【オリックス】DHの存在 セはビートルズ、パはストーンズ?

【オリックス】DHの存在 セはビートルズ、パはストーンズ?

©文藝春秋

■通算成績に(そこまで)大きな差は開いていないセ・パ交流戦

 Bsが苦戦を続けた5月の下旬。文春野球コラムのコミッショナーから一通のメールを貰った。「セ・パ交流戦についてのルール」と、「対戦希望の球団」と、「対戦したい話題」についてだと言う。

「対戦希望の球団」について色々と考えを巡らすも、それはやはり期間と出稿数の兼ね合いがあるもの。ここは「対戦したい話題」に重きを置いて交流戦を戦いたいと思う。

 ところで、過去から「パ・リーグ優位」のイメージが強いセ・パ交流戦。実は通算成績に(そこまで)大きな差は開いていない。過去12年でパ・リーグの925勝821敗54分。1年当たりに換算するとセ・リーグ全体で約8敗、セ・リーグ各チームが毎年1敗強負け越している程度の計算だ。では何故ここまで「パ・リーグ優位」との印象が先行するのだろう。それは恐らく「DH」の存在によるものが大きいのではないだろうか。

 全員が楽器を演奏しながら歌を歌うビートルズに対して、ミック・ジャガーが持っているのはマイクだけ。例えるならセ・リーグがビートルズでパ・リーグがローリング・ストーンズ。ポールよりミックの方がどれだけ歌に専念出来る事か。言わばDHとはバンドで言う所のヴォーカリストの役割であると言っていいだろう。自分がベースを弾きながら歌を歌うMEGASTOPPERはセ・リーグだったのか。そうだったのか……。

 せっかくの交流戦の機会。まずはここで一度バンドのヴォーカリスト、いやいやDH制度についておさらいをしてみるのはどうだろう。という事で今回の「対戦したい話題」はDHについて。死亡遊戯さん宜しくお願い致します。

■実は奥深いDH制度

 まずDHに関するルールであるが、(1)DHは投手以外には使用出来ない。(2)相手投手が降板しない限り、最低1打席消化するまでは交代出来ない。(3)DHの選手が守備についた場合、DHは消滅する。ざっくり言えばこのくらいであろうか。

(1)はDH「designated hitter」とDP「designated player」の違いに由来する。DHの場合は投手のみ、DPの場合は好きなポジションを指定して守備に就ける。「誰かの代わりに打席に立つ」というより、「代わりに誰かが守備に就いてくれる」と考えれば良いだろう。DHの場合は投手以外の選手が代わって守る事が出来ないのである。

(2)は予告先発になってからは使う必要が無くなった「偵察要員」、これにDHは使えないという事だ。2011年交流戦、広島対オリックスにおいて広島・野村謙二郎監督は7番DHに今村猛投手を起用。「偵察要員」のつもりであったと思うが、オリックス・岡田彰布監督がこのルールを指摘。メンバー表の交換時に指摘されたという野村監督は「完全なボーンヘッド」と語ったが、DHに不慣れなセ・リーグの監督にはいささかかわいそうな結果となった。

(3)はいわゆる「DH解除」というヤツだ。近年「DH解除」と言えば大谷翔平投手(日ハム)の代名詞となっているが、Bsも過去に「DH解除」を行った事例がある。これまた岡田監督時代の2010年、対ソフトバンク戦。6回の攻撃時にスタメンマスクの鈴木郁洋捕手に代打を送り、直後の7回からDH起用の日高剛選手を捕手に回した。その結果DHは消滅し、岸田護投手が8番打者に入るという珍展開に至ったのだ。継投の後、投手の打席で代打バルディリスが告げられたため投手が打席に立つ事はなかったが、ルールを熟知した岡田監督の見事な采配であった。

 このDH制度。パ・リーグ野球ではもはや当たり前のルールとなっているが知れば知るほど案外奥が深い。パ・リーグペナントレースでは遭遇しなくても、このセ・パ交流戦では様々な事が巻き起こる。「DHのミカタ」これがセ・パ交流戦のひとつの醍醐味なのではないだろうか。

■交流戦があれば優勝していたかもしれない2003年ジャイアンツ

 せっかく死亡遊戯さんとのコラム交流戦、ここで少しだけ巨人の話題にも触れてみたいと思う。3位に終わった2003年原ジャイアンツ、この年の巨人は「選手起用の苦悩」と戦い続けたシーズンであったように思う。いや、ハタから見ていてそう感じるだけだったのかもしれないが。

 というのも清原和博選手とペタジーニ選手のポジションが被っており、必然的に清原選手をファーストで、ペタジーニ選手を外野で起用するしかなかったのだ。斉藤宜之選手が内野、外野とユーティリティな活躍を見せてはいたが、やはり毎試合「得点への期待値」と「失点へのリスク」を秤にかけて苦悩の末に選手を起用していた事だろう。

 もしこの年に36試合のセ・パ交流戦があれば、いやせめて現在と同じく18試合でもセ・パ交流戦があればDHが使え、清原・ペタジーニを容易に併用出来たであろう巨人の勝率は大きく向上していたのかもしれない。展開によってはリーグ優勝もありえたのではないだろうか。

 そう考えるとDH制が無い分、選手の起用についてはパ・リーグよりセ・リーグのほうが熟考を重ねオーダーを組んでいると思われる。しかし、毎試合行っている「得点への期待値」と「失点へのリスク」を天秤にかけるこの行為が、結果「戦術的層の厚み」を生み出しているとも言えるのではないだろうか。

 我々は選手が離脱した場合、その選手に匹敵する能力の選手が次々に出てくる、そういった「選手層の厚み」にばかり着目しがちである。しかし実は、時に戦術を少し変えてでも離脱選手の穴を埋める行為が必要なのではないだろうか。

 Bsで例えるなら守備の名手・安達了一選手が離脱した場合だ。代替えが効かず苦しい戦いを強いられるケースが多いが、それはUZR値的に安達選手に匹敵する遊撃手がいないからである。しかしWAR値で言えば、決して代替えが効かない事はない。その場合「失点へのリスク」が増幅する事を承知のうえで「得点への期待値」が大きくなるようオーダーを組めば良いと思うのだ。本来、10人で戦うパ・リーグ野球だからこそ「戦術的層の厚み」にも期待が持てるはずなのである。

 セ・パ交流戦が始まって13年目となる今シーズン。まだまだセ・リーグ球団から学ぶ事も多い。Bsにはセ・リーグ各球団から多くの知恵と戦術と、そして白星を頂戴しながら6月を戦って欲しいと思っている。

 そして交流戦が続くこの文春野球コラム。次回は阪神担当・山田隆道さんと対戦するタイミングであろうか。せっかく前項で岡田監督の名前もあがった事だし、文春野球コラムの関西ダービーにも期待して欲しい。自分は「駄筆へのリスク」と「HITへの期待値」を天秤にかけながら戦っていく事にしよう。

 しかし、MEGASTOPPERはセ・リーグだったのか。そうだったのか……。

※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/2791でHITボタンを押してください。

対戦中:VS 読売巨人軍(プロ野球死亡遊戯)

※対戦とは同時刻に記事をアップして24時間でのHIT数を競うものです。

(MEGASTOPPER DOMI)

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