラゴンズのユニホームを脱いだ谷繁氏(谷繁チルドレンのキャッチャーたちにアドバイスはないかい?)、自由契約で追われるようにチームに別れを告げた井端氏(ドラゴンズ応援番組でもらった金の便座は今でも使ってる?)、そして今年始球式で投げ、その際どさくさのように花束をもらい形だけのセレモニーで終わっている川上氏(早く投手コーチとして戻ってきてよ!)、皆どれだけドラゴンズの為に粉骨砕身してくれたことか。このまま御礼も言えないままでは死んでも死に切れないと思っている熱烈なファンは多いはず。

 まぁ、一堂に集まれば、4人の中には内心いまさらなんだよと、快く思わない人もいるだろう。が、そこはファンのためにと大人の対応で名古屋に錦を飾ってもらいたい。そして今まで思いのたけを口にできず、わだかまりだけが残った人には全てを解消する良いチャンスではないか。今、井端氏は巨人コーチの身分、セレモニーの場に登場可能なのはオールスターブレイクのこの時しかあるまい。

 この御礼が叶えられた時、多くのファンは喉元に刺さったトゲが取れ、今以上にドラゴンズ愛を成就することができる。あらためてこれからもずっと応援できるチームであると信じることができる。口には出さないがこのセレモニーはファンにとってまさに悲願であり大願。だからこそドラゴンズ愛を標榜している今年、球団としては是非期待に応えて欲しい。映画『フィールド・オブ・ドリームス』ではないが、ドラゴンズが根回しをしっかりしてくれれば、彼らはやってくる。まだ一ヵ月半の時間が残されている。今年のナゴヤドームはオールスターゲームを夢の球宴から感謝の球宴に。そんな記憶に残るひと夏のイベントにして欲しいと切に願うばかりだ。

※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/2779でHITボタンを押してください。

(竹内 茂喜)

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