『ひよっこ』俳優・磯村勇斗が語る、有村架純の“天然ボケ”と松田優作の“美学”

『ひよっこ』俳優・磯村勇斗が語る、有村架純の“天然ボケ”と松田優作の“美学”

©榎本麻美/文藝春秋

 NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』。茨城県から東京に働きに出てきた谷田部みね子(有村架純)は、赤坂の洋食屋「すずふり亭」で働き始めることになった。そんなみね子の近くで共に成長していくのが、見習いコックの前田秀俊だ。修業に精を出す彼を演じるのは注目の若手俳優、磯村勇斗さん。

 撮影現場の裏話、共演者との関わりから、中高時代や憧れの俳優の話までを語ってもらった。

■弟キャラなんですよね、僕も秀俊も

――いよいよ「すずふり亭」にみね子が入ってきて、見習いコック・前田秀俊の出演も増えてきました。

磯村 秀俊は真面目で、料理に対して熱心な青年というのが第一印象でした。回を重ねると、先輩と絡むシーンが増えてきて、上下関係を分かりつつも先輩をいじることもできる、弟キャラな一面も見えてきました。真面目だけれど、やんちゃな雰囲気があると思います。

――磯村さん自身と重なる部分はありますか?

磯村 全く一緒です(笑)。僕も真面目なタイプで、仕事のことをずっと考えてしまうことが多いです。中高はバスケ部にいたんですけど、いじったら面白そうな先輩には小ネタを出してみたりしてて。そういうところは自分に似てるかも。

――ドラマではやついいちろうさん演じる先輩コックの井川元治との掛け合いが面白いですよね。

磯村 やついさん、アドリブ多いんですよ……。僕もついノッて突っ込みたくなっちゃうんですが、そこは秀俊の真面目な部分を残していかなきゃと思っているので、我慢してます。それでもやついさんは僕を崩してこようとしてくるんですけどね……(笑)。

■有村さんは天然っていうか、この前なんかフライパン振り回して……

――わきあいあいとした雰囲気なんですね。

磯村 もちろん大変なこともありますが、楽しくやっています。料理長役の佐々木蔵之介さんも面白い方で、先輩方に助けられながら頑張っています。

――みね子役の有村架純さんとの共演シーンもこれから増えてくると思いますが、現場でよくお話はされるんですか?

磯村 はい、結構話します! 同い年(24歳)なので、共通の話題が多いんです。ファッションの話とか……。でもやっぱり食べ物の話が一番多いかな。「美味しいもの食べたいね」とか「ここのスイーツが美味しいよ」とか。有村さんは、天然っていうか、「え?」ってことをたまにしてるんですよ。たとえば現場にある調理場の器具をよくいじっているんですけど、この前なんかフライパン振り回してたりとか(笑)。よく突っ込んでます。やついさんはアドリブでボケてくるし、有村さんにも天然でボケられて、もう大変です(笑)。

■ホワイトデーは手作りでお返しをしていました!

――調理場でのシーンは、磯村さんも実際に料理をされているんですか?

磯村 そうなんです。皆さん吹き替えなしで収録しています。クランクイン前の3ヵ月、プロの料理の先生にみっちりついて練習しました。道具の使い方、切り方などプロとしての見せ方を教わりました。

――それにしても慣れてる感じがするのですが、料理は普段からされるんですか?

磯村 よく家で作りますよ。小さい頃から母の料理を手伝うのが好きだったんです。ホワイトデーには手作りでお返しをしていました。凝ったものも作りますよ。餃子とかコンフィとか(笑)。上京後に居酒屋やカフェでアルバイトをしていたこともあって、まさに「すずふり亭」での料理長と先輩コックとの三角関係をそこで経験していました。カフェの料理長がフランス料理のシェフだったのですが、フランス料理の本を見せてくださって、こういうのを作ってみたいなと考えたこともありました。役者もやりつつ、料理の世界に足を踏み入れたいと憧れていた時期もありましたね。

■小さい頃から“目立ちたがり屋”で……

――役者を目指されたのはいつ頃からなんですか?

磯村 小学生くらいからなんとなく芸能界に憧れていました。なんていうか、目立ちたがり屋だったんですよ。本格的に意識したのは高校生の時で、芝居をしたくて地元の劇団に連絡して入りました。

――役者を目指して上京されたんですか?

磯村 高校までは静岡県の沼津市にいて、大学進学のために上京しました。もっと外の世界を見たいと思い、2年生で大学を辞めて、小劇場の舞台を中心に転々と劇団をまわりました。下北沢とかよく行きました。なかでも「地下空港」という劇団に影響を受けたんです。そこの演出家の方から色々なことを学んで、芝居に対する思いも強くなりました。

■嫉妬しないわけないじゃないですか(笑)

――「ひよっこ」までにも色々な作品のオーディションを受けられていると思いますが、印象に残っていることはありますか?

磯村 初めはオーディションが嫌いで怖かったんです。人前に立ちたいと思っているのに、人に見られることが嫌で。ただあるオーディションで同じ会場だった男の子を見て、考えが変わったんです。彼は破天荒な感じで、質疑応答とかも不思議な回答をする人だったんです。なんかそれを見てたら自由でいいなあって思って。そこからは自分を隠さずに「審査員の方をどこかで笑わせたい、楽しませたい」と楽しく臨めるようになりました。

――でも朝ドラのオーディションはさすがに緊張したのでは?

磯村 そうですね……、でも結構楽しかったですよ。今となってはかもしれないけど(笑)。アドリブ演技するテストもあったりして、大変でしたけど、朝ドラ出演はひとつの目標だったので身が引き締まりました。

――オーディションって、ライバルがぶつかり合う静かな戦いという感じがしますが……。

磯村 会場で「あ、この前ドラマに出てた男の子だ!」と思って嫉妬したり、ライバルに対して闘志燃やしたりすることはありますね。

――『ひよっこ』では、みね子との関係も気になりますね。

磯村 秀俊は、みね子に一番近い存在でもありますが、島谷純一郎(竹内涼真)という大学生がいますから。だって御曹司ですよ。こっちは見習いの身で……嫉妬しないわけないじゃないですか(笑)。

■無精ひげに憧れています、ひげを生やしたい!

――目標にしている俳優は誰ですか?

磯村 松田優作さんです。顔面から魂を感じるんですよね。熱量のこもった、見ている人の心に魂が届くような芝居をしたいと思っています。

――松田優作の作品で一番好きなものは?

磯村 『野獣死すべし』です。特に「X・Y・Z」というカクテルが出てくるシーンが好きで。20歳の誕生日にはバーに行って、そのカクテルを頼んじゃいました。気持ちよかった(笑)。

――11月には映画の公開も控えています。

磯村 『覆面系ノイズ』という映画です。原作は少女漫画で、クロという高校生、バンドでドラムをしている役です。一方通行の片思いの内容です。ドラムの練習も沢山したので、是非色んな方に見ていただきたいです。

――料理に、ドラムに、手先を使った役が多いですね。手先の器用な男の人はモテそうですけど。

磯村 そうですか? モテたい……(笑)。

――これからやってみたい役柄は何かありますか?

磯村 「サバイバリスト」です。

――「サバイバリスト」?

磯村 無人島で、何もない状況で生きていく役をやってみたいんです。というのも、昔から無精ひげに憧れがあって。ひげを生やしたい(笑)。それに過酷な状況での撮影は、その人の魂が見えると思うんです。

――無人島の松田優作みたいな。

磯村 そうですね(笑)。ストイックな芝居をしてみたいです。

撮影:榎本麻美/文藝春秋

いそむら・はやと/1992年9月11日生まれ。静岡県出身。『仮面ライダーゴースト』の映画、ドラマにアラン役として出演し注目を集めた。NHKで放送中の連続テレビ小説『ひよっこ』では見習いコックの前田秀俊を演じる。11月にはメインキャストを務める映画『覆面系ノイズ』が公開。

(「文春オンライン」編集部)

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