【イースタン・DeNA】35歳会社員の私が、なぜ須田幸太を応援したくなるか

【イースタン・DeNA】35歳会社員の私が、なぜ須田幸太を応援したくなるか

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【出場者プロフィール】凡人太郎(ぼんじん・たろう) 横浜DeNAベイスターズ 35歳
 1982年生まれ。神奈川県出身。当初は地元だから何となく気になる程度だったのが、小学校で前の席に座っていた友達に、大洋ホエールズの選手の顔写真入り下敷きを見せられながら口説かれ、気付いたらホエールズ・ベイスターズにどっぷりハマってしまうことに。その彼は後に巨人ファンへとFA宣言するものの、自分は良い時も悪い時も横浜沼に漬かりっぱなし。ブログ『DB.スターマンの憂鬱』をサラリーマン稼業の合間を縫って更新中。

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■須田幸太のことをふと思い出した居酒屋での出来事

 とある安居酒屋でビールを飲んでいた時、隣に座っていた就活を終えたと思われる大学4年生が友人にこう力説していた。

「メガバンクとはいえ、俺なんか育成契約みたいなもんだ。でもソルジャーならソルジャーに徹して、いつかエリートを食ってやる」

 メガバンクともなると新卒の同期だけでも数百人といるだろうし、そしてその同期の中でも序列はみんな同じというわけでもないだろう。一流大学出身で例えるならドラ1として入社する同期もいれば、どうにか滑り込んでポジションの人数合わせのようなドラフト下位指名のような同期もいる。

 今回話が聞こえてきた彼が育成契約にあたるようなギリギリ滑り込みで内定を得たのかどうかは分からないが、この話が耳に入ってきた時、ふと須田のことを思い出したのである。

■須田がこれまで歩んできた道のり

 2010年ドラフト1位で入団した記者会見の席では、「監督の期待を裏切らない。15勝を目指す」と力強く宣言した須田だったが、入団以降は中々結果を残せなかった。先発・ロングリリーフとして一軍での登板機会を度々得るものの、先発した試合で5回4失点KOされたにも関わらず、「投げていて楽しかった」と謎のコメントを残すなどドラフト1位としては物足りない結果が続いていた。

 転機となったのは2015年9月5日巨人戦。9回2点リードで迎えた場面、疲労困憊で登板回避した守護神山アに代わって登板した長田が1点差につめられ1死1・3塁で降板。
この絶体絶命の場面で登板した須田はアンダーソンを空振り三振に取ると、続く堂上も打ち取り、プロ入り初セーブを記録。この登板がリリーフとして活路を見出すきっかけとなり、15年シーズンオフには、「究極の便利屋を目指す」と宣言。ドラフト1位で入団という華々しい経歴やプライドもかなぐり捨て、谷間の先発、中継ぎ、ロングリリーフ、敗戦処理でも何でもやるという決意の宣言であった。

 16年シーズンは、リリーフ投手として64試合(CSを含む)に登板。便利屋どころではなく、セットアップマンとして、他の投手が残したランナーがいる場面でも、物怖じせず、中畑前監督が『ライジングストレート』と称したストレートを武器に中盤のジョーカーとして獅子奮迅の大活躍。シーズン後半肉離れで離脱するも、CSファイナルで奇跡の復帰。2死満塁という場面で登板すると新井を抑え、ピンチで須田健在を印象づけたのであった。

 ところが迎えた17年シーズンは、前年の疲労の影響もあるのか本来の力を発揮できず二軍に甘んじていることも多くなっている。

 でも僕は須田の復活を待ち望んでいる。

■今更、大谷翔平にはなれない

 自分はいつまでもルーキーのつもりだったのだが、気づいたら30も半ばに近づいてきて、会社内でも立派な中堅。自分が新卒時は、ドラフト何位入社だったかは知る由もないのだが、自分が大谷翔平でも筒香嘉智でもないことなんかとっくに気づいている。自分より成績が上の同期、勢いのある後輩の下からの突き上げも感じるし、もちろん自分では手を抜いてるつもりはないんだけど、中々思うように結果が出ないことだってある。年齢が上になるにつれて、周囲からの期待や責任も増していく中、行き詰まりを感じながら帰りの電車に揺られることも増えてきたような気がする。自分の今の立ち位置をプロ野球選手に例えるならば、せいぜい一軍登録されるかどうかという位置付けだろう。今更、大谷翔平にはなれない。

 でも、おこがましい話だけど須田幸太ならちょっと頑張ればなれそうな気がするんだ。しかも、社内でちょっと揉めてる案件、まさに1点リードノーアウト満塁みたいな場面で出てきて、ちゃちゃっとまとめて片付けるなんてできたらカッコいいじゃない。

 筒香の豪快なホームラン、今永の気迫、濱口の勢い、山アのヤスアキジャンプには、感動するし勇気づけられもするんだけど、須田や加賀、石川みたいなスーパースターではない中堅が自分の役割、仕事に徹しようと奮闘する姿にエールを送ろうとすると、不思議と自分自身にエールを送っているような気持ちになることもある。

 僕は須田幸太に憧れている。

 でも憧れて、少し自分に重ね合わせている選手が二軍にいるなんてそれはカッコ悪いじゃない。同僚や後輩が残したランナーを背負ってマウンドに上がり、際どいコースをボールと判定されても、不敵に笑みを浮かべ、ならばもう一球と勢いのあるストレートを投げ込む。そしてピンチを抑えれば、派手なガッツポーズをかましてベンチに戻っていく須田を見たいんだ。

 だから僕は須田の復活を待ち望んでいる。

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