消えゆく「エロ本自販機」を、粘り強く探した男の記録

エロ本自販機、80年代半ばにブームも消滅の一途 愛車で全国めぐり記録し写真集を販売

記事まとめ

  • 80年代半ばにエロ本自販機ブームが終わり、社会的には死滅したように思われていた
  • 実は郊外の街道沿いで、雑誌の新古本やDVDなどを商品にして第2の大きな山があったそう
  • 黒沢さんは愛車で全国をめぐり記録し、「エロ文化遺産」を後世にとどめる写真集を刊行

消えゆく「エロ本自販機」を、粘り強く探した男の記録

消えゆく「エロ本自販機」を、粘り強く探した男の記録

©文藝春秋

「数年前、深夜のドライブの寄り道先ぐらいの気分で、エロ本自販機巡りをはじめたんです。最初はブログのネタにと思ってメモを書き溜めていたのですが、次第にこれを本にできるんじゃないか、と。類書も全然ないですしね」

 そう語るのは、先日、『あの日のエロ本自販機探訪記』を刊行した黒沢哲哉さん。自販機との出会いは、第一次全盛期の70年代、黒沢さんの学生時代に遡る。

「当時のエロ本自販機には、そこでしか買えないオリジナルの雑誌が入っていて、買わないとどんな内容か分からない、ガチャガチャみたいな楽しさがありました。毎週買いに行くぐらいはまりましたね」

 80年代半ばにエロ本自販機ブームが終わり、社会的には死滅したように思われていた。黒沢さんも、20年ぐらい自販機から遠ざかる。

「ところが、実は郊外の街道沿いで、第2の大きな山が、80年代後半から90年代にかけてあったんです。雑誌の新古本やDVD、グッズを商品にして。いまや規制強化とネットの普及で、猛スピードで消えかけていますけれども」

 黒沢さんが“探訪”した自販機は不稼働のものを含めて、北海道から九州まで全国400近く。自販機業者の貴重な肉声インタビューも本書には収録している。

「自販機には、“お薦めはコレ!”とか“最新作入荷!”といったポップがついていたりして、お客とのやり取りがある饒舌な空間なんです。取材中、老夫婦が夜中に車で乗り付けて買いに来たこともありました。最初は自販機に対するモノとしての関心が中心でしたが、実は自販機は地元の人たちの生活に密着していた。ですから途中から意識的に周囲の人にも注意を配るようになりました。でも業者取材は、警戒されて交渉に1カ月以上かかりましたね」

 自販機を見つけるのには、Google Street Viewなどネットの検索機能をフルに使ったという。

「日中の仕事を終え家に帰ってから、1日5カ所などノルマを決めて探していました。検索テクノロジーの向上で、いまはかつてと比べ、格段に探しやすくなっています。数年前、もっと自販機は残っていたかもしれませんが、逆にネット検索にはかからなかった。数年後にはネット検索はさらに向上しているでしょうが、自販機はさらに消えている。そう考えると、このタイミングで自販機巡りの本をだした僕は、運命に選ばれたのかもしれませんね(笑)」

『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』
1970年代に誕生し、かつて隆盛を極めたエロ本自販機。いま郊外のロードサイドで静かに余生を過ごすその姿を、愛車を駆って全国をめぐり記録した男がいた。草木に埋もれ、錆付いたトタン屋根の下いまも客を待つ自販機たち。そしてそれを支える人々にも取材し、「エロ文化遺産」を後世にとどめる画期的写真集

(「週刊文春」編集部)

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