なぜか60代女性から圧倒的支持 かまいたちが語るラジオ「ヘイ!タクシー!」の秘密

なぜか60代女性から圧倒的支持 かまいたちが語るラジオ「ヘイ!タクシー!」の秘密

ロケ前の二人。山内健司(左)と濱家隆一

 前代未聞! スタジオを飛び出しタクシーで都内をウロウロしながらダラダラおしゃべりする新感覚ラジオロケバラエティ『かまいたちのヘイ!タクシー!』。幅広い年齢層に親しまれ、時間帯聴取率は常にトップ。年齢別では意外にも60代女性から圧倒的支持を受けているという。酸いも甘いも?み分けたマダムたちに愛される秘訣はなんなのか。タクシー乗車前のほんのひと時、かまいたちの二人を直撃。かまいたちが語る、ラジオのこと、二人のこと、そしてお笑いのこと。

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■ラジオでロケ、あんまやってないのがいいなって

――このインタビューは今TBSで行われていて、これからまさにラジオ『ヘイ!タクシー!』の収録が始まるわけですが。それにしても、ラジオで番組まるまるロケのかたちを取っているのも、非常に珍しいですよね。

濱家 これはほんまにスタッフさんに感謝なんですけど……元々は普通の、スタジオ収録のラジオをやる予定だったんですよ。ただ僕らの特性を、よさを出そうとスタッフさんが言うてくれはって、会議で「ロケ出ちゃいますか?」って。まさかラジオでそんなことさせてもらえるとも思ってなかったし、言われた時に「大丈夫なのかな、それ」って不安はあった。その会議に、たまたま作家の森下(モリシ)が来ていて。モリシは、僕らが大阪いた時ずっと座付き作家でやってくれてたんですけど、先にこいつが上京していて、話聞いたら作家だけで食べるのちょっと厳しいから、タクシー運転手と兼業してるっていう。

山内 ポンコツやから。

濱家 ポンコツ言わんでええ(笑)。で、モリシを運転手にして「タクシー乗りましょうか」って、そんな感じで決まっちゃった(笑)。それでラジオにモリシも出ているわけです。タイトルも「『ヘイ!タクシー!』ってどうですか?」「ダッサ。でも、このダサさ、おもろいですね」みたいな。そこからとんとん拍子でしたよね。その日に決まったぐらい。

山内 テーマ曲も決まって。

濱家 キャロルの『ヘイ・タクシー』。TBSラジオの吉野局長が「矢沢永吉さんファン」って聞いて「なんかつながるな」と(笑)。んで、そのまま『ヘイ・タクシー』やな。

山内 ラジオでロケっていう、あんまやってないのがいいなって。

濱家 変なことしてるなっていうのが一発で分かるのがよかったんです。

■これが仕事になってるのが不思議なぐらい

――ラジオのロケならではのご苦労はありますか? 

濱家 テレビのロケよりラジオのロケのほうが楽なんで。だから、マジで楽しいだけですね。スタッフさんも、スタッフなんですけど気心知れた皆さんで、ブラブラダラダラしゃべりながら。息抜きです、ほんまに。これが仕事になってるのが不思議なぐらい。集中すらしてない。

山内 (笑)。

■唯一、「エーッ」て思った行き先は

――いつも行き先はサプライズなんですか?

濱家 そうですね。車中で初めてどこ行くのか聞く。

――「エーッ」みたいな場所の時もあります?

濱家 いや、僕ら東京を詳しく知らないんで、どこ行きますって言われても、あんまりピンとはきてない。

山内 局長の地元の時だけ「エーッ」て。

濱家 (笑)。吉祥寺な。

山内 吉祥寺。赤坂からけっこう時間かけて行って、局長が前住んでた家、知り合いのご飯屋さん……。

濱家 遠征したわりには用意してたものが薄かったっていう。局長回。

■たけしさんの『ウルトラクイズ』とかが好きだった人なのかな

――局長が、近鉄バファローズの帽子をかぶってアテンドした回(2018年10月24日放送)ですね(笑)。ところで、なんでもこのラジオは60代女性の圧倒的支持を受けているとか。

濱家 そうなんですよ! レーティング取って、60代女性と20代男性が、それぞれ1位。60代女性!?って思ってたんですけど、この間奈良に営業行ったら「60代リスナーです。写真もちゃんと送ったんですけど、いまいち信じてもらえなかったんですが、私です」っていう人が来てくれた。すごい層を拾ってきたんだなって。僕ら15年の間に。

――60代の女性を惹きつける秘訣はなんでしょうか。

山内 惹きつけようとしてないんです。勝手に来てるだけ(笑)。ああでも、バラエティーが大好きだった女性なのかな。たけしさんの『ウルトラクイズ』とか、ああいう過激な感じのが大好きだった方たち。

――昭和のバラエティーを見て育ってきた。

山内 好感度とか気にせずやってるっていうのが好きな、ほんまお笑いクレイジーな。

濱家 ほんま品のないラジオなんで(笑)。品という品がない。その辺があれなんですかね、付いてこれる人は。

――お二人自身はそんなに気にされてはないですか? 好感度。

濱家 好感度のタイプじゃない(笑)。

山内 テレビでは気にするんですけど、ラジオを全く聴かずに育ったんですよ。だから、ラジオって聴いてる人いるのかなと思いながら。

濱家 失礼やろ。天下のTBSラジオに(笑)。

山内 だから特に、ラジオは何言ってもいいっていう認識のもとにやってるので。

濱家 まぁ、僕ら今収録でやらせてもらってて、生じゃないんで。好き放題しゃべってるのが好きって人が居てくれるんだろうなとは思いますけど。

――確かにラジオが身近になければ、ラジオって何なんだろうって思うかもしれない。

山内 そうなんですよ。今はradikoあるから手軽ですけど、前はラジカセとかでメッチャ好きなやつが聴いてるイメージやったんです。僕は島根育ちなんで。あと、おかんが料理しながら聴いてるぐらいの感じ。だから、今ちょっとラジオも変わってきてるのかなと。

濱家 僕も芸人になって自分がラジオをやらせてもらえるようになってから聴くようになった。僕もラジオで育ってきてはないな。だから二人ともあんまり意識せずに何でもしゃべってる感じはありますね。

■『かまいたちのヘイ!タクシー!』はずっと一番楽しい仕事

――芸人さん、ラジオ好きな方多いですよね。

濱家 もうね、やってる分にはメチャクチャ楽しい。もう1年やらせていただいているんですけど、『かまいたちのヘイ!タクシー!』はずっと一番楽しい仕事。ほんとそこでバランス保ててるというか。二人のいちばん素の部分が出るのがこのラジオなんで。

――先ほどスタッフさんが「たぶんラジオのこと質問したら悪口しか出てこないと思います」っておっしゃってました。

濱家 悪口は別に全然、な?

山内 悪口じゃないです。ただ、ラジオを下に見てる。

濱家 それが悪口(笑)。

山内 位置づけが下です。

濱家 悪口より悪い、それは。

山内 テレビ、ネット、ラジオの順。

濱家 山内がこういうこと言うたびに、僕はほんまにひやひやしてるんです。あとで「いや、嘘ですよ」って言わへんとあかんかなとか。

■毒蝮三太夫的なことかもしれませんね

――15年の間、ずっとそういう感じですか? ひやひや感。

濱家 そうです。山内ってあんまり嘘つかへんやつなんで。のちのち自分でフォローも入れへんし、何より目がキマッてるんで。だから、その辺のフォローは僕が一応ちゃんと。「ほんまは思ってないですよ」っていうのは言って。

――もしかしたらそういうところに60代女性は惹かれるのかもしれません。

山内 毒蝮三太夫的なことかもしれませんね。

濱家 綾小路きみまろさんと。

――ちゃんとTBSラジオに合わせたチョイスを。

濱家 顔も似てるもんな。毒蝮、綾小路、山内って並べたら、たぶん背格好も似てる。

山内 似てない。一人ヅラや。

濱家 やめとけ。ヅラや。

――公言されてるので(笑)。

■タクシーに乗ると「ヘイ!タクシーですか!?」

濱家 いや、でもTBSラジオさんやらせてもらって、ほんまに思うんですけど、SNSの反響とか、街中での反応も含めて、ラジオでこんなに言われるんや……って。この間も仕事終わりにタクシーに乗ろうとしたら、僕らの顔見るなりドライバーさんが「エッ、『ヘイ!タクシー!』ですか!?」みたいな。

――すごい。

濱家 「いや、『ヘイ!タクシー!』ではないんですけど」「で、ですよね、いつも聴いてます」みたいなことを言ってくれて。TBSラジオってすごいんだなっていうのはほんまに思いましたね。反応が違うから。そういう意味では、僕は大阪のラジオを下に見てます。

山内 何より失礼。

濱家 一番下に見てます(笑)。

■山内さんが「大好きです」とリプを送っていた相手

山内 このラジオね、屋鋪要さんが聴いてくれてるから始まり、kainatsu(甲斐名都)さん、クドカンさん(宮藤官九郎)、劇団ひとりさんも聴いてくれてました。僕、最近知ったので一番うれしかったのが、『ジャンプ』で今連載してる『呪術廻戦』っていう漫画があるんですけど、それの作者の芥見下々(あくたみげげ)先生が毎週聴いてるって。

――そうそうたる面々が。

山内 僕『呪術廻戦』好きで『呪術廻戦』の公式Twitterに毎回コメントしてたんですけど、全無視されてたんですよ。この間たまたま集英社の人とお食事する機会があったんで、そのこと話したら「たぶん気づいてないです! 担当に言っておきます!」って。次の日からちゃんとコメントが返ってくるようになって。そのコメントで「芥見はラジオ『ヘイ!タクシー!』を毎週聴いているそうです」って知ったんですよ。メッチャうれしかった。

――ちなみに公式アカウントにいつもどんなリプを送ってらっしゃったんですか?

山内 「大好きです。絶対もっとフォロワー増えてないとおかしいのに」とか、いろんなプラスのコメントを送って全無視。ビックリした。あんな無視されるなんて。

濱家 ほんまに下々って言うた?

山内 いや、下々じゃない。下々先生。

■新札になるぐらいの人やったんや

――『ヘイ!タクシー!』伝説といえば、渋沢栄一の話をたまたましていたオンエア翌日に新紙幣が発表されて。ネットでは「やっぱりかまいたちは持ってる」と。

濱家 大丈夫やったんかな。いや、ビックリしましたね。新札になるぐらいの人やったんやって。とんでもない人に。

――「資本主義社会の父」を「絞りたい放題のチチ」と聞き間違うところからはじまって…。

山内 「ポコチンデカ男」。

濱家 まさか新札の肖像画になるとは思ってなかったんで(笑)。失礼なことを言いました。

インタビュー写真=深野未季/文藝春秋

ロケ写真=TBSラジオ提供

インタビュー後半は5月31日(金)に公開します。

かまいたち/山内健司(1981年生まれ、島根出身)と濱家隆一(1983年生まれ、大阪府出身)が2004年に結成。かけだしの頃から注目を集め、07年に「ABCお笑い新人グランプリ」(第28回)最優秀新人賞を受賞。「キングオブコント2017」(第10回)で優勝、2018年から東京進出を果たす。今年、初となる全国ツアー『コンビ結成15周年いたち〜素直・謙虚・感謝〜』を5都市で開催する。

かまいたち濱家「フジモンさんにいじられてゼーゼーしています」東京に来て“トゲトゲ”を脱いだ日 へ続く

(西澤 千央)

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