得点圏打率1割台でも……楽天のドラ1ルーキー・辰己涼介から目が離せない理由

得点圏打率1割台でも……楽天のドラ1ルーキー・辰己涼介から目が離せない理由

ドラフト1位ルーキーの辰巳涼介 ©かみじょうたけし

 7月6日の日ハム戦に敗れ、これで8連敗となってしまった。しかし意外にも全く悲壮感はない。それは78試合終えてまだAクラスにいるからか? 貯金があるから? 間もなく則本昂大の復活があるから? いや違うよな。今シーズンなんて事じゃなく、近い将来を任せられる選手じゃないかなぁなんて薄っすらとした希望がしっかりと見えはじめたからなんだよなぁ。

 芸人もぶっちゃけ舞台や番組でスベろうが、これでやってくんだって信念やこのネタは伸びしろあるわぁなんて未来の可能性を確信できてれば、今日のお客さん、この番組の空気と合わなかっただけ。なんて人のせいにして結構平気なもんです。で受け手もその雰囲気に可能性を感じたりして追っかけたりするもの。

■ここぞの場面には必ず彼がいる

 その最たる選手がドラフト1位ルーキーの辰己涼介選手ではないだろうか。ここまで62試合に出場して2割3分7厘、決していい数字だとは思わないが、この打率の選手に打席がまわってきた時の期待感を遥かにこえるワクワクを僕たちにくれるからなんとも不思議だ。得点圏打率なんて1割6分7厘。なのにチャンスで辰己選手にまわればなぜか頬がゆるんでしまう。5月8日のホークス戦は7点差をひっくり返したのだが、最後の逆転打を放った。そしてその1打が月間で最も印象深いサヨナラ打を放った選手におくられるスカパーサヨナラ賞に選ばれた。いつだったか1試合7本塁打という球団記録を作ったが、その記念すべき7本目を放ったのも彼だ。

 ランナーに出てもうるさい。5月31日ホークス戦、1点リードの8回、島内選手の浅いライトフライでスキをみてタッチアップで生還してみせたり、球団初の3重盗にもしっかりセカンドランナーとして絡んでいた。いつの時もここぞの場面、ド派手な場面には必ず彼がいるのだ。

 守備では6月12日のスワローズ戦、1点リードで先頭山田哲人選手の右中間への打球をダイビングキャッチ、6月18日は3対3の6回に先頭大山選手の左中間への打球をナイスキャッチで相手に流れを渡さない。そして今挙げた全ての試合で楽天イーグルスは勝利しているのだ。

 降雨ノーゲームのファンサービスも完璧だった。渡辺佳明、小郷裕哉がいった後、大トリで手拍子をしながらダイヤモンドを2周、見事なヘッドスライディングでお客さんを笑顔にさせた。

■忘れられない大学最後の立同戦

 もってる選手なんて簡単に言いたくはないが、大学最後の立同戦は忘れられない。田口壮さんが持つ関西学生野球連盟のリーグ記録123本に並ぶにはこの試合3安打しなければならない。2回表に1本打ったが、その後ヒットはなく、8回表になんとか2本目の内野安打を放つ。最終回はさすがに回らないと思うのが凡人、しかし仲間が繋ぎ気づけばツーアウトでネクストには天才が準備する。

 そして代打の選手がしぶとくヒットを放ち、ファーストベース上で跳びはねる。辰己選手にまわせた安堵、幸福感に満たされかなり興奮気味だった。代走が出てベンチに帰る彼が辰己にタッチの手を出すも二人の温度差が激しい。まるで回ってくる事を知っていたかのようにバッターボックスに入る。勝負は一瞬。初球をフルスイングするもセカンドゴロ。天才は122安打の記録で大学野球を終え、その3日後のドラフト会議で楽天イーグルスに来てくれた。あの試合を生観戦したものの宿命か? 辰己涼介から目が離せないのだ。

 茂木栄五郎は相変わらずの絶好調、浅村選手が加入し、ベテラン藤田一也もいて、昨年新人王の田中和基も帰ってきた。強固なセンターラインが着実に育っている。ポスト嶋問題にも太田光、堀内謙伍、石原彪と生きのいい若手が名乗りを挙げてきている。イーグルスファンの皆さん、小さなトンネルに落ち込む必要なんてない。未来はド派手に明るいじゃないか!

【おまけ】
 6月29日降雨ノーゲームの辰己選手のベースランニング。笑いしろは何度もヘッスラした所ではなく、2周行った箇所でもない、送球が逸れた時の首振りにある。このネタ伸びしろあるわぁ。

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(かみじょう たけし)

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