【オリックス】「監督」の仕事とは「ミキシングエンジニア」である?

【オリックス】「監督」の仕事とは「ミキシングエンジニア」である?

©文藝春秋

■文春野球の関西ダービー、お題は「監督」

 拝啓

阪神タイガースファンの皆さま。その後糸井嘉男選手の調子はいかがでしょうか。上下黒のユニフォームで打席に立つ彼を見た時、まさにリアルバットマンの登場かと、久々に私の中の少年の心が彼に鷲掴みにされました。

 また、福留孝介選手と並んでヒーローインタビューのお立ち台に上がったとも聞きました。Bs時代はどれ程勝利に貢献しても、なかなかお立ち台に上がってくれなかった彼。「阪神やったら立つんかい!」と、我々Bsファンの心にメラメラとジェラシーの炎が燃え上がったのは言うまでもありません。何より、毎日楽しそうにプレーする彼を陰ながら複雑な心境で応援しています。

 金本知憲監督ならびに阪神タイガースファンの皆さまにおかれましては、まだまだ末長く彼をご愛顧頂けますよう宜しくお願い申し上げます。

 敬具

 さてさて、今回のコラムは阪神タイガース担当・山田隆道さんとのコラム交流戦。言わば文春野球の関西ダービーである。お題は「監督」。となれば故・中村勝広監督の話題か岡田彰布監督の話題か。しかしそれではあまりに阪神寄りの話題となってしまう気もする。いっそ惚けたふりをしてスティーブン・スピルバーグの話題にでもしてやろうか。いやいやここは文春野球コラム。その辺はわきまえて挑もう。山田隆道さん、どうぞ宜しくお願いします。

■「監督」は「ミキシングエンジニア」?

 少年の頃は「監督」が一番偉い人だと思っていた。仰木彬監督、野村克也監督、森祇晶監督に星野仙一監督、まして王貞治監督に長嶋茂雄終身名誉監督、大沢啓二親分など「監督」と聞けば誰もが球団オーナー以上のオーラを放っていたイメージだった。

 しかし、大人になってプロ野球球団と一緒に仕事を手がけるようになるとそんな考えは一変する。我々が思っている以上にプロ野球球団はずっとずっと大きな組織で戦っているのである。経営をする人、戦力を整える人、新人を鍛える人、それにその戦力を使って実際にペナントを戦う人。GMや球団本部長、編成部長の役割も監督の仕事と混同しがちであるが、そもそも「監督」もひとつのポジション的役割であり、本来のその役割は至って明確である。

 野村克也氏が池田純氏(前・DeNA球団社長)とのある対談で「いかにして客を入れるかはあんたらの仕事、我々は勝つのが仕事」と語っていたが、「監督」の仕事とは現有戦力を駆使し勝利に導く事の一点にあるのだろう。

 我々音楽家の場合は「プロデューサー」がそれに当たるのかとも思ったが、そう考えると少し違うようだ。与えられた音源トラックを調整して優良の音楽に導くという点では「ミキシングエンジニア」と呼ばれる職業がまだそれに近いのかもしれない。ミキサーと呼ばれるツマミだらけの机の前に座っている人がそれである。この人たちがチグハグなミキシングをすれば、我々の演奏どころか楽曲すら台無しになるし、ミキシングの手法で駄曲が名曲になったりもするのである。

 野球で言うならば「プロデューサー」がGMや球団本部長、「ミキシングエンジニア」が監督、「ミュージシャン」が各選手に当たるのではないだろうか。

■「中村勝カレー」は偉大なファンサービス!

 そう思うと前出の中村監督、それに岡田監督はそれを大きく凌駕して偉大な監督であった。阪神、オリックスでの両氏の活躍は勝利のみならず選手の育成や補強の方向性、時にファンサービスと多岐に渡っていたと思う。この両氏に関しては「プロデューサー」的役割を兼務していたように思うのだ。中村監督のファンサービス? 「中村勝カレー」はじゅうぶんファンサービスだったじゃないか。

 岡田監督に至ってはあまりにその功績が大きいように思う。振り返ってみると現在のBsの攻守の要、金子千尋投手とT-岡田選手が一躍脚光を浴びたのは岡田監督時代の2010年であった。また、伊藤光捕手の台頭、平野佳寿投手の中継ぎ転向も岡田監督時代。西勇輝投手や駿太選手も岡田監督時代にチャンスを与えられたと言っても良いだろう。Bsの現有戦力の大半は岡田監督の整備によるもの。岡田遺産と言っても過言ではないからだ。

 しかし、その岡田遺産の面々もいまやベテラン選手の域に達して来た。Bsの未来を考えた時に、やはり必要になるのは新たな戦力の整備ではないだろうか。その点では福良淳一監督以上に、球団本部長、編成部長を兼務する長村裕之氏に大いに期待したい。また、福良監督が名将と呼ばれるその日まで、各セクションが一丸となって福良監督を支援して欲しいと願っている。もちろん我々ファンに与えられた役割は一つ。福良監督を信じて応援を続ける事、これが何よりのチームへのバックアップとなるだろう。

 P.S. 近い将来、オリックス・バファローズ vs 阪神タイガースの日本シリーズが実現して欲しいと願っている。それも岡田彰布氏の解説で実現すれば、それこそこんなに胸が熱い事はない。その時は「六甲おろし」を六甲山まで吹き返す勢いで「SKY」を熱唱してやろうと思っている。

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対戦中:VS 阪神タイガース(山田隆道)

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